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もしも加賀楓と横山玲奈がふたり旅をしたらありがちなこと

70名無し募集中。。。:2017/10/21(土) 10:57:56
真莉愛の目が忙しなく動いた。
閉じられていた身体のシステムがもがいている。神経、呼吸器、循環器。
思考と意識がゆっくり戻ってくるにつれ、弱い光がまぶたに当たっているのが分かる。
真莉愛は右目を開いた。

自分はとっくに死んでいる、と真莉愛は思う。
死と生の見分けがつけにくいときだってある。もしかしたら死んでいて、もしかしたら生きている。

夢なのか幻覚なのか。しかし、とにかくなぜ死後の世界に春水と美希と朱音がいるのだろう?
3人の顔をぼんやり見ているうちに、すべてを洗い清めるような頭上の白い光も薄れていく。

真莉愛は必死に最後の記憶を形作ろうとした。
楓がこちらに拳銃を向けている。まがまがしく輝く拳銃がきれいな光を放っていた。
そのとき、真莉愛は突然、自分がどれほど生きたがっているか気づいたのだった。

本能的に起き上がろうとして、肉体的な痛みを自覚した。
「まだ動いたらあかんで」春水が言う。「ひどいざまやな」
朱音がほっとしたような顔をして身を転じ、寝台に寝そべった。
ブーツを履いた両脚を鉄格子にかける。「さすがにしぶといわね」

春水が言う。「ひどい顔してるで」
たしかに真莉愛の顔はむくみ、髪はべたついていた。
「…ひどい気分だからよ」真莉愛はうなり声で答えた。
どうやら幻覚ではなく現実らしい。なぜ楓に撃たれなかったのか分からないが、こうして目を覚ました。
まだ頭に雲がかかった状態だが、自分が生きていることは間違いないようだ。

美希が寝ている真莉愛の隣に座り、真莉愛の身体に腕を回す。
「とにかく、生きててよかった」
寝台の上で身を起こした朱音も、端に腰を下ろして力任せに真莉愛を抱き締める。
真莉愛が痛みに小さく悲鳴を上げたので春水がくくっと笑う。

「いったい、何があったん?」
「いろいろあった」
「そりゃそうやろな」
真莉愛が質問を返す。「まりあ…ここにどれくらいいるの?…」
「運びこまれてから4日や。げえげえ吐くわ、泣き叫ぶわ、ぶつくさ寝言もぼやくし、ただの1秒も退屈せんかったで」

どんなことをわめいたのだろうか?
真莉愛の頭に浮かんだのは、楓と玲奈がどうなったかということだった。


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