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(  ゚¥゚)わが赴くは獣の群れのようです

20 ◆d7bMXbKy6Q:2016/04/03(日) 04:33:39 ID:4QLUhYnU0
20
 
 問題は、外から見れば一瞬の移動であっても、内部は光年分きっちり時間が過ぎることだ。
 それを解決するため、人間を分子レベルでデータ化し分解。その後に組み立てる技法を利用することになった。

 どういうことかといえば、つまり、密航することができないのだ。もし、黙って侵入すればまず急加速のGで死ぬ。
 仮に強烈なGを生き延びたとしても、内部は数百年間タイムリープを繰り返す。間違いなく寿命が尽きるだろう。
 密航ができない。ならば正規の手段で人民輸送船に乗るしかない。

 だが、彼らは貧民であり子供だ。金を稼ぐどころか、その日を生きるのが精一杯だろう。
 当然ながら、仮に金を貯められるとしても、相当な時間が予想される。

(=゚д゚)「最低の貨物船に相乗りして8万クレジット。2ヶ月あればなんとか……」

 二ヶ月。論外だ。待てない。
 ケレスで捕らえられたという『獣』も、いずれは帝国の研究衛星・月へ輸送されてしまう。
 そうなれば、いくら辺境の民といえど手を出すのは困難だ。

 8万クレジットくらい端金である。だが、僅かな金銭を渡して命の恩を返したというのも戦士の名折れだ。
 とはいえ、一週間用心棒に徹しただけで見捨てるのは、俺の命は一週間より軽いと言っているようなものだ。
 僅かな逡巡。あれしかないか。本来任務と関係ない暴力は避けたい所だが、仕方がない。

 俺に武の才はなく、武の道も未だ半ば。その武力は辺境の民としては三流もいいところの半人前である。
 だが、それでも俺は武人であり、辺境の民である。
 辺境の民は、女子供さえ、辺境外の人間を遥かに上回る暴力を持つ。

 なぜならば、我々は一人ひとりが『獣』を殺すために鍛え上げられた刃であるからだ。

(  ゚¥゚)「おい、トラギコ。貴様は己の弟のために命を張る覚悟はあるか?」


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