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(  ゚¥゚)わが赴くは獣の群れのようです

39 ◆d7bMXbKy6Q:2016/04/03(日) 04:44:57 ID:4QLUhYnU0
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 我ら辺境の民がVIP兵を相手に何故圧倒的に戦えるのか?
 それは積み上げた武の差であり、圧倒的な装備の差、強化内骨格とパワードスーツの違いである。
 本来、これらは『獣』と戦うための代物だ。こうまでしなくては勝てない相手が『獣』だ。

 天井からの暴力に、跳ね飛ばされたのは俺が半人前の証拠である。
 一人前の辺境人であれば、暴力そのものを回避することはできずとも、それを防御し、時に流すことができるだろう。
 だから俺は半人前なのだ。雑魚を相手に調子に乗ろうと、ここぞという時にこそ実力は露呈する。

 半人前の代償は左腕だった。恐らく骨材が一部砕けた。肘から先の感覚がない。
 額が裂けてドロリと血が垂れてくる不快な感覚の中、両の目は俺を弾き飛ばした敵を探す。
 そこにいるのは、見慣れたVIP兵の顔ではなかった。悪寒が、武者震いが身体を震わせる。

 腰の刀――我が愛刀であり、辺境の民が外界に出る時の標準装備でもある「獣喰」を引き抜く。
 額の血が流れ出し、首を傾いで片目にかかるのを防ぎながら、頬が釣り上がるのを感じる。
 笑み。原始的な威嚇の表情。相手を認識する前に、顔の筋肉が無意識に笑顔を作っていた。

 そこにいたのは異形の姿。同じ形の首が2つ。腕が6つ。肘には歯が生え、膝には口と鼻が絶叫する。
 背中には腕とは別の触手が生え、先端には眼球と耳がつく。
 一人の人物のパーツと言うパーツを無数に作り、それらを無理やりシャッフルしたような生命体。

 ――『獣』だ。『獣』がそこにいた。

 何たる行幸! 何たる運命! 聖・ノイマンは我らのために運命を用意していたのだ!!
 俺は、俺たち辺境の民は獣を食い殺すためだけに存在する!
 故に! 辺境の民は運命に惹かれて『獣』と出会うのだ! これは必定である!

 つまり、科学の偉人達は今が『獣』と戦うべきであると告げている。
 それこそ俺たち辺境の民への試練であり、俺たちが正しいことの証明である。
 でなければ、何故ここで『獣』と出会うことができるというのだ!?


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