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もしも加賀楓と横山玲奈がふたり旅をしたらありがちなこと

71名無し募集中。。。:2017/10/21(土) 21:07:37
楓は本来の仕事に戻る。
この国には民主主義が必要だが、あまり民主的であっても都合が悪いということらしい。
楓のように物騒な技能を伝授されている人材は欲しがれば手に入るというものではない。
何がなくても、楓には才能がある。

そんなわけで、差配役との“個人面談”となる。
銃口やナイフが突きつけられたわけではない。その必要はないのだ。
楓は観念して執務室に入っていく。

「司直の手から守ってやるだけでは不満のようだな」と、差配役。
選り好みの余地はあるさ、と楓は心の中で言う。殺すか、死ぬか。
「お断りします」と、楓。
「何を断るんだ?」
「わたしはもう、人は殺さない」
「おい――」
「わたしはやらない。わたしを殺したいんなら、殺せばいい」突然、気持ちが軽くなった。

「警護役に戻す」差配役が切り札を切る。
「え?」玲奈と一緒にいられるなら、どんな代償だって支払う。
楓は涙に潤んだ目を見られないように立ち上がった。

「その前に最後の仕事だ」
もちろんそうだろう。楓の軽くなっていた気持ちが硬く冷たい地面に叩きつけられる。
これ以上は抵抗のしようがない。無駄なあがきというものだ。

「標的は?」楓は問う。わたしに誰を殺してほしいのか?
「…粛清しなければならない者がいるんだ」と、差配役が言う。
組織内の人間ということか。厄介なことになりそうだ。
だが、だからこそ新たな備えが得策なのだろう。

見事で、無駄のない、本職の手際。
組織内がごたついているなどと気取られてはならない。
しかし、標的となる人物の写真と資料を渡され、楓の顔にまぎれもない不安の色が浮かぶ。

楓は自分の目と耳が信じられないような気分になった。
差配役が見つめてくる。半眼になった両目から、初めて威嚇の気配がにじみ出ていた。

統合参謀本部議長…。この国の保安責任者ではないか。
その人物が隣の大国に情報をリークしているというのか?
単なる汚職ではない。汚職とは嘆かわしいことだがありきたりの枠にはまった犯罪だ。
これはその枠を大きく踏み越えている。最も簡潔に要約するなら国を売ったということだ。

この暗殺は仕事の質があまりにも違う。
世の中には知らないほうがいいこともある。知ってしまった以上、拒否すればこの場で命を落とすだろう。
何かの片棒をかついでいる。訊いても明かされることはないだろう。
楓に選択肢はない。楓はこの“分遣任務”を引き受けた。


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