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(´・ω・`)僕は君を愛しているようです

1 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:02:39 ID:vUUcBvpE0
閲覧注意です。濡れ場的な意味などで。

2 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:03:40 ID:vUUcBvpE0
僕は君を愛している。

こんな言葉が出てくる小説をどこかで読んだ。少年が少女に告白しようとするが、どうしても言い出せない。そんな内容だったと思う。

僕も今、全く同じ状況だ。ある1つの点を除けば…

3 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:04:12 ID:vUUcBvpE0








(´・ω・`)僕は君を愛しているようです

4 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:05:01 ID:vUUcBvpE0
高校3年の3月中旬、すでにそれぞれの進路も決まり、残る学校行事も卒業式だけとなっていた。

思えば、高校生活もあっという間だった。入学式後の自己紹介の内容もつい最近のことのように思いだせる。

(´・ω・`)「僕の名前はショボンといいます。1年間よろしくお願いします。」

('A`)「あの、えっと…ドクオです。よろしくお願いします。」

川 ゚ -゚)「素直クールと申します。クーと呼んでください。よろしくお願いします。」

初めはドクオは話しかけにくい雰囲気だったし、クーは高嶺の花といった感じでどうにも近づきにくかったなあ。と思いながら、思い出し笑いをしてしまった。

5 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:05:33 ID:vUUcBvpE0
そんな僕たちが、仲良くなったきっかけは、1年生の5月に行われた遠足だ。公園と美術館を合わせたような施設だった。生徒はそれぞれ思い思いのメンバーで行動していた。

気がかりに思ったのがドクオのことだ。特別仲の良いわけではないが今日も一人だったらと思うと不憫だった。

予想は的中した。僕は一緒に行動するはずだった友人に詫びを入れて、ドクオのそばに近寄った。

(´・ω・`)「ドクオ。一緒にどこかに行こうよ。」

('A`)「え…でも…君には友達がいるだろ。そっちに行ったほうがいいんじゃない?」

(´・ω・`)「じゃあ、今日友達になろうよ。」

そういったとき、ドクオはかなり嬉しそうにありがとうと礼を言っていたのを覚えている。

6 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:06:47 ID:vUUcBvpE0
(´・ω・`)「じゃあ、どこに行こうか」

('A`)「…嫌なら、いいんだけど、美術館に行きたい。…本当に嫌なら行かなくていいから。」

(´・ω・`)「美術館か。いいね。行こうよ。絵が好きなのかい?」

('A`)「うん…ありがとう。今回の特別展で展示されてる画家の絵が好きなんだ。」

美術館への道中、僕たちはいろいろな話をした。中学のこと、勉強のこと、クラスのこと。

(´・ω・`)「君はクラスの中で誰が一番かわいいと思う?」

ドクオは困った顔をして、それからしばらくしてはにかみながら言った。

('A`)「クーかな」

その後、顔を真っ赤にしていた。その、思春期の少年特有ともいえる、幼さの残る顔だち。

どこか、愛らしさすらも感じるものだった。

7 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:07:44 ID:vUUcBvpE0
しばらく歩いていると一つの人影をみつけた。長い髪。すらっとしたスタイル。クーだと認識するのに時間はかからなかった。

(´・ω・`)「どうしたんだい?友達とはぐれてしまったのかい?」

川 ゚ -゚)「いや、私は美術館に行きたかったのだが、みんなと意見が合わなくてな。一人で向かっているんだ。」

(´・ω・`)「奇遇だね。僕たちも美術館に行くつもりなんだ。一緒に行こうよ。」

川 ゚ -゚)「それはうれしいな。是非行きたい。ドクオ、私も行っていいか?」

ドクオは恥ずかしそうに、そして心底驚いたような顔をしている。

さっき一番かわいいといった人に声をかけられ、影の薄い自分の名前を覚えられていたのだ。当然だろう。

ドクオは、うん、とうなずいた。

8 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:08:21 ID:vUUcBvpE0
クーも目的は例の特別展示だった。好きだったというより、パンフレットを見て惹かれたそうだが。

(´・ω・`)「ドクオはこの画家が好きみたいだよ。」

背中を押してあげたい気持ち半分、意地悪をしたい気持ち半分だった。

川 ゚ -゚)「そうなのか。是非いろいろと教えてくれ。」

ドクオの緊張した様子だったが、はっきりとうなずいた。その姿は何ともかわいらしいものだった。

その後、ドクオの解説を聞きながら、展示を見て回った。

興味深そうに話を聞くクー、緊張しつつも楽しそうに解説するドクオ、その姿も絵になるなあという印象を受けた。

9 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:09:12 ID:vUUcBvpE0
春はあけぼのとは言うが、夕暮れもまた美しい。空は、無限の色のグラデーションで彩られていた。

('A`)「ショボン、今日はありがとう。…これからも友達でいてくれる?」

(´・ω・`)「もちろんだよ。これからもよろしくね。」

当たり前だ。こんなに楽しい時間を作れたのだ。僕としてもそうそう手放したくない。

「ドクオ、ショボン、今日は楽しかったぞ。これからもよろしく頼む。」

('A`)「うん。よろしく。」

みんなで笑った。

10 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:09:49 ID:vUUcBvpE0
それから僕たちは、いつも一緒にいた。テスト前には一緒にカフェで勉強したし、週末に遠出することもあった。修学旅行もグループになって、受験期にはそれぞれの志望校合格のために励まし合った。

そして今日、卒業式、仲の良かったグループの解散の日。僕は別の地方の大学、クーは東京の大学、ドクオは地元の大学にそれぞれ進学する。別に二度と会えないわけではないが、頻度は減ることだろう。

さて、僕は青春を最大限謳歌してきたつもりだ。でも、一つ心残りがある。

告白。

今までいつも一緒にいたが、どうしても言い出せなかった。どっちに転んでも、元には戻れない気がして。

ドクオがクーを可愛いと思っているという事実も気がかりだった。もしかしたら、クーに好意を持っている可能性もある。

だけど、今日なら、グループ解散の日なら、問題はないはずだ。失敗しても時間が風化させてくれる。気まずくなったらもう会わなければいい。

閉式のことば、一同、起立。号令が体育館に響く。


決行の時間が近づいた。

11 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:12:47 ID:vUUcBvpE0
クラスに戻ると、2人が先に帰っていた。

川 ゚ -゚)「お、ショボンか、卒業おめでとう。」

(´・ω・`)「おめでとう、クー、式の途中で泣いてたよね。」

川 ゚ -゚)「お前たちと過ごした日々を思い返しているとどうにも涙があふれてしまってな。」

('A`)「俺も何度か泣きそうになっちまったよ。思い出があるっていいもんだねえ。」

(´・ω・`)「ドクオはかなり性格が明るくなったね。」

('A`)「ああ、お前たちのおかげだよ。」

先生が来て、最後のあいさつになった。これで本当に高校生活も終わりだと思うと何とも言えない気分になる。

でも、このままノスタルジックな気分ではいられない。こっそりと、誰にもばれないように、メールを送った。

話がある。あとで校舎裏に来てくれないか。

12 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:13:25 ID:vUUcBvpE0
うららかな日差しが差し込みにぎやかな正門付近と反対に校舎裏は影がさしていて、誰もいなかった。

「どうしたんだ、急に呼び出したりして。」

声が聞こえた。でも、恥ずかしくて頭が上がらない。顔が見えない。

(´・ω・`)「実は、一つ伝えておかなければいけないことがあって。」

「なんだ?」

(´・ω・`)「えーっと…僕は…僕は…」

言葉が続かない、勇気を振り絞った。

(´・ω・`)「僕は君を愛している。」

さっきからしんとしていた校舎裏がいっそう静かになった。

13 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:14:04 ID:vUUcBvpE0
「それ、言う相手を間違えているんじゃないのか?」

(´:ω:`)「いや、間違えていない。僕は君のことがずっと好きだったんだよ、ドクオ。」

僕は泣いていた。はっきりと言えたことへの安堵と、これからどうなるのかという心配によるものだろう。

ドクオは、動揺した様子で、こう言った。

('A`)「すまんが、頭の整理が追い付かないんだ。いくつか質問させてくれ。まず、俺のどこを好きになったんだ。別にイケメンでもないし、むしろ悪いほうだと思ってるんだが。」

(´・ω・`)「真面目なところと、好きなことをやってる時の笑顔かな。」

そういいながら、美術館で好きな絵の解説をしているドクオを思い出していた。

14 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:14:35 ID:vUUcBvpE0
('A`)「なるほどな。じゃあ次の質問。遠足の時に俺に声をかけてくれたよな。あれは、俺を落とすためだったのか?」

(´・ω・`)「それは違う。君を見て純粋に可哀想だと思って、助けたくて声をかけたんだ。」

かわいいの語源は不憫だという意味だったからあながち間違ってはいないかもしれないが。

('A`)「なるほど。わかったよ。じゃあ、男らしく、お前にとっては女らしくがいいのかもしれんが、告白の返事をしないとな。」

風が吹いた。風に乗って遠くから、楽しそうな声が聞こえてくる。木々も春を楽しむように揺れている。楽しめていないのは僕だけかもしれない。


('A`)「ごめん。やっぱりお前の気持ちには答えられない。俺は異性しか好きになれないよ。」

やっぱり駄目か。僕は肩を落とした。覚悟はしていた。漫画やドラマのようなハッピーエンドはあり得ない。

これからどうなるのだろう。みんなに言いふらされて異常者扱いだろうか。それとももう話しかけないでくれとでも言われるのだろうか。

('A`)「でもな、俺はお前がゲイだとしても避けようとは思わない。むしろ本当のことを言ってくれて感謝してるくらいだ。ありがとう。
それと、このことは誰にも言わない。だから安心してくれ。」

それに母親以外に可愛いっていわれたことないからうれしかった、なんて言って笑っているドクオを見て再び涙を流した。

(´:ω:`)「ありがとう。」

('A`)「さあ、クーが待ってるぞ。戻ってカラオケでも行こうぜ。」

ふたりで、にぎやかな校門のほうへ向かった。

15 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:15:15 ID:vUUcBvpE0
川 ゚ -゚)「遅かったな、何をやってたんだ?」

('A`)「男同士、友情を再確認してきたってところかな。な、ショボン」

(´・ω・`)「そ、そうだね。」

川 ゚ ―゚)「なんだそれは?」

クーは笑っていた。

僕は友情という言葉を反芻していた。愛情になればもちろんベストだが、友情が残っただけでもドクオに感謝すべきだろう。

('A`)「よし、じゃあカラオケ行こうぜ。今日はフリータイムで歌三昧だ。」

16 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:15:51 ID:vUUcBvpE0
卒業式の日の夜、長い一日だったと振り返った。

卒業式の後、告白。その後カラオケに行って、夜は両親が豪華な料理を作って待ってくれていた。

携帯が鳴っている。何だろうとみてみると、ドクオからのメールだった。

('A`)「今日はありがとう。つらい結果になってしまったことは申し訳なく思う。
でも、少しお前と話をしたいんだ。
明後日あたり空いてないか?」

僕は空いてるよと返信した。じゃあ10時にいつもの場所で、という返事を確認した後、自分に変わらず接してくれる喜びをかみしめながら目を閉じた。

17 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:16:21 ID:vUUcBvpE0
卒業式から2日後。

いつもの場所とは、高校の最寄り駅の改札前。僕が到着した時には既にドクオがいた。

('A`)「おはよう。いきなり呼び出してすまなかったな。」

(´・ω・`)「おはよう。で、話って何?」

それは人気の少ないところでするよ。というとドクオは歩き出した。僕はそれについていった。

着いたのは近くの公園。昼になると、多くの子供たちでにぎわうのだが、確かに今は人気が少ない。

('A`)「で、話なんだが…」

ドクオは話を切り出した。

18 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:16:55 ID:vUUcBvpE0
('A`)「あれから、お前のことについて考えてたんだ。もしどっちかが女だったら確実に付き合っていただろうなとか、俺はあの時もっといい返答はできなかったのかとか。」

('A`)「それで、なんだが、お前の気持ちに一度だけ答えようと思う。お前は一度だけ好きなようにしていい。ただ、本番だけは勘弁してほしい。」

(´・ω・`)「そんなことできないよ。」

断ろうとした。断りつつも興奮を抑えられない自分に嫌気がさした。

('A`)「俺の高校生活は、お前のおかげで楽しいものになったんだ。だから、そのお礼だと思ってくれよ。」

(´・ω・`)「いや…でも…」

('A`)「俺のこと好きなんだろ?もう2度とない最後のチャンスだぜ?」

僕は何も言い返せなかった。

19 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:17:38 ID:vUUcBvpE0
僕たちはドクオの家に移動した。両親は共働きで夜まで帰ってこないらしい。

(´・ω・`)「こういうときって何から始めるんだろう。」

('A`)「さあ、キスからじゃね?」

(´・ω・`)「キスって…君ファーストキスじゃないの?僕でいいの?」

('A`)「そうだけど、お前ならいいかなって。」

(´・ω・`)「じゃあ、しようか。」

自分の唇がドクオの唇に触れた瞬間、何とも言えない興奮が全身を駆け巡った。

20 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:20:26 ID:vUUcBvpE0
(´・ω・`)「次は何をしようか。」

('A`)「とりあえず、シャワーを浴びるものなんじゃね?」

二人で浴室に向かった。服を脱ぐと、ドクオの華奢で可愛らしい体が露わになった。

('A`)「なんで男の体で、そんなに興奮するんだ?」

物心ついた時からだからよくわからないと返事した。

シャワーを浴びた後、二人は裸のままベッドに向かった。

(´・ω・`)「本当にいいんだね?」

もう一度確認した。

('A`)「ああ、ただ本番だけはだめだ」

分かってるといった後、僕はドクオをベッドに倒した。

21 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:21:08 ID:vUUcBvpE0
今、何時だろう。今まで眠っていたようだ。気怠さの中で目を覚ました。太陽は西に傾き始めていた。そろそろ帰らなくては。

('A`)「もう帰るのか。なんだかんだ楽しかったぜ。
次帰省した時にまた会おうぜ。今度はクーも一緒にな。」

(´・ω・`)「うん。今日は本当にありがとう。一生忘れられない体験になったよ。」

俺もだよ。とドクオが言うのを聞くと。なんとなくおかしくて笑ってしまった。

(´・ω・`)「やっぱり、僕は君が好きだ。躰だけを求めていたわけじゃない。一人の異性として、男性として、人間として、君が好きだ。」

('A`)「ありがとな。でも、二度目はないぜ。だが、お前が俺を好きでいてくれるのはうれしい。」

俺も親友としてお前が大好きだしな。と付け加えた。

(´・ω・`)「…これからも友達でいてくれる?」

('A`)「当たり前だろ。お前があの時約束したんじゃないか。」

(´・ω・`)「もう一度、もう一度だけキスしていい?」

ああ。という返事を待ってから、さようならのくちづけをした。

22 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:21:41 ID:vUUcBvpE0
僕は駅に向かって歩き出した。

春は誕生の季節。一つの愛が生まれ、一つの愛が死んだ季節。

(´・ω・`)「僕は君を愛している。」

つぶやいた言葉は誰の耳にも入らずに、春の空に溶けていった。

23 ◆xouRKFxraQ:2016/04/03(日) 18:22:22 ID:vUUcBvpE0
あとがき
この作品の目標はショボンを純粋な(ネタではない)同性愛者として描くことでした。これは、今までのブーン系にはあまりないテーマではないかと思います。
この作品を通じて世の中にはいろいろな人がいるということを再認識していただければ幸いです。
読んでいただけた方には感謝の念が堪えません。本当にありがとうございます。

24名無しさん:2016/04/03(日) 22:03:54 ID:KcYwxPvs0

シンプルで好きな雰囲気の作品

25名無しさん:2016/04/03(日) 22:51:27 ID:.FJcuV.s0
ありそうで無かった話だな
面白かった、乙

26 ◆mQ0JrMCe2Y:2016/04/04(月) 02:05:45 ID:LV2QUHeI0
【連絡事項】
主催より業務連絡です。
只今をもって、こちらの作品の投下を締め切ります。

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◆投票開始前の場合:遅刻作品扱い(全票が半分)
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となるのでご注意ください。
(投票期間後に続きを投下するのは、問題ありません)

詳細は、こちら
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1456585367/404-405

27名無しさん:2016/04/04(月) 21:24:51 ID:jRn/632Y0

いいなあ、切ないね

28名無しさん:2016/04/04(月) 23:07:14 ID:isDdykzo0
話自体はみじかいのになんつー濃密さだ…
同性愛をホモネタにせずに真摯に書いてるのが凄く好き

29名無しさん:2016/04/07(木) 16:42:51 ID://RSc2Tg0
これは…なんかくるなぁ…

30名無しさん:2016/04/07(木) 19:56:47 ID:zAip2cHU0
下手にネタに走らず最後まで真摯なショボンが切なかった
ドクオは残酷だよ
乙乙


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