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( ^ω^)の冬休みのようです
1
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/03/31(木) 22:01:12 ID:Zui5vrAE0
キーンコーン、カーンコーン‥‥‥。
( ^Д^)「はい、それでは皆さん。気をつけて帰るように!」
(’e’)「よし、急げ!!また隣のクラスにグラウンド取られちまうぞ!!」
さようならの挨拶もおざなりに、男子たちは乱暴にランドセルを背負うと、グラウンド争奪戦に勝利すべく教室を飛び出していく。
女子たちもまた、仲の良いグループで固まり、楽しそうにお喋りをしながら教室を出て行く。
しかし、そのような中でブーンは一人、教室の掃除をしていた。
誰も手伝おうとする人影はなかった。
本来であれば教室の掃除は当番制であり、その当番の班が全員ですることになっている。
だが、みんなブーンに掃除を押し付けて帰ってしまったのだ。
それも掃除当番の班員ではないブーンに。
それでも、ブーンは何も言い返さなかった。
言い返せなかったのだ。
174
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:30:58 ID:hzNFG4rg0
('A`)「でもまぁ、伝えたいことはあるからな」
手に付いたお菓子の粉をティッシュで拭き、ブーンと向かい合わせに座る。
('A`)「とりあえずさ、短い間だったけど、お前とは何か昔っから知り合いみたいで、本当に楽しく遊べたよ」
照れくさいからか、頭をかきながら小さな声で言う。
('A`)「・・・ブーン。お前は弱くないんだ。何も怖がることなんかねぇよ」
('A`)「俺らと遊んでるときの、あの明るいお前が、本当のお前だろ?」
( A )「だから、さ。向こうに、ビップに帰っても、お前らしくいればいいと思うよ、俺は・・・」
震える声を抑えて、ドクオがぎこちない笑顔を見せる。
('∀`)「今日で帰っちまうけど、俺たちはずっと、友だちだからさ。また遊びに来いよ」
( ^ω^)「・・・ありがとだお、ドクオ」
はい次、とドクオが俯いて呟く。
175
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:32:12 ID:hzNFG4rg0
川 ゚ -゚)「それじゃあ、次は私が」
クーも崩していた足を直し、ブーンと向かって座る。
川 ゚ -゚)「ブーン、君と別れるのは本当につらいよ。本当に・・・」
いつもとは違い、真剣な顔をしたクー。
その瞳は、ブーンの目をしっかりと見つめている。
川 ゚ -゚)「私は、人と人との繋がりなんて、雪みたいなものだって思ってるんだ」
川 ゚ -゚)「脆くて、簡単に溶けて、砕けて、無くなってしまう・・・」
( ^ω^)「お・・・」
いつだったか、クーが同じようなことを言っていたのを思い出す。
川 ゚ -゚)「ただ、だからこそ美しくて、かけがえのないものなんだって思うんだ」
川 ゚ -゚)「ブーン。私たちとの繋がりだって、そのうち崩れてしまうかもしれない」
川 ゚ -゚)「私はそれが嫌だ。みんなだって、そう思ってる」
クーの手が、膝の上でぎゅっと握られる。
176
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:33:15 ID:hzNFG4rg0
川 ゚ -゚)「だから、私たちと過ごしたこの冬を忘れないでくれ」
川 ゚ー゚)「寒くなってきたら、雪が降る季節になったら、私たちと笑い合ったことを思い出してくれ」
( ^ω^)「クー・・・」
クーの瞳が、心なしか潤んでいる。
ブーンも涙を堪えるのに必死だった。
( ^ω^)「絶対に、絶対に忘れないお。僕だって、忘れたくないんだお」
川 ゚ー゚)「ありがとう、ブーン。君は、親友だよ」
指で目を擦り、優しい笑顔を見せる。
その笑顔につられて、ブーンの口元も緩む。
川 ゚ -゚)「さて、随分と大人チックな話をしてしまったな。ほら、ハイン。泣いてないで」
177
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:34:28 ID:hzNFG4rg0
从;∀从「だ、だってお前が、凄い良いこと言ってるから・・・」
既に号泣しているハインの頭をクーがワシャワシャと撫でる。
ティッシュで鼻をかみ、ふーっと一息ついて、ハインがブーンの目を見る。
从;∀从「ブーン。お前は、お前は本当に良いやつだよ。いっつも笑顔だし、ぽっちゃりなのに動けるしさ」
( ^ω^)「おっおっ、褒め言葉として受け取るお」
从;∀从「だからこそ、お前がいじめられてるっ知ってさ、あたし本当に腹立って・・・」
从#;∀从「何でこんな良いやつがいじめらないといけないんだって思って・・・!」
ハインがまた、大粒の涙を流す。
从;∀从「ブーン!お前がどんなにつらくたって、あたし達がずっと仲間だから!!絶対にだ!」
178
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:35:20 ID:hzNFG4rg0
( うω;)「ありがとだお、ハイン・・・」
ハインの感情が移り、今まで堪えていた涙が溢れ出す。
从;∀从「泣くなよブーーーン!もう泣くなー!!」
( ;ω;)「ハインのせいだおー!!」
二人で肩を叩き合って号泣する。
从;∀从「うぅ、これ以上は無理だ。泣き過ぎてつらい。あとジョルジュ頼んだ・・・」
_
(;゚∀゚)「泣きすぎだろお前ら・・・」
ブーンとハインを見て、ジョルジュが少し呆れた様子で言う。
179
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:37:20 ID:hzNFG4rg0
_
( ゚∀゚)「でもまぁ、ブーンが帰るのは俺もすっげぇ寂しいよ」
( ;ω;)「お、本当かお?」
_
( ゚∀゚)「当たり前だろ?」
_
( ゚∀゚)「冬休みの間だけって言ってもさ、こういうのって付き合ってた時間の長さじゃないと思うんだ」
_
( ゚∀゚)「ブーン。ドクオが言ったように、お前は決して弱くない。いじめられて仕方ないなんて、俺は絶対に思わないよ」
_
( ゚∀゚)「たとえ離れてても、俺たちは親友だろ?今度は夏とかに遊びに来いよ。川釣りも教えてやっからさ!」
いつもと変わらない笑顔を見せて、ジョルジュがブーンに拳を突き出す。
( ;ω;)「ありがとだお、ジョルジュ」
その拳に、ブーンも拳を合わせる。
180
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:38:15 ID:hzNFG4rg0
_
( ゚∀゚)「さ、ツン!締めてもらおうか!」
('A`)「考える時間もあったしな」
冷めてしまったココアを一口飲んで、ツンがうーんと唸る。
ξ゚⊿゚)ξ「大体言おうと思ってたことも、みんなに言われちゃったしなぁ・・・」
ξ゚⊿゚)ξ「でも、みんなあんたのことを友だちだって思ってるのは嘘偽りのないことよ」
ξ゚⊿゚)ξ「あんまり思いつめないでさ、たまには逃げたっていいと私は思うの」
ξ゚ー゚)ξ「その時は、またソーサクに来なさいよ。ケーキくらいならご馳走してあげるからさ」
言い終えて、ひらひらと手を振る。
他のみんなと比べると短い挨拶だが、それがツンらしいなと思った。
181
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:39:01 ID:hzNFG4rg0
( うω;)「みんな、本当にありがとうだお・・・」
涙を拭い、目を閉じて深呼吸をする。
みんなに伝えたいことが頭の中をぐるぐる回る。
それを出来るだけ短くまとめて伝えようとする。
( ;ω;)「ソーサクに来る前は正直不安だったお。いじめられていることを隠し通せるのかって」
( うω;)「でも、考え過ぎだったお」
( ;ω;)「みんな、僕のことを友だちとして受け入れてくれて・・・。僕のためを思って、声をかけてくれて」
( ;ω;)「あぁ、僕はこのままで良いんだって、初めて気がついたお」
182
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:40:08 ID:hzNFG4rg0
( ;ω;)「クーと一緒にいると、何だか僕まで自信が湧いてきて。それが大事なことだと思ったお」
川 ゚ー゚)「胸を張って生きているだけさ」
( ;ω;)「ドクオと一緒にいると、気兼ねなく、本当にありのままの自分を出すことが出来たお」
('∀`)「そういってくれんのは、スゲェ嬉しいよ」
( ;ω;)「ハインと一緒にいたら、いつも笑っていられたお。ビップにいるときは、そんなこと全然無かったのに」
从;∀从「ああああぁ、折角ちょっと泣き止んだのにぃ・・・」
( ;ω;)「ツンといると、毎日がただただ楽しくて仕方なかったお」
ξ゚ー゚)ξ「それは大げさよ」
( ;ω;)「ジョルジュには、ジョルジュには僕が間違えてるって、真っ直ぐに指摘してくれたお」
( ;ω;)「ジョルジュのお陰で、僕は吹っ切ることができたお」
_
( ゚∀゚)「友だちのためだ。殴ったのは、本気で悪いと思ってるけどな」
183
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:40:52 ID:hzNFG4rg0
みんな、ブーンの話に笑顔で答えてくれる。
ハインだけは、号泣度がマックスに達して、鼻水もとんでもないことになっているが。
( ;ω;)「そして、いじめに負けないように、少しずつ頑張っていく勇気をみんなには貰ったお」
( ;ω;)「ソーサクで過ごした、みんなと過ごした時間は、僕にとっての大切な宝物だお!」
( ;ω;)「僕と友だちになってくれて、本当にありがとうだお!!」
みんなに向かって、頭を下げる。
もう、涙で前は見えなくなっていた。
184
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:42:02 ID:hzNFG4rg0
从;∀从「うぉぉぉ!ブーン!」
ハインがものすごい勢いで飛びかかってきて、頭をバシバシと叩く。
( ;ω;)「痛っ!痛いおっ!」
(うA`)「ほら、痛がってんだろハイン」
从;∀从「だって!だってブーンが・・・!」
( ;ω;)「大丈夫だお、絶対また会いに来るからお・・・」
( ;ω;)「おーん!おーん!」
川 ゚ー゚)「はいはい、二人とも顔ぐしゃぐしゃじゃないか。ほら、鼻かみなよ」
( ;ω;)「お・・・、ありがとだお」
( ;ω;) チーン
('A`)(・・・漫画みたいな音だな)
从;∀从 ブァー!ブォーン!!
( ;ω;)(エンジンみたいな音出すおね)
从;∀从 ピーピー
从;∀从(鼻から笛みたいな音鳴る・・・)
185
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:43:02 ID:hzNFG4rg0
_
( ゚∀゚)「・・・それじゃ、そろそろ行くかー」
( うω;)「もうそんな時間になってたのかお」
川 ゚ -゚)「折角だし、最後まで見送らせてもらうよ」
( ^ω^)「お、ありがとだお!」
ξ゚⊿゚)ξ「よし、忘れ物は無いわね。じゃあ出ましょうか」
コートを羽織り外に出ると、雪が静かに降っていた。
ジョルジュとハインがふざけ合いながら、ドクオとクーがそれを眺めながら、ブーンの前を歩いていく。
( ^ω^)(この雪も、みんなの後ろ姿を見るのも最後かお・・・)
さっき散々泣いたのに、また涙がこぼれそうになる。
186
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:43:57 ID:hzNFG4rg0
ξ゚⊿゚)ξ「・・・雪、綺麗よね」
隣を歩いていたツンが、ポソリと言う。
( ^ω^)「本当にそう思うお・・・」
道の先では、3対1でドクオに雪玉が集中している。
( ^ω^)「みんなのこんな光景を見てると、何でか泣きそうになるんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「そいえばさ。さっき、あんた言ってたじゃない?最近朝起きたらーって」
( ^ω^)「ああ、言ったおね」
ξ゚⊿゚)ξ「私も、さ。最近寝る前とかに考えるのよね」
ξ -⊿-)ξ「あぁもう少しでブーンが帰っちゃうんだなぁって」
(*^ω^)「おっ、寂しがってくれるのかお?」
ξ;゚⊿゚)ξ「ば、バカじゃないの?あんたは大袈裟に受け取りすぎなのよ!!」
顔を赤くして、バシバシと肩を叩かれる。
187
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:44:56 ID:hzNFG4rg0
ξ*゚⊿゚)ξ「でも、そりゃ少しはね・・・。何かあんたって放っておけないし!」
(*^ω^)「それでも、そう言ってくれるのは嬉しいお」
ξ*゚⊿゚)ξ「だ、だから!また絶対こっちに来なさいよ!少しは成長してね!」
(*^ω^)「おっおっ、頑張るお」
ξ゚ー゚)ξ「・・・うん。あんたはそうやって、笑顔でいた方が絶対に良いわよ」
(*^ω^)(おっ・・・)
寒さと恥ずかしさのせいで、顔が少し赤らんでいるツンの笑顔。
それは、この先ずっと忘れられないものだった。
188
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:46:06 ID:hzNFG4rg0
( ^ω^)「つーおばさん。本当にお世話になりましたお」
【喫茶ひととき】の前に停めてあるショボンの車に荷物を載せた後、改めてつーに対してお礼を言う。
(*゚∀゚)「いいんだよ!私も楽しかったし、ブーンの助けになったんなら嬉しいよ」
にっこりと笑顔を見せ、ブーンの頭をわしゃわしゃと撫でる。
つーに撫でられるのは、母に撫でられる時とはまた違う安心感がある。
(*゚∀゚)「またいつだって遊びに来ていいからね?今度はお母さんも連れてさ!」
(*^ω^)「ありがとうございますお!」
( ´・ω・`)「さて、そろそろ行こうか。みんなも、わざわざ見送りに来てくれてありがとね」
189
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:47:10 ID:hzNFG4rg0
_
( ゚∀゚)「やっぱ少しでも一緒にいたいんで!」
从;∀从「うぅ、また涙が・・・」
(*゚∀゚)「ブーンは本当良い友だちに恵まれたね!」
(*゚∀゚)「みんなは良かったらココアでも飲んでいきなよ」
川 ゚ -゚)「すみません、ありがとうございます」
川 ゚ー゚)「それじゃあ、ブーン。私たちはここで待ってるからな」
クーがひらひらと手を振る。
その表情はいつもと変わらない、何だか自信に満ちた表情。
会える日が必ず来ると、信じて待っていてくれるんだろう。
190
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:48:14 ID:hzNFG4rg0
( ^ω^)「みんなには、ありがとうじゃ足りないおね」
_
( ゚∀゚)ノシ「そんなん良いんだよ!また笑ってさ、バカやって遊ぼうぜ?それだけでいいんだよ!」
ジョルジュもまた、普段と変わらない笑顔でブーンに手を振る。
('A`)「それじゃあな、ブーン。楽しかったよ!」
从;∀从「ああぁぁぁ・・・。今は涙止まんないけど、次会う時までには泣きやんどくぞー!」
( ^ω^)ノシ「おっおっ、そしたらまたねだおー!」
191
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:49:24 ID:hzNFG4rg0
別れの時間は長くなればなるほど、つらくなるものだ。
みんなに手を振って車に乗り込もうとした時、突然、ツンの呼び止める声が聞こえた。
ξ;⊿;)ξ「ねぇ!その・・・」
( ;^ω^)「ツン・・・?」
ξ;ー;)ξ「ブーン!わ、私も、待ってるからね!!」
今まで涙を見せなかったツンが、泣いていた。
ただ彼女らしく、ただ泣くんじゃなくて、必死に笑顔を見せようとしていた。
192
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:50:14 ID:hzNFG4rg0
(*^ω^)「・・・絶対戻ってくるお!!」
ξうー;)ξ「うん!!」
だからこそ、笑顔で返さないと。
彼女が、笑顔の僕が良いと言ってくれたから。
193
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/02(土) 11:51:07 ID:hzNFG4rg0
以上、第3章【初めての親友と冬休みの終わり】でした
次回最終回となります
194
:
名無しさん
:2016/04/02(土) 11:52:15 ID:Z3QcXWBs0
乙ワクテカしてまってるよ
195
:
名無しさん
:2016/04/02(土) 11:59:36 ID:wbRoiMO.0
よかったなあブーン
いい友達ができた
次も楽しみに待ってる
196
:
名無しさん
:2016/04/02(土) 15:38:52 ID:QYd.UNZo0
早く!早く!
197
:
名無しさん
:2016/04/02(土) 19:02:48 ID:KS.dvD960
乙
この話、すげー好きだわ
続き待ってる!
198
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 05:42:41 ID:0FtvOE/g0
車から降り、肺いっぱいに空気を吸い込む。
この町の冬の匂いは、3年前とまったく変わっておらず、それだけで涙が出そうになった。
そしてこの店、【喫茶ひととき】も何一つ変わっていなかった。
澄み渡った空の青さも、静かに積もった雪の白さも、張りつめた冷たい空気の透明さも、全てが同じだった。
たった3年、離れていただけなのに。
たった半月、ここで過ごしただけなのに。
何もかもが、ひどく懐かしく思えた。
この町と離れている間、みんなとの再会をずっと思い描いていた。
この町を離れたあと、ずっと一つの夢を抱いていた。
今日は、その第一歩目だ。
199
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 05:44:01 ID:0FtvOE/g0
ミセ;゚ー゚)リ「つーちゃん今更だけど、本当にごめんね?たくさん迷惑かけると思うけど・・・」
(*゚∀゚)「いいんですいいんです!元々、部屋も余ってましたし!」
( ´・ω・`)「気にしなくてもいいよ、ミセリ。ブーン君も、もう子どもじゃないからね」
( ´・ω・`)「それに、ブーン君にこの道を進んでもらうのは、僕らにとっては嬉しいことさ」
(´-ω-`)「あの頃から思っていたが、ブーン君の舌は中々に優秀だよ」
母たちのやり取りを少し離れて聞く。
我ながら、ひどくわがままを言ってしまっていると申し訳なく思う。
だけど、ここまで周りに迷惑をかけてまで、進みたい道があった。
多分、僕が一度もソーサクに来ていなかったら、この道は選択肢にも入らないだろう。
母と話し合い、ショボンやつーへ相談しながら、ブーンがやりたいならとオーケーをもらったのだ。
200
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 05:45:15 ID:0FtvOE/g0
ミセ*゚ー゚)リ「ブーン、荷物は私が運んでおくからさ。行っておいでよ、友だちのとこ」
( ^ω^)「おっ、いいのかお?」
ミセ*゚ー゚)リ「ずっと会いたがってたじゃない。ほら、行ってきなさい!」
母に背中を押され、大きく頷く。
いってきます、と3人に手を振って、【茂良菓子舗】へ向かって走る。
再会への不安は、不思議と全くなかった。
頭の中を過るのは、あの頃の思い出。
どんな顔をして、驚いてくれるだろう。
僕のリアクションが面白いからといって、いつもちょっかいを出していた人。
僕の笑顔が良いといって、最高の自信を与えてくれた人。
ソーサクに帰ってきたら、真っ先にその人へ会いたかった。
201
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 05:46:46 ID:0FtvOE/g0
( ^ω^)(変わってないおー)
【茂良菓子舗】もまた、3年という時間の中でも何一つ変わっていなかった。
弾んだ息を整え、店内に足を踏み入れる。
(゚、゚トソン「いらっしゃい・・・」
(゚ー゚トソン「あら、久しぶりですね」
商品の陳列をしていた店員、トソンがブーンへ笑顔を見せる。
( ^ω^)「ご無沙汰していますお。えっと、ツンいます?」
(゚ー゚トソン「はいはい、ちょっと待っててね」
トソンが店の奥へとツンを呼びに行く。
( ^ω^)(あ、このチーズケーキ凄い美味そうだお)
ショーケースの中のお菓子も、どれも相変わらず美味しそうだった。
202
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 05:49:02 ID:0FtvOE/g0
( ^ω^)(お、新作の抹茶シュークリーム・・・。後で買おうかお)
( ・∀・)「チーズケーキと抹茶シューくらいならご馳走するよ」
( ;^ω^)「おわっ!モ、モララーさん!」
いくらショーケースに集中していたとしても、人が近づいて来たら分かるものだ。
なのに一切気配なんて感じなかった。
それに、常識的に考えて読心術なんて使えるわけがない。
( ・∀・)「ま、訓練の賜物さ」
( ;^ω^)(地の文まで読まれるし、一体何の訓練積んでんだお)
( ・∀・)「ともかく!久しぶりだね、ブーン君。話はショボンさんから何となくは聞いていたよ」
( ^ω^)「お、そうなんですかお?」
( ・∀・)「あぁ。もちろん、ツンには言ってないけどね」
そう言って、悪戯な笑みでウインクをする。
203
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 05:50:34 ID:0FtvOE/g0
ξ゚⊿゚)ξ「・・・え?」
( ^ω^)「お・・・」
( ・∀・)「ほら、ツン。会いたがってただろう?」
店の奥から出てきたのは、ずっと会いたかった人。
小さな顔に、切れ長の目。
あの頃から身長は伸びているが、それ以外は全く変わっていなかった。
何でここにいるの?と困惑の表情で、ブーンを見つめている。
その顔が何だか可笑しくて、笑いそうになってしまう。
ただ、後が怖い。
ここは笑うのを堪えて、帰ってきた挨拶をしよう。
204
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 05:51:57 ID:0FtvOE/g0
( ^ω^)「ただいま、だお」
ξ゚ー゚)ξ「・・・待たせすぎよ、バカ」
変わらない、笑顔。
そう、この笑顔が大好きなんだ。
205
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 05:54:15 ID:0FtvOE/g0
ツンと会った後、みんなにも顔を見せようと行くことで連絡を取り、ハインの家に集合していた。
みんな、ブーンとの再会に驚き、そして喜んでくれた。
みんなも全然変わっておらず、何だか安心した。
聞くと、ジョルジュとハインは中学校でバスケをやっていたらしい。
しかも二人ともエースだという。
ただ、体つきこそしっかりしているものの、ハインもジョルジュも身長は然程変わっていない。
特にジョルジュはその点を不満がっていた。
クーも相変わらずで、溢れんばかりの謎の自信と独創性をもってして、みんなを巻き込んでいるようだ。
ドクオはそんなクーに一番振り回されて、毎日苦労しているらしい。
206
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 05:55:57 ID:0FtvOE/g0
_
(;゚∀゚)「それしても、ブーンが俺らの高校に、来るとはなぁ・・・」
( ^ω^)「おっおっ。ソーサク高校に推薦入学して、ショボン叔父さんのところでコーヒーのことを教えてもらうんだお・・・」
Σ( ;^ω^)「あぁ!ハイン、鼻水はやめて!!」
从;∀从「うぉぉ、一旦泣きやもう・・・」
(;'A`)「会ってからずっと泣いてるじゃねぇかよ・・・」
ξ゚⊿゚)ξ「それにしても、喫茶店をねぇ・・・。ま、夢があるのは良いことよね」
(*^ω^)「頑張って、将来は自分のお店を持つんだお!」
川 ゚ー゚)「ただ、ブーンは頭も良かったし、わざわざこんな田舎の高校じゃなくても良かったんじゃないか?」
( ;^ω^)「まぁショボン叔父さんから教えてもらいたかったっていうのもあるんだけどね・・・。他のとこだと、下宿代とかも結構かかるし」
207
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 05:57:10 ID:0FtvOE/g0
( ^ω^)「それに、みんなに会いたかったし・・・」
从 ゚∀从
从;∀从
从;∀从つ「ブーーーーーン!!!」
(; ゚ω゚)「おごぉ!!鳩尾はだめ・・・」
('A`)「ま、ブーンの決めた進路だからな。俺らが口出しなんて出来ねぇよ」
('∀`)「これから一緒に遊べんのは嬉しいしな」
208
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 05:58:03 ID:0FtvOE/g0
_
( ゚∀゚)「そーだな!よし、これから鬼ごっこしに行くか!」
川 ゚ー゚)「ほう、私たちに勝負を挑むとは。ジョルジュも偉くなったもんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「自惚れは身を滅ぼすわよ」
_
(;゚∀゚)「くっ!言ってやがれ!うし、外行くぞ外!!」
_
(;゚∀゚)「おら、ハインも泣いてねぇで!」
从;∀从「うぐっ、いまいぐってば・・・」
209
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 05:59:13 ID:0FtvOE/g0
みんな張り切って、外へと飛び出していく。
(*^ω^)「行くおー!」
ブーンもみんなに続いて、外へと出る。
川 ゚ -゚)「おっと、ブーン」
( ^ω^)「お?どうしたお?」
急にクーとハインに呼び止められ、耳を貸せと言われる。
从 ゚∀从「ツンはな、彼氏いたことないぞ」
川 ゚ -゚)「告白されても、ちゃんと断ってたぞ」
二人が悪いことを企んでいる顔で、そっと耳打ちする。
( ;^ω^)「き、急に何の話だお!?」
从 ゚∀从「なーにもー?ただの情報提供だぜー?」
川 ゚ー゚)「じゃ、健闘を祈る」
にやけ顔でそう言うと、前を行くジョルジュたちの方へと走っていく。
210
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 06:00:31 ID:0FtvOE/g0
( ;^ω^)(全く、何なんだお・・・)
( ;^ω^)(べ、別にツンに彼氏がいるかどうかなんて、気にしてなかったしー!)
ポーカーフェイスを意識して、動揺している気持ちを落ち着かせる。
( ^ω^)(それにしても、懐かしいおね・・・)
昔は、毎日のように見ていた光景。
昨日まで、夢にまで見ていた光景。
ジョルジュとハインがふざけあって、クーとドクオがそれを笑っていて。
そして・・・。
211
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 06:01:43 ID:0FtvOE/g0
ξ゚ー゚)ξ「・・・何か、懐かしいね」
( ^ω^)「だおね・・・。でも、みんなあんまり変わってなくて良かったお」
ξ゚⊿゚)ξ「確かにね。小学生から、体だけ大きくなりましたーって感じね」
ξ゚⊿゚)ξ「高校生になるっていうのに、鬼ごっこしてる人たちなんて、なかなかいないわよ」
( ^ω^)「そのくせ、ツンも結構ノリノリだったお」
ξ゚⊿゚)ξ「まっ、遊べるうちに、遊んどかないとね」
212
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 06:03:03 ID:0FtvOE/g0
ξ*゚ー゚)ξ「それに・・・。ブーンも帰ってきたし」
(*^ω^)「・・・ありがとだお」
そして、ツンが優しく微笑んでくれていて。
雪はあの頃と同じように、心奪われるほど真っ白だった。
213
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 06:04:46 ID:0FtvOE/g0
以上、最終章【雪の季節に】でした
たくさんの乙、ありがとうございました
214
:
名無しさん
:2016/04/03(日) 07:06:37 ID:JdCRVOy.0
乙
心が暖かくなった良い作品だった!
215
:
名無しさん
:2016/04/03(日) 07:58:40 ID:t2gkAICk0
乙
出来ればニダー達との関わりがどうなったか知りたかったな
216
:
◆IDKgEZ2b96
:2016/04/03(日) 10:52:42 ID:0FtvOE/g0
>>215
その点を書くかどうか悩んだんです
構想上では宿題をやってなかったことでニダーたちと大ゲンカ→中学からはいじめ脱却的な感じです
217
:
名無しさん
:2016/04/03(日) 11:59:36 ID:pyMzJzZk0
まぁ今の( ^ω^)見ればいじめられなくなったのわかるけど描写して欲しかったな
218
:
名無しさん
:2016/04/03(日) 12:18:01 ID:qn.J5W2k0
これはこれで綺麗な終わり方だし
いじめについて読者の想像がちゃんと及ぶ書き方だから満足だよ
いい話だった乙
219
:
◆mQ0JrMCe2Y
:2016/04/04(月) 01:40:39 ID:PxUnJIBo0
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220
:
名無しさん
:2016/04/07(木) 11:50:08 ID:.O054vjY0
乙
ちくしょう泣いたぜ
221
:
名無しさん
:2016/04/10(日) 14:57:15 ID:iRllYli.0
乙!心が温かくなるいい話だった。
コーヒーが飲みたくなったよ
222
:
名無しさん
:2016/04/21(木) 23:55:58 ID:fC5WpYg.0
ほのぼのとは何たるかを思い出しました
乙
223
:
名無しさん
:2024/04/09(火) 12:27:35 ID:XlKG27PM0
乙乙
ブーンが必要としていた澄んだ気持ちと温かさが、舞台によって満たされていく物語で、とても良かった。
実写でも見てみたい作品
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