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明日からも私達
1
:
レモンちゃん
:2015/01/13(火) 13:45:59
『女子っぽくないね』
『彼氏いたことある?ってか好きな人いたことあんの?』
『花琳は男嫌いだし、別にいいでしょ』
『三浦の事別に好きじゃないんでしょ?なのに何で一緒にいるの』
男が嫌い。そんな事一言もいってない。
むしろ女子の方が苦手。
男っぽいって言われる。良い気持ちな訳ない。
三浦の事何とも思ってない?
ううん、好きな人だったの。
みんな私を決めつけないで。
私を作らないで。
2
:
すず。
◆373yX0aV6U
:2015/01/13(火) 16:49:31
なんか同感できる話なので、続きが気になります…。
更新頑張ってください!
3
:
レモンちゃん
:2015/01/13(火) 18:00:05
本当ですかぁっ?
ありがとうございますぅ〜♪
応援してくださる方がいるだけで心強いです!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「花琳、さっきさぁ…何してたの?」
彩歌ちゃんがきいてきた。さっき…?
「なんのこと…」
「はぁ?さっき桐山君と話してたっ」
急に口調がキツくなった。
もう、うんざりしてる。
いい加減やめてほしいんだけど。
なんて、言える訳ないんだけど。
「桐山と…?塾同じだから、その話をね、してたの」
「そんな事…何で言ってくれないのっ」
廊下に高い声が響いた。
私の持っていたパンを彩歌ちゃんが落とした。
そして踏みつける。
「いっつも何なのよ、私が好きになる人の周りウロウロしてさっ」
ゆっくりパンを拾った。
踏まれたせいか形が変わってしまっている。
「…ごめん」
いつも私は『違う』とか言えない。
『ごめん』。ただそれだけ。
それ以上はもう何も言わない。
「ほんっとうに…あり得ないっ」
そう言って彩歌ちゃんは教室に戻っていった。
「……言われっぱなし」
後ろから小声で言われた。
振り向くと
「…河田さん」
河田智子。いつも一人で本を読んでる。
でもなぜか私に時々かまってくれる。
「いつも謝ってばっかり。楽しい?」
「………ごめん」
河田さんは私をにらんだ。
ブチギレたように叫び出した。
「またそうやって…!いい加減にしなよ!そんな弱いからああやって言われるのっ…」
「………でも、違うって言ったら?」
私は泣きそうになりながら言った。
河田さんが持っていた本を落とした。
「もし…違うって、反抗したら?」
「男っぽいって言われてるのよ?」
「きっと皆…私の事っ」
「男嫌いって決めつけられてるのよ」
「私…それでいいんだよ!」
そうだよ…男だって言われてもいい。
河田さんには分かんないよ…
私が必死なのわかんない。
「何よ…私には言いたい事言える癖に。…本音ではないだろうけど」
河田さんが少し笑うから。
なんだか、腹がたつ。
けど、
ホっと、した。
4
:
レモンちゃん
:2015/02/22(日) 18:06:51
「好きです、付き合って下さい」
目の前で頭を下げてるのは桐山。
彩歌ちゃんに怒られるだろうな。
「ごめん、私今彼氏とかいらないんだよね…でも友達としてなら大歓迎」
「俺、絶対に伊藤を大事にするから…お願いっ…」
しつこいな。
実際、桐山の事はちょっと気になってた。
でも彩歌ちゃんの好きな人だし。
このままエスカレートして好きって気持ちになるのはやめよう。
好きな人を作るのはやめよう。
「ごめん…うん」
「……やっぱダメか」
「でもこれからは友達!」
「うん、ありがとう」
桐山は黙って歩いていった。
「…ふぅ」
彩歌ちゃん、見てなければいいけど。
その時、うしろに気配を感じた。
誰か…いる。彩歌ちゃん…?
「彩歌ちゃんっ…?」
私は細い声で聞いてみた。
どうしよう…今のきかれてた…?
「うんっ♪私、彩歌ちゃ〜ん」
「…は?」
今の声はどう考えても男だった。
振り向くと、誰か知らない人がいた。
桐山と結構仲の良い人。
それくらいしかわかんないけど。
「えっと…今の聞いてましたか」
「あー、桐山とイチャついてた事?」
「とんだ勘違いです」
イチャついてるって…
変なことを言わないでくださいよ。
「俺、坂本尚っ」
「…イキナリ自己紹介?」
小声で言ってみた。
聞こえていないと思ったのに。
「悪かったな、君の名前は知ってるから伊藤花琳ちゃん」
「…なんで知ってるんですか?てか何か用事があったんですか?」
「これからきっと君は僕にお世話になるだろうし、俺を世話をかけると思ったから…かな?」
この人、気持ち悪い。
人の名前知ってるし…
意味分かんないことばっかり言ってる。
お世話になる?何いってんの。
「ま、自己紹介しにきただけっ!じゃ、また明日〜…?また後で、かな?」
「後でって…意味分かんない」
「そのうちわかるってば、ね?」
こんな人に会ってしまった。
後から私は悲鳴をあげることになる。
5
:
レモンちゃん
:2015/02/25(水) 21:28:37
「…はぁ?!!」
家に帰ると早々机の上に手紙が置いてあった。
しかも工事のおじさんが5人ほど。
でも、なんかサボってないすか?
てか、何してるんすか?
『花琳へ
なんかこの家白蟻にやられてたらしい。
帰ってくるの遅いからお父さん先行ってるよん!
この家に来てねー↓
○○市△-△△-△△
お父さんより』
白蟻…?
ってあの、壁をたべるアリ?
まさか…そんなぁ。
「…荷物はっ?!」
慌てて部屋に向かおうとした。
するとおじさんに止められた。
「こっから先は行っちゃいかんよ」
「でも、荷物っ…!」
すると別の若い人が口を開いた。
「あ、運んどきましたから大丈夫ですよ」
「全部…?」
その人は頷いた。
「あ、そ…じゃあ…って」
「ん?どうしたんや」
『どうしたんや』じゃないわよっ
なぜ…てかこの家行かなきゃダメなの?
我が家が好きなのにっ…
「危ないからはよ行きーやぁ」
「…え、あー、はぁ…うわーっ」
とにかく落ち着かないと。
この家は危ない、すめない。
どこで暮らすかって?
新しいこの家。電車で行かなきゃだめ。
面倒くさい。それくらいならできる。
荷物…は…えっと。
「あー、もうっ分かんないよ」
「とにかくその家に行けばえーやろ?はよ行かんか。こっちも忙しいんやから。年ごろの女の子…」
「さっきからうるさいっ!関西弁のハゲ…」
やばい、口癖でハゲって行ってしまった。
本当に髪の毛なかった。
「ああ、ごめんなさい…へへ」
おじさんはもっと不機嫌な顔になった。
そして私の鞄を掴みドアの方へ投げた。
「はよ行けーっ!!」
「わっ…ごめんなさいぃ!」
私は外に出た。
6
:
レモンちゃん
:2015/02/25(水) 21:38:29
「…ここどこー?」
方向音痴の私に住所を渡されても分かんない。
すごい豪邸が並んだ路地にでちゃった。
「ふぇーん」
一人でうろちょろしていると足音が聞こえた。
影は見えるが誰か分からない。
でも、知ってる…よね!
「あの…すいませーん!」
「…あれ?あーっさっきの!」
あ…さっきのっ…
名前…忘れちゃった。
でも…見た人!放課後の中庭で!
「ほほー、ふーん」
「なに?どうしたの」
「んー?べっつにー!で、わかんなくなっちゃったの?」
「うん、この住所なのあんたわかる?私、方向音痴なの」
そいつはわかるよなんて言って私をエスコートした。
急に立ち止まった。
「ん?どうしたのよ」
「え、ああ…ここ」
わぁ…すごい大きな家。
誰か知り合いの人の家ってことか。
私がインターホンを押そうとすると
そいつは門を開けて勝手に入っていった。
「ちょっ…勝手に入っちゃまずいよ」
そいつがちょっと笑った。
「…なに、まさか」
7
:
レモンちゃん
:2015/02/25(水) 22:57:56
「実は俺、ここの息子さんだったりするんだよなぁ〜」
「や、やっぱり〜っ」
だからあの時お世話になるとか言ってたんだ。
今なら意味がハッキリとわかる。
そう言う事だったんだ。
「坂本尚…」
「あれ?名前思い出した?」
っていっても庭にあったサッカーボールに名前が書いてあったからだ。
思い出したわけではない。
「私あんたと一緒に住むの?」
「そう言うことー、まぁ、兄妹ってことで、なっ」
やたらニヤニヤしている。
こいつなんか勘違いしてる?
「当たり前じゃ!恋愛に発展とか有り得ないから、勘違いしないでよね」
「……いいよ、俺お前みたいなコ好みじゃねぇし」
「それは良かった。私もあんたみたいな地味なキザ男嫌いだから」
そっぽを向いて家の中に入っていった。
「あ、待ってよ〜」
中に入るとやっぱり大豪邸。
つまり坂本尚はお坊っちゃまか。
いらいらするわぁ。
「お母さん、ただいまー。同居人来たよ」
「人聞き悪いわね…同居人って何」
「本当の事だろ?それとも何?居候とでもいってほしかったか」
「違うっ!…同居人でいい」
「結局それでいいならいちいち…」
その時ドンと言う音がした。
びっくりして前を向くと女の人が立っていた。
きっとお母様だろう。
「あ、あの…はじめまして。これからお世話になります。えっと、伊藤花琳で…」
「うわぁーんっ」
急にお母様は泣き出した。
何かしたのかとあたふたしてしまった。
その声に気付き上から男の人が降りてきた。
お父さんも一緒。
「あ、えっとあの…」
「なんだ?花琳、お前奥様に何したんだ」
「えぇ?分かんない…!」
すると少し太った男の人が笑い出した。
きっとお父様だろう。
「あの、スイマセン」
「いやいや、お母さんずっと女の子が欲しかったから嬉しいんだよ」
え…ってことは坂本尚は予定外の息子なんだ。
ふっ、笑っちゃう。
自然に顔がニヤけてくる。
「何笑ってんだよ、キモいな」
「…なによっ、面白かったから仕方ないでしょ」
「じゃあもっと爽やかに笑えよ、ニヤニヤしてる様にしか見えねえ」
「あんたイキナリ性格変わったわね!何なのよ」
「お前もな」
口を開いたら言い合いしかできない。
あんまりこうやって男子と喧嘩しないから、ちょっと嬉しい。
また笑っちゃう。
「んふっ…」
「……そうそう、そうやって笑え、さっきより可愛い」
ドキン。
『可愛い』…。
女子になら悪い意味でよく言われるが男子からははじめて。
「可愛い…なんて女の子に平気に言うもんじゃない」
「お前は女の子じゃない」
「…あ、そ」
8
:
レモンちゃん
:2015/02/25(水) 23:05:48
その後きちんと奥様と旦那様にご挨拶をした。
奥様からはだいぶ好かれていただいたようだ。
「ね、うちは男の子もう一人いるの」
「あ、そうなんですか?弟さんですか」
「そう、今日はお友達の家にお泊まりに行ってるけど、明日には帰ってくるわよ、きっとあのコ驚くわ〜っ。こんな可愛いコが来たんだものっねぇ?」
可愛い…さっき坂本尚に言われた言葉。
なんだか照れる。
「…いや、全然可愛くないです」
「どうしてよー、尚も可愛いってさっき言ってたじゃない」
「いや、ニヤニヤしてる時よりは、マシって意味です」
奥様は笑いながらはっと思い出した。
「夕飯の支度っ」
急いでキッチンにむかった。
お父さんも旦那様も散歩に行った。
「…部屋、案内しようか」
「あ、うん…ありがと」
9
:
レモンちゃん
:2015/02/26(木) 22:33:13
階段を上がると長い廊下があった。
すごい、やっぱりお金持ちなんだ。
と、実感させる。
ふとそこにあった棚に目がいく。
小さい男の子がサッカーボールを持ってピースをしている。
いかにもスポーツ少年。
前歯が2本抜けてる。可愛い…
「わぁ…歯抜け」
と、つい呟いてしまった。
その言葉に気づいたのか坂本尚は私の頭を叩いた。
それも結構強く…
「痛いっ!何すんのよ」
「そっ…そんなの見んなよ!気色悪ぃなぁ!」
「はっ…?気色悪いって意味分かんない!このこが歯抜けだって言っただけでしょっ」
「え…?気付いてないの」
ん?気付いてない?何に。
首をかしげているとみるみるうちに顔が赤くなっていった。
「えっ…なに?なんで赤面…っ」
「え、いやっ…何でもねぇから」
何でもない訳がない。
赤面する理由がないじゃないか。
こっちが恥ずかしい…
「ここだよ」
顔をあげるとすっごいピンクのドア。
なんか私が来るのを待ち構えていたみたい。
『女の子』って感じ。
「…母さんだよ」
…あ、そうだった。
奥様は女の子がずっと欲しかったと言っていた。
だから私が来ると聞いて…
荷物も中にあるのかな?
「可愛い…ありがとう」
「俺に礼を言うなバカ…母さんがやったんだよ。俺じゃねえし、それにこんなピンクお前みたいな男には似合わねえよ」
「お、男ぉ?!うっせぇ、案内してくれてありがとうって意味だよ!もういい、どっかいって」
腹立つ…腹立つ…
坂本尚…!
あんなやつとこれから一緒に…!
10
:
レモンちゃん
:2015/02/27(金) 17:05:11
あの部屋はやはりピンクだった。
壁もピンク、ベッドもピンク。
私専用のクローゼットまであって。
とにかく濃い部屋だった。
「あら〜、じゃあ花琳ちゃんは塾に通ってたのねぇ」
「はい、ちょうどこの町の塾なので歩いて行けるようになりました。よかったです」
夕食では奥様と沢山話をした。
奥様は話してみるととても良い人で
親しみやすかった。
私のお母さんは……
「あ、なあお前」
夕食も終わり階段を上がろうとした時。
坂本尚が話しかけてきた。
「何?」
「さっきから気になってたんだけど、お前の母さん、ここに来ねえのか?」
ドキン。
お母さん…お母さんは……
「…あの、まだ来ないんだって」
「いつか、来るの」
「………うん」
私は走って階段を上がった。
「……お母さん」
11
:
レモンちゃん
:2015/02/27(金) 21:11:40
「おーい、風呂空いたぞ」
ドアごしに聞こえる坂本尚の声。
携帯を机の上に置き軽く返事をする。
「うん、今行く」
ドアを開けるとすぐに坂本尚の顔があった。
びっくりして思わず一歩下がる。
10cmくらいしか距離がなかった。
あと、ちょっとで……
「あ、ごめん」
赤面する坂本尚。
「坂本尚、あんたねぇ…びっくりするでしょ?何かがんでんのよ」
すると赤い顔を嫌そうな顔に変えた。
なんだ?なにかいったか?
「坂本…尚?」
「…え?そうじゃなかった?」
「なんでフルネームなの?尚でいいじゃん」
尚…?なれなれしくないか。
今まで女子に言われてきた。
『下の名前で呼んだら絶対だめ!あだ名も!』
実感がわかない。
今もこの家に住むんだと言う事実が受け入れられないのに。
レベルがあがりすぎる。
「坂本尚…じゃダメ?」
「坂本…は?」
私は頷いた。坂本なら呼べそう。
「それでいい…っ」
その時、坂本の後ろに小さいのがいた。
気がした。
「…え?お化け…っ?!」
「…はっ?」
小さいのがまた見えた。
こっちを見てる。見てる…。
「きゃぁーっ!いるっ」
その時壁に思いきり背中をぶつけた。
その振動で私は坂本の方に倒れこんだ。
奥にあった押し入れの中に二人でつっこんでしまった。
「いっだぁー…あれ?」
真っ暗で何も見えない。
でも、思ってたよりいたくない。
て言うか、床柔らか…。
「重い……」
「うわっ、何…お化け…?」
「俺だよ俺!お前上に乗っかって…」
へっ…?あ、だから床が柔らかいんだ。
暗くて顔も見えない。
「ご今退く。でもどこが顔かわかんないから踏んじゃったらごめん」
「はあ?踏んだら許さねえ」
私は立って歩いた。
するとちょうど鼻の部分を踏んだらしい。
「いでっ!踏むなっつったろ」
「ごめん〜わかんなくて」
またあるこうとするとまた踏んでしまった。
坂本が悲痛な声をあげる。
「もういいっ…俺が動くから」
え?と思った時本当に動いた。
「えっ…きゃっ…」
勢いで倒れる。
「いった…床、固い〜」
「当たり前だ!てかお前どこ…?」
12
:
レモンちゃん
:2015/02/27(金) 21:34:31
「どこって言われても分かんない」
「あ〜もう、うおわっ!」
「えっ?ぎゃああっ!」
重い…ズッシリとした体が乗っかってきた。
やば…死ぬかもしれない。
「苦しい…」
頭をあげるとごつっと体にぶつかる。
「いたい…今ぶつかった?」
「あぁ、頭か?」
手をジタバタさせるとカチッと音がした。
ハっと思ったとき視界が明るくなる。
「やった…よかったね、明るく…」
またもや坂本の顔が間近にあった。
さっきは10cmだった。
今は…
「5cm…?」
「ん?何が…」
「唇までの距離…」
何を本当の事をいっているのだろう。
バカじゃないの?
後から恥ずかしくなるのに。
息が鼻にかかる。
「唇…?」
坂本の声が全身をつたわらせてくる。
ドキドキ。バクバク。
「うん、さっきもこんな感じで…何でこんな事になってんの?今日会ったばっかりで性格変わるし、変…」
言い合いにならない。
こんなのも変。
変な気になってきた。
いつまで乗ってるの?
なんて気にする事もなく。
視線がぶつかって、顔が熱い。
「俺、性格変わった?」
「…う、うん」
「どこらへんが?」
「え…そんなの、は…分かんない」
ごめんね、わかんないことばっかり。
でも、距離が近い。集中できない。
早く…早く…
「早く…っ」
「え?」
なんでもいいから早くしてほしい。
なにをするのかわからないけど、
早くして……
坂本の顔が赤くなる。
まって…これはっ…
「目、つぶって」
これは…これからどうなるの?
距離は、0cmになろうとしている?
かすかに足音が聞こえた。
私だけ?気づいているのは。
「この中に入ったままドアがあかない?誰が?」
「お兄ちゃんと、女!」
お兄ちゃん…
「坂本っ…」
「ごめん…っ」
とっさに私と坂本は離れた。
どんっ
ガララッ…
「あらっ、尚…花琳ちゃん」
「すいませっ…開かなく…てっあっ…その」
13
:
レモンちゃん
:2015/02/28(土) 17:56:53
バカだった。バカだった。
まさかあんなことになるなんて…
ほとんど初対面なのに。展開が早すぎる。
ついていけないよ……
そんなことを考えていて私は一秒も眠れなかった。
「…寝れない、どうしよう」
隣の部屋に行こうか。
隣の部屋…。坂本の部屋?
無理!あんなことして…
仲良くお喋り♪なんてできない。
できるはずがない……!
そのまま時間は去っていく。
「ぅ…結局眠れなかった…吐きそう」
鏡の前に立つと目の下は紫。
当たり前だ。
ハブラシをとろうとした。
ふと前を向くと坂本がいて。
「えっ?!あ、あのその…えっ…と」
気まずい…気まずすぎる!
坂本の顔をまともにみれない。
あの時のことを思い出す。
今考えたら…
『早く…』とか
『目つぶって?』とか。
恥ずかしいやり取りをっ……
「あ、えっと昨日はごめん、もう気まずいとかやめよう」
坂本から口を開いた。慣れた感じだな…
そっけない。表情がそっけない。
あと2cmだったあの時。
ドキドキがとまらなかった。
学校に着くなり私はげんなりしてた。
みんなからは冷たい目でみられた。
もういやだ。
放課後、中庭でパンを食べていた。
太らない体質って言うのはやはり良い。
毎日が楽しいのだ。
校舎の裏側に誰かがもたれていた。
男女二人で。カップル、か。
いいなぁ、私も…
『LOVE』がしたい。
羨ましい。
その二人の距離はだんだんと縮まる。
まさか………
14
:
レモンちゃん
:2015/02/28(土) 22:20:31
見てるこっちも恥ずかしかった。
同学年だよね?誰かな…
女の子の方は…
「彩歌ちゃんっ…?」
嘘……桐山が好きなんじゃないの?
もしかして飽きちゃったの?
男子は……
「…………っ」
声もでなかった。だって…だって…
こんなの、おかしい。
坂本じゃないか。
彩歌ちゃんと坂本が……
嫌だ、気持ち悪いっ…
気づいた時にはその場を私は走り去っていた。
嫌だ…変な気分。おかしい。
でももっとおかしいのはあの二人。
二人とも、バカじゃないの?
つい最近まで桐山に夢中だったあの彩歌ちゃん。
なのに、坂本に乗り換えて。
私、桐山の事彩歌ちゃんのために友達でってことで我慢したのに。
あの時廊下で目立たなければいけない理由はないじゃない。
坂本なんか、もっと許せない。
私とあんな…2cmまでいったのに。
誰でも、いいってこと?
迫真の演技、どうもありがとう。
でも許さないから。
私、ちょっとでもドキドキしちゃったんだから。
心臓が、痛くて痛くて。
何度も私の心を締め付ける。
ムカつく、でも悲しい。
悔しい、気持ち悪い……
自分が気持ち悪い…。
翌日……
「桐山…話があるの」
私は放課後桐山を誘った。
「私、あの時桐山の事フっちゃったけど、本当はちょっと気になってたの…今からってのは遅いかな?」
自分が最低なことしてるってわかってる。
でも彩歌ちゃんが許せなかった。
これで怒ったって知らない。
「…本当にっ?!」
想像以上の驚き方。
少し涙がうかんだ目。
ちょっとひいたけど、いいと思う。
女々しいけど、彩歌ちゃんへのあてつけ。
「…これから、よろしくね?」
15
:
レモンちゃん
:2015/03/01(日) 11:03:44
こうして桐山と付き合うことになった。
彼氏と、彼女なんだ。
でも、付き合うってこんなにもあっさりいくものなのか。
私はもっと、なんていうか…
「じゃあ、今日一緒に帰ろう」
「…え?あ、うん」
喜びも悲しみも感じないこの感情。
そりゃ、桐山のことは…好き?
なんだと思うよ。恋愛として…?
わからないけどなんだか。なぁ。
なんのために付き合うかって言われたら…
彩歌ちゃんへのあてつけ?
なんのあてつけ?坂本とキスしてたことの?
でも…彩歌ちゃんは浮気したわけじゃない。
それに今になって桐山のことを好きともいってない?
「………あ…」
私、最低だ…。
彩歌ちゃんは何もしてないのに。
だからって
『やっぱごめん!いいわ!』
なんて言えない。
桐山は2回もフられなきゃだめになる。
そんなことで巻き込みたくない。
「どうした?帰らねえの」
いきなり話しかけられた。
びくっとした。
「うん、帰る…帰る…よ」
「具合、悪いの」
「…ううん」
蚊のような声で話す。罪悪感のかたまり。
あぁ…どうしよう。
校門を通過すると坂本がいた。
「……桐山…と花琳っ?」
驚きすぎて目がおかしくなる坂本。
私だってびっくりしてるんだから。
でも、女たらしのあんたなんかもうなんのようもない。
「桐山っ」
私はわざとらしく桐山の手を握る。
恋人つなぎ…。違和感あるけど。
「伊藤っ…」
赤くなる桐山。あ、ごめんね。
「帰ろっ私話したい事いーっぱいあるからっ」
「…うんっ帰る」
坂本のほうなんか一度もみなかった。
カツカツと足音が後ろから聞こえる。
「花琳っ?!!」
かん高い声……
あ…
「彩歌ちゃん……」
あ…どうしよう。
桐山と繋いでいた手をパっとはなしてしまった。
「……何してんのよぉ!!」
パーンと私の頬を叩いた。
熱い…
「やめろよお前っ、何して…」
桐山が私をかばう。
「…いいの」
いい。私が悪かった。
でも……彩歌ちゃん。
坂本と一緒にいたのに。
「……ごめん」
やっぱり謝ることしかできない。
でも…くやしい。
16
:
レモンちゃん
:2015/03/06(金) 22:42:18
「……でも」
でも、そんなの許せない。
今までのことだって、もうどうにでもなっちゃえ…
「彩歌ちゃん…なんか…大嫌いっ」
もう、いい。もうぼっちになったっていい。
ハブられたっていい。本当の事言いたい。
嘘をついた人生なんて嫌…
『真実』をもって生きたい。
嘘は、もうつかない。
これでもう、どうにでもなってしまえばいいんだ。
「なっ…酷いっ!花琳…」
知らない…彩歌ちゃんがなんと言おうと知らない。
泣いたって知らない。
私が今まで背負ってきた辛さの方が重い。
私は、強い。強いんだから。
「知らないっ…もう知らない!」
「何がよっ…花琳なんて、私だって嫌いっ!」
「もう、彩歌ちゃんの好きな人がどうとか知らない…彩歌ちゃんの都合に合わせなんてしないっ!やりたいことをする!」
桐山とはあてつけでもなんでもなく。
これから好きになっていく。
彩歌ちゃんになんと言われようと。
桐山と別れる気はない。
「バイバイ、彩歌ちゃん…これからデートなのっ」
涙が溢れてきそうだった。
けど、こらえたんだ。
泣いたら、負けだよ。終わりだよ。
笑え…
泣きたくなくて、桐山と手をひっぱって帰ろうとした。
すると逆に向こうから握ってひっぱられた。
「…やっぱり、好きだな」
そう桐山は呟いた。
「どこらへんが?」
「…強いところ、かな」
強い…ありがとう。ありがとう。
きっと強いって、言われたかったの。
私は…強い子だねって言われたかったんだ。
「…ありがとっ…」
我慢できなくてぽろっと涙がでてきた。
もう、泣いてしまった。
「…はぁ、ごめんね」
手をひっぱられる。
こっちを振り返らない。
好きに、なれるかもしれない。
17
:
レモンちゃん
:2015/03/06(金) 22:51:26
「ただいま…」
坂本だ。帰ってきた。
私はもう昨日のことも全部忘れて本当の兄妹になることにした。
だって、桐山と付き合ってるんだもん。
あ、でも坂本と同居してるって知らないんだ。
そっか、言わないといけないよね。
「おかえりっ!ねえねえ、面白い漫画持ってるぅー?私もう読み終わったからさぁー」
階段を降りてわざとらしく話しかけてしまった。
でもやっぱり、なんだかな。
「…大丈夫か」
「何が…私別にそんな同情かいたくて話しかけたんじゃない」
「わかってるよ、彩歌のことだよ」
彩歌なんてよびあってるんだ。
やっぱりカレカノなんじゃん。
「彩歌ちゃん?あ、そうだね…彼氏だもんねっ?家に来るときもあるかも?その時はずっと部屋にいるから…」
「はぁ…?彼氏って?」
とぼけたフリしてるんだ。
「…中庭で、チューしてたの見た」
「あぁ、あれか」
あれって…じゃあ坂本にとってキスって簡単なものなのかな。
あの時も…?残り2cmだった時も?
「…あっそ、もういい…」
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