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思い続けるようです

1 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 14:44:33 ID:ZtrMSwuI0

紅白作品

26 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 16:06:38 ID:ZtrMSwuI0
彼女は申し訳なさそうにそう言った。
俺はその言葉を受け止めた。


受け止めるしかなかったのだ、前回のように。


ただせっかくここまで仲良くなったのに前回と同様関わりをなくすのが嫌だったので、
友達のままでいてほしいと頼んだ。
今度は普通に微笑んで、当たり前じゃんと言ってくれた。
気まずい時間ができないよう、俺はすぐにサヨナラを告げた。




( A )




こうして、俺は二度目の失恋をした。

27 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 16:13:55 ID:ZtrMSwuI0
この日から約2週間後に友達が彼女に告白し、付き合うことになった。



俺の方が彼女と長くいるのに。

俺の方が彼女を知っているのに。

俺の方が彼女を愛しているのに。




(*゚ー゚)(・∀・*)




彼女は他の男のものになってしまった。


なぜ彼なのか。
なぜ俺を選んでくれなかったのか。

その回答はあっさり導き出せてしまった。


彼女の求めていたのは、世界一彼女を愛した男ではなく、彼女の心を揺らす男だった。


俺は彼女の心を揺らせなかった、ただそれだけだった。

28 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 16:17:56 ID:ZtrMSwuI0



この後の話はというと、約束通り彼女との関係は何も変わらなかった。
勿論登校の会話、ダンスの応援についても変わらない。


変わったのは俺自身だった。


大きな変化を具体的に挙げるなら、2年の終わりにサッカー部をやめたことだ。

理由は部活を何度もサボって彼女のダンスを見に行っていたからだ。
ただの練習ならまだいいが、大会をサボって見に行ったのがいけなかったらしく
顧問から説教をくらうハメになり、女と部活を天秤にかけられたので女をとった。

中学の時はそれなりにサッカーが好きだったが、高校に入ってからはそれほど好きではなくなったので正直どうでもよかった。
部活の友達からは、自分を貫け!などと背中を押されたのでその通りにした。
未練も後悔もない。

他に挙げると、3年になってから体育祭では応援団の副団長をやったり文化祭では劇の主演をやったりと、
普段目立たないような俺がとても目立つようなことをやった。


なぜこんな活発になったかは自分でもわからない。
だがおそらく彼女に見てもらいたかったのだと思う。
何を見てもらいたかったのかも言葉にできないが、まぁそんな感じだろう。

29 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 16:20:22 ID:ZtrMSwuI0
ちなみに彼女のことは好きなままだ。
むしろ前より好きになっていたと思う。


彼女に彼氏ができたからって諦められるような半端な恋などしていない。
てか諦めようと思って諦められるなら、そんな恋などやめてしまったほうがいい。


恋なんて壁にブチ当たってなんぼのものだ。
当たって砕けろ、なんて言葉があるが本当に砕けた人間を見たことがあるか?
ないだろ?
人間意外と丈夫なものだ、俺は壁にブチ当たりまくる。

そんな俺の気持ちを察してくれたのか、彼女は前よりも仲良くしてくれた。

勿論つらいこともあった。
目の前でイチャつかれたときは発狂しそうになったが、それでも黙って見過ごした。
これが負け犬の宿命なのかと思い知らされた。


それでも、彼女が幸せならそれでよかった。
彼女の幸せが一番の願いだったから。


時が経つにつれ考え方も変わっていき、俺は彼女を幸せにする恋人の存在ではなく、
彼女の幸せを見守る兄妹みたいなものなのだと思えるようになった。
実際彼女にもそのようなことを言われた。
そのおかげで割り切って過ごせるようになったのだ。

30 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 16:22:50 ID:ZtrMSwuI0
高校最後の夏休みが明けてからは、あっという間に終わりへ向かっていった。
志望大学に向けて一日中勉強する日々が続き、冬休みには合格祈願をしに行き、
センター試験を受け、本受験をした。

すべてが終わり、喜びの涙を流す者もいれば悲しみの涙を流す者もいた。
俺はというと、第一志望は落ちたものの第二志望は受かることができたので、
泣きはしなかったがそれなりに喜びはできた。
彼女の方は、第一志望の大学に受かることができ大喜びしていた。

ほとんど同じであった学生生活がついに分かれてしまう。
理系と文系で異なるため同じ大学に行けないことはわかっていたが、それでも悲しい。
しかし、この年になってまで、好きな人を追いかけるために進路を変えるほど馬鹿ではない。
おとなしく自分の道を進むことを決めていた。

31 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 16:25:23 ID:ZtrMSwuI0
高校の卒業式は中学とは違い、あまり感動するようなものではなかった。
適当に式を終わらせた後はそれぞれのクラスに戻り、担任からのあいさつと個人の
あいさつを済ませ、形式的なお別れした。

その後は皆友達同士で写真を撮り合ったり、卒アルにメッセージを書いたりなどと
個人での別れをした。
俺も友達との別れを済ませ、最後に彼女のところへ向う。

廊下に出ると彼女がこっちへ向かってくるのが見えた。




(*゚ー゚)  ('A`)




タイミングが被ったらしい。
以心伝心、流石だと言いたい。
写真を撮りメッセージを書いたところで彼女が話し出す。

32 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 16:28:28 ID:ZtrMSwuI0





ついに別れちゃうね


な、俺すげぇさみしい


私はそんなに


えーマジかよ


だって家近いしすぐ会えんじゃん、てか会うつもりだし


お、おう


ね?さみしくないでしょ?


俺しぃのそういうとこ大好き


バカ。まぁそんな感じだからお別れの言葉なんて用意してないよ?


あぁ、そんなんいらねぇな


よし、じゃあ他の人のとこ行ってくる!またね!


おう、またな




.

33 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 16:35:57 ID:ZtrMSwuI0
俺達の挨拶はこれでおしまい。
短いと思うかもしれないが、俺は満足だった。
また会ってくれると言ってもらえたのだから。

俺も他の友達と別れを済ませ、帰ることにした。

ふりかえれば、恋人はできず片思いをしたままだったが、それなりに楽しい高校生活を満喫できた。
彼女とはもう同じ学生生活を送ることができないが、それでも大学生活は楽しいことで
いっぱいなのだろう。

そんな期待を胸に、高校を後にする。



こうして、俺の高校生活は幕を閉じた。


.

34 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 16:37:39 ID:ZtrMSwuI0

ここで話は終わらない。
もう少し続くので付き合ってほしい。

ここからは大学に入ってからの話だ。
先に言っておくと、彼女とは9月まで会うことはなかった。
連絡はちょくちょく取っていたのだが、お互い忙しくて会う時間がなかったからだ。

そして今からちょっと脱線した話をする。
その話とは大学入学から彼女に会うまでに起こった出来事についてだ。

なぜそんなことを話すのかって?



それは俺に恋人ができたからだ。
彼女ではない他の人で―――


.

35 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 16:39:51 ID:ZtrMSwuI0
俺は大学に入学した。

大学に入るにあたって一番心配していたことは、自分のコミュ力のなさと人見知りについてだった。
中高は昔なじみの知り合いがいたためなんとかなったが、この大学には知り合いは
先輩を含め一人もいない。
こんな俺が友達など作ることができるのだろうか。
朝から緊張と不安で、吐き気と腹痛が生じていた。

しかしこんな心配は無用だった。




(´・ω・`)!




入学式の前にガイダンスがあり一度大学に集まったのだが、その昼休みの時間に
いきなり俺に声をかけてきた男がいた。

席が近くとかじゃないんだぜ?
むしろめっちゃ遠い席なんだぜ?
なのにわざわざこっちまで来て俺に話しかけてきたんだぜ?
ビビるよね。

まぁその男は俺と違いコミュ力がある男だったので、こんな俺でも会話することができた。
普通にいいやつだったため連絡先も交換し、友達1号となったのだ。

36 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 16:43:17 ID:ZtrMSwuI0




( ゚∀゚)!




さらに運のいいことに、ガイダンスで隣にいた男もフレンドリーな人柄であり、友達2号となった。
こいつとの出会いは普通だったが後になってブッ飛んでるやつだと知る。

友達2号はすでにグループを持っており、俺と友達1号はそのグループに入れてもらい、
幸先のいいスタートダッシュを行えたのであった。



無意味な前置きが長いって?
すまんすまん、これから話すよ。

37 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 16:49:24 ID:ZtrMSwuI0
話が動き出すのは5月の実習からだ。
実習が早めに終わったため、皆で友達2号の家に遊びに行った。
彼は一人暮らしで好き放題することができ、昼間から酒をガンガンに飲んだ。

テンションの上がった俺達はここで気づいた。
男だけじゃん。
華ほしくね?

ということで友達2号が最近仲良くなった同じ学科の女子を呼ぶことに。




(゚、゚トソン川 ゚ -゚)川д川( ^ω^)




来てくれたのは4人。
その中にその恋人がいた。

一応言っとくが、一番右の奴も女だ。


この日にスマブラで盛り上がり、仲良くなって、男女のグループができた。
そんでもってグループでよく遊ぶようになった。
元々俺達はオタクの集まりであり、女子達もそれなりにオタクだったので、漫画やアニメ、
ゲームの話でかなり盛り上がった。

38 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 16:51:52 ID:ZtrMSwuI0




(゚、゚トソン




この女子の中で一番仲良くしていたのがその恋人だった。
向こうからよく話しかけてくれ、なおかつ趣味がとても合い楽しく会話できた。

正直その時は友達以上恋人以下の関係を俺は望んでいた。


彼女のことがまだ心の隅に残っていたからだ。


だが友達からの押しや恋人からのアプローチで心が揺らぐ。
この関係が崩れてしまうのが嫌だということもあったが、人一倍失恋のつらさを知っているため
恋人に悲しい思いをさせたくなかった。

なにより、涙を流す姿を見たくはなかった。


一週間悩みに悩んだ末、猛突進してくる思いに正面から向き合う覚悟を決めた。

39 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 16:54:55 ID:ZtrMSwuI0
ちょうど試験1週間前だったので一緒に勉強をする約束をし、そこで告白しようと考えた。
むこうがある程度俺に好意を持っていることを知っていたので、デキレースではあったのだが
それでも緊張した。

勉強を終わらせ、いつものごとくオタク話に花を咲かせながら駅まで歩く。




(゚、゚*トソン




夕焼けに照らされた恋人の顔がいつもより可愛く見え、少しキュンとした。
ホームに着くと俺たち以外の人はいなかった。
この静けさが俺達を気まずくさせ、沈黙させる。

ふと恋人を見る。
恋人も俺のことを見ていたため、目が合ってしまった。
恋人はすぐに目をそらしたが、俺を見つめていた目はある言葉が出てくることを期待―――
いや、願っているような気がした。

応えてやろうじゃないか。
タイミング的にも今しかなかった。

40 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 16:56:52 ID:ZtrMSwuI0




(‘A`)!




いきなりでごめん。好きです、もしよかったら付き合ってください




Σ(゚、゚*トソン!?




恋人はあたふたしはじめた。

どうやら俺の予想は間違えだったみたいだ。
急に言われたためか相当パニクっていた。

いったん気持ちを落ち着かせるために深呼吸し、その後顔を赤く染めながら小さい声で
答えてくれた。

41 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 16:59:24 ID:ZtrMSwuI0




(/、//トソン




私も好きです。是非、お願いします




こうして俺たちは付き合うことになった。


恋人と付き合ってからは毎日が楽しかった。
大学では毎日ではないが昼飯や授業、下校を共にしたり、休日はショッピングや水族館に
行ったりもした。
季節が夏ということもあり、花火やプールにも行った。
初めての恋人であったため一つ一つが新鮮であり、恋人のいる幸せを噛み締めることができた。

そして俺の誕生日、恋人は俺に人生で最高のプレゼントをくれた。
そのとき俺は、この人しかいない、この人と生きていきたいと強く思った。

42 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:01:56 ID:ZtrMSwuI0
そんな素敵な誕生日を恋人以外にも祝ってくれた人がいた。




(*゚ー゚)




そう、彼女だ。

ここから彼女の話に戻す。

俺が彼女の誕生日を祝うときに必ず0:00にLINEを送るようにしている。
誰よりも早く祝ってやりたいからだ。
そのせいか、彼女もまたそうしてくれた。




誕生日おめでとう!
お祝いに奢ってあげるから近々会わない?




そんな内容だった。
祝ってくれるのはありがたいし彼女としばらく会えていなかったため、もちろん!とOKの返事をした。
俺はワクワクしてその日を待った。

43 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:08:06 ID:ZtrMSwuI0
ここで彼女と会った日まで一気に進める。

この日は居酒屋で飲むことになっていた。
目的の居酒屋に着くと、見知った女性が一人立っていた。
もちろん彼女だ。
むこうも俺に気付き挨拶をしてきた。




(*゚ー゚)+




久しぶりに会った彼女は昔のような可愛さもあったのだが、どこか大人っぽくも感じられ、
大学生になったのだなということを強く感じた。

最初はお酒を飲みながらそれぞれの大学生活について語った。
授業が思っていたよりつまらなかったとか、おもしろい友達ができたとか、本当に色々話した。
このときの俺の彼女に対する感想としては、学生活を多少は楽しめてはいるが謳歌は
できていないのだなというものだった。

彼氏がいるのだし、そこそこ楽しいだろうに。

だが、しばらくして酔いが回り始めたのか愚痴が多くなり、謳歌できていない理由を知ることになった。

44 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:11:39 ID:ZtrMSwuI0




彼氏と別れた




彼女の口から出た一言だった。
彼氏とは大学に入って1ヵ月ほどで喧嘩別れをしたらしく、今はこれっぽっちも
未練などないと言っていた。

しかし、恋人と過ごすことができなかった夏休みがわりとこたえたらしく、絶賛彼氏募集中のようだった。
夏休みといえばカップルでのイベントを一番楽しめる期間でもあるので気持ちはわかる。

ここから元彼の愚痴が始まった。
聞いた内容では、そいつじゃなく俺を選んでおけばよかったのにと思う程度にはひどい話であった。

愚痴が始まって1時間強、これ以上彼女にお酒を飲ませるのはまずいと思い、会計を済ませ
近くの川を散歩することを提案した。

マジで荒れてたからね。

彼女はそれを了承してくれたので店を出た。

45 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:15:22 ID:ZtrMSwuI0
ある程度酔いがさめるまで歩くと、たまたまそこにベンチがあったので座ることに。




彼氏ほしいなぁ




彼女はつぶやく。
それはまるで俺に訴えかけているかのように聞こえた。




(*゚-゚)




ふと彼女を見ると、彼女もまた潤んだ瞳で俺を見つめていた。
それはまるで俺に訴えているかのように見えた。

まさか、思い上がりもいいところだと人は言うかもしれない。
でもわりとマジでそんな感じだった。


ってなると、これは非常にまずい。
このときはまだ俺に彼女ができたことを言っていなかった。
もしその事実を隠し彼女に告白すれば、おそらく彼女をものにできるだろう。

46 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:16:46 ID:ZtrMSwuI0




( A ;)




正直揺らいだ。
今まで好きだった、憧れだった人を恋人にできるチャンスが来たのだから。

しかし、その思考と同時に恋人の悲しむ顔も思い浮かんだ。
こんな俺を大切にしてくれている、愛してくれている人を裏切ってしまうのか。
今の幸せを、築き上げてきた幸せを捨ててしまうのか。


そんなこと、俺にはできなかった。


仮にできたとしても、こんな男が彼女の彼氏でいいわけがない。
こんな男が彼女を幸せにできるはずがない。
揺れた自分の心を恥じ、彼女に向けてこう言った。

47 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:19:41 ID:ZtrMSwuI0








( A )






俺さ、彼女ができたんだ







.

48 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:21:53 ID:ZtrMSwuI0




(* ‐ )




彼女の笑みが消えた。
驚きを隠せなかったのだろう。




そっかぁ、どっくんもついに彼女もちかぁ






.

49 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:22:53 ID:ZtrMSwuI0










……おめでとう、幸せになってね









.

50 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:25:17 ID:ZtrMSwuI0
彼女は切ない顔でそう言った。

俺は抱きしめたい衝動をグッとこらえ、ありがとうと答えた。


これでいいのだ、これで―――




帰ろっか、




そう言って彼女は歩き出した。


この後、彼女はさっきまでの雰囲気がなかったかのように俺に質問攻めしだした。
どうやって出会ったのか、どんな子なのか、どんなことをしたのか、どこが好きなのか。
そんなことを笑いながら話していた。

話しているうちに彼女の家に着く。
二人の時間がこれで終わる。

51 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:31:58 ID:ZtrMSwuI0




今日はありがとな。めっちゃ楽しかった


それはよかった。私も楽しかったよ


多分次はしぃの誕生日かな?


そうかもね、期待してるからね?


おうよ、大船に乗ったつもりで期待してな


どっくんの船は貧弱そうで怖いなぁ


おいおいそりゃねぇだろ



.

52 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:33:13 ID:ZtrMSwuI0




ねぇ、どっくん


ん?


私も、絶対に幸せになってみせるから


おう、しぃならなれるさ


うん、ありがと


じゃあ、またな


またね



.

53 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:36:36 ID:ZtrMSwuI0







俺は彼女が好きだ、愛している。


でもこの感情は、付き合いたいとか愛し合いたいとか、そういう類の感情を通り越した
感情になっている。


ただただ、彼女の幸せを願う愛なのだ。






.

54 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:39:33 ID:ZtrMSwuI0


この後の話をしよう。


この数週間後、彼女は友達の紹介により一個上の男性と出会うことになり、さらにその2か月後付き合うことになった。

彼女的には今まで出会ったことのないほどいい男らしく、会うたびに彼に関するのろけ話を
幸せそうに語っていた。
俺的には羨ましい限りなのだが、嫉妬の表情は見せずにいつも微笑ましく聞いていた。


さて俺はというと、年越しあたりから恋人との喧嘩が多くなり、
付き合って10ヶ月で別れることになった。

理由は単純で価値観の違いというやつだ。
価値観の違いなど必ず生じ、それをお互い容認するのが恋人だと思っていたのだが、
恋人は気を遣うのが嫌らしく別れを告げられた。

話し合って納得の上で別れたのだが、俺には恋人の存在は大きくかなりショックを受け、
しばらく病んだ。
恋人には絶縁されてしまったためこちらから話すことができず、それなのに大学でよく見かけるため
かなり苦しんだ。


学科内で恋人作るのダメ、絶対。

55 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:47:13 ID:ZtrMSwuI0
彼女にもだいぶ世話になった。


別れてから気づく。
俺には胸を張って言えるような趣味もなければ人より優れているところもない、引き出しが
少なすぎて会話もつまらないし人間性に面白味も感じない。
本当に空っぽな人間だった。

だからフラれてしまったのではないか。




(A )ヾ(゚ー゚*)



そんなことを考えて病んでいる俺を救ってくれた。

愚痴を聞いてもらったり慰めてもらったり。
俺がつらいときに会いに来てくれて、そばにいてくれたのだ。
彼女の優しい笑顔に、とても励まされた。
そんな彼女の言葉のおかげで、前に進むことができた。

前に進むことができたといっても新しい恋をしたわけではない。
今いる友達と全力で遊んで全力で学生生活を謳歌した。

56 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:49:58 ID:ZtrMSwuI0
そして就活の時期が訪れる。




(゚A゚)




就活は人生で一番の苦行であり、もう二度とやりたくないものであった。
マジでもう二度とやりたくない。
いったい何十社落ちたことやら……。

それでも何とか自分のやりたいことを仕事にすることができた。


彼女も就きたいところに就職が決まったらしく、二人で就職祝いに飲みに行った。

きっとしばらく二人で飲むことはできないだろうと思い、今までにないほど話をした。
過去のこと、今のこと、将来のこと、自分の意思や直面する現実についてなど様々なことを語った。
勿論笑い話も含めてだ。

57 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:54:54 ID:ZtrMSwuI0




(*゚▽゚) ('∀`*)




久々だということ、就活という名の呪縛から解放されたことにより、二人のテンションは
最高にハイ!ってやつだった。
ひたすら飲んで話した後は、毎度のように川を散歩して酔いを醒ましてから彼女を自宅まで送り届ける。
忙しくなるから会いづらくはなるが、まったく会えないわけではない。

俺達の別れの挨拶は単純。




じゃあ、またな


うん、またね




それだけ言って、背を向け、一歩踏み出すのだ。
それだけでいいのだ。

58 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 17:57:57 ID:ZtrMSwuI0










そして5年後―――









.

59 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 18:00:28 ID:ZtrMSwuI0




(,,*゚Д゚)(*゚ー゚)




彼女は結婚した。
大学の時から付き合っていた彼とだ。
その結婚式が今行われている。

世界一愛した女が、俺の目の前で俺ではない男と結婚した。

だが嫌な思いなどこれっぽっちもしていない。
むしろ彼女を見守っていた者として、彼女の幸せの瞬間を心から祝福している。


これが俺の彼女に対する愛なのだ。


.

60 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 18:01:46 ID:ZtrMSwuI0




(*゚▽゚)




彼女を見ると、めちゃくちゃうれしそうな表情をしていた。
あんな幸せそうな笑顔、今まで見たことがない。

そんなことを考えているうちに、彼女がふと目線を上げて俺の方を見た。




(*^ー^)




目が合うと同時に彼女の顔に笑みが広がる。
優しくて温かい、太陽のような笑顔。



君のその笑顔に、俺は恋したんだ。



彼女はその笑顔のまま、手を振り駆け寄ってきた。
おいおい子供かよ。
思わず笑みがこぼれる。

61 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 18:04:21 ID:ZtrMSwuI0





どっくん!


ん?どうした?


どう?綺麗なお嫁さんになれたでしょ?


ドレスは抜群に綺麗だけど、肝心の中身がなぁ……


ちょっとなにそれ!ひどすぎでしょ!


うそだよ、うそ。……世界一綺麗な花嫁だ、本当に


えへへ、ありがと。でももっと素直にならないと結婚できないぞ!


うるせぇ、大きなお世話だ




.

62 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 18:06:52 ID:ZtrMSwuI0





後でスピーチよろしくね?


おうよ、大船に乗ったつもりで期待してな


ドックンの船は貧弱そうで怖いなぁ


おいおいそりゃねぇだろ


あれ?この流れ前にもやったよね?


結構前にやったかもな


なんか昔に戻ったみたいだね!


いや、そんなことはない


もう!なんでそんなこというの!


ちょ、痛い!痛いからたたくなって!……ほら、向こうで呼ばれてるぞ


あ、ホントだ。行ってくるね!


おう、またな


うん、またね




.

63 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 18:09:20 ID:ZtrMSwuI0










男は、惚れた女を自分のものにできないと不幸だと思う。
けどそれは違うと俺は思う。



ほしいものが全部手に入ったら人生なんてなんも面白くもなんともないだろ?



手に入らないから、いいのさ。
手に入らなかった夢や恋だからこそ永遠であり、価値があり―――





思い続けられるのさ。









.

64 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 18:11:33 ID:ZtrMSwuI0










おーい、しぃ!!








なにー!?









.

65 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 18:13:17 ID:ZtrMSwuI0










('A`*)「結婚おめでとー!! 幸せになー!!」









.

66 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 18:14:48 ID:ZtrMSwuI0










(*゚ー゚)!









.

67 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 18:17:42 ID:ZtrMSwuI0










(*^ー^)









.

68 ◆lQljb90NiE:2016/04/01(金) 18:18:34 ID:ZtrMSwuI0










思い続けるようです 〜おわり〜









.

69名無しさん:2016/04/01(金) 18:54:07 ID:GR3rN09o0
やめて、心に来る

70 ◆mQ0JrMCe2Y:2016/04/04(月) 01:47:30 ID:qyjWCqBk0
【連絡事項】
主催より業務連絡です。
只今をもって、こちらの作品の投下を締め切ります。

このレス以降に続きを書いた場合

◆投票開始前の場合:遅刻作品扱い(全票が半分)
◆投票期間中の場合:失格(全票が0点)

となるのでご注意ください。
(投票期間後に続きを投下するのは、問題ありません)

詳細は、こちら
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1456585367/404-405

71名無しさん:2016/04/07(木) 00:13:37 ID:cW7TWeMM0

不器用な奴め……

72名無しさん:2016/04/07(木) 18:10:30 ID:YrgCMYB60

ああ……いいな、これ……
ドクオ…………

73名無しさん:2016/04/08(金) 03:47:00 ID:rdptzjvM0
読んでる途中酷く苦しくなった
でもドクオの中でしぃへの思いが段々うまく消化されていく様子は優しい気持ちにさせられた
合間合間に挟まるAAと!の使い方がまた良いね
>>37の一番右の奴も女って事で衝撃を受けたことも記しておこう
凄くよかった、乙

74名無しさん:2016/04/08(金) 07:44:14 ID:UQ0XQMSI0
朝から読んでて、切ないようで清々しい気分にさせられた
かなり好きな作品
乙でした

75名無しさん:2024/03/17(日) 13:52:23 ID:vJVOT.oE0
乙乙
とても良かった
爽やかだけどやっぱり胸が苦しくなる…
仲が良いけど運の悪さだけでは片付けられないような、ドクオとしぃには合いそうで合わないピースのようなもどかしさがありました


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