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リゾナントブルーのMVからストーリーを想像するスレ 第160話

386名無し募集中。。。:2021/03/08(月) 22:17:23
彼女がガリガリと美希の腕を掻き毟る。
皮膚を貫き、肉がむき出しになり、血が溢れる。
これが生の証だと、美希は知っている。
何度も奪ってきた、命の、声だ。
同情も、謝罪も、できない。
ただ、自分は背負っていくだけだ。目的を果たす瞬間まで。
命を奪ってきた者たちの想いを、恨みを、生きていたかったという叫びを。


「手を離してください、野中さん!!」


あと数秒で、落ちる感覚があった。
腕を掻き毟る力が弱まり、脚をばたつかせる音が段々と遠くなっていった。
最後の力を込めようとした刹那に響いた声に、思わず振り返る。
なぜ、此処に?と疑問が浮かぶ。と同時に、何かを理解する。まさか。と思うが、口にしたくはなかった。

「もう勝負はついています」
「……」
「野中さん―――」

必死に抵抗していたのに、親に諭されるような気分だった。
美希は彼女から腕を解いた。漸く呼吸を取り戻した彼女は激しくせき込みながら地面に伏す。
先ほどまでこちらへ向かっていた円錐は、もうなくなっていた。
それと同時に、あれほど広がっていた水も、跡形もなく消えている。
確証はなかったが、どうやら彼女の能力の認識は間違っていなかったようだと納得しながら、「それで」と口にした。

「どういうことか、説明してくれるよね、かえでぃー…」

己の名を必死に呼んだ加賀楓は、右目を前髪で隠したまま、肩で息をする彼女を見つめた。
すっと膝を折り、ぽんぽんと肩を叩く。そしてやや乱暴に仰向けにさせ、顎を持ち上げる。気道を確保しているようだ。
その様子で、美希はやはり、今起きている状況を把握せざるを、得なくなった。


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