したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

もしも加賀楓と横山玲奈がふたり旅をしたらありがちなこと

7名無し募集中。。。:2017/08/21(月) 21:44:35
隻眼の女がリンゴをかじっている。
高い位置でポニーテールにまとめられた長い髪が小さく風に揺れていた。

すらりと背が高く、余分な肉のない風貌は飢えかけたジャッカルを思わせた。
牧野真莉愛は考え深い顔でリンゴの芯を見つめた。
放棄されたガソリンスタンドは蒸し暑さのせいか汚物が溢れた便所のように臭い。

そんな好ましくない場所でリンゴを食べられるとは。
片手の小皿程度の小食で1日をしのぐ日々を過ごす身としては久しぶりの贅沢だ。

おこぼれを欲しがっているのかカラスが飛んできた。
癪に障る騒々しい鳴き声で騒ぎ、糞を落としてきた。

真莉愛が芯を放り投げると、それをくわえて飛び去った。
見える方の目でカラスを追い、太陽を見上げた。
網膜が日射しに焼かれる感覚が生じる。
真莉愛は額に片手をかざしてカラスを撃ち落とした。

荒れ果てたガソリンスタンドに背を向けて、真莉愛は道路の土とたわむれる。
バイクのタイヤ痕からいくつかのことが推測できた。
バイクにふたりの人間が乗っていたことは間違いない。
そして後部座席の人間が運転者にしっかりとしがみついていたことだろう。
なぜなら相当な速度でミサイルさながらに飛び出しているからだ。

日光浴をするようにガソリンスタンドの正面に椅子を置いて座っている年配の男が真莉愛を見ていた。
あんぐり口を開け、自分が聞いている言葉を信じまいとしている顔だ。

年配の男の禿げた額にひとつ、弾丸の射入口ができていた。
壁に大脳皮質を飛び散らせ、癌ではなく鉛玉によってあの世へ送られた男がだらりと椅子から崩れ落ちた。

真莉愛はもうもうと砂塵を舞い上げて走るバイクを頭に思い浮かべた。
それほど遠くにいるとは思えない。
ジープのギアをバックに入れ、駐車場の坂道を離れる。
ギアをドライブに入れた真莉愛はアクセルペダルを踏みながらつぶやいた。
「必ず見つけるよ…かえでぃー」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板