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もしも加賀楓と横山玲奈がふたり旅をしたらありがちなこと
58
:
名無し募集中。。。
:2017/10/09(月) 16:21:00
尾形春水は流しで顔を洗っていた。
春水が顔を上げ、細いひびの入った古い鏡に映る自分の顔を見つめながら手で水を拭った。
「いない所ばかり捜させられるんじゃ、隠れんぼにならんやん」
後方には5人の屍が横たわり、穿たれたいくつもの弾痕から血が流れ落ちている。
ひとりはまだ息があるようで胸板が上下に動いていた。
野中美希がホルスターから拳銃を抜き、その男の頭部に狙いを定めて引き金を引く。
男の首がぴくんと持ち上がって、また床に落ちる。
階段から4発の銃声が鳴り響いた。
血まみれの男が後ろ向きに倒れながら転げ落ちてくる。
すこぶる機嫌が悪そうな羽賀朱音が男の顔面を蹴りつけてから銃弾を撃ちこんだ。
朱音が撃ち殺した男を注意深く見て、春水はにっこり笑った。
雑魚をたくさん捕まえても、大魚1匹に及ばない。
大物級の獲物が網にかかった。メタンフェタミンの密売屋だった。
春水が美希と朱音に顎で死体を指す。「殊勲のしるしを得たで」
雨天用のポンチョで骸をくるみ、ジープまで運んで後部座席に横たえる。
戦利品を携えて、ベースキャンプへ。
春水たちは居住型宿舎で夜食用のコンバットレーションの箱を開けていた。
やかんが湯気を噴き上げる。けたたましく、耳障りだ。
春水がやかんを焜炉から下ろす。
朱音は缶詰にスプーンを突っ込んで合成食糧のローストビーフを黙々と食べた。
「これホントにビーフなのかな」文句を言いつつたいらげる。
真空パックのパンを機械的に咀嚼していた美希が口を開く。「まりあはいつ戻るか、はるなちゃん聞いてる?」
春水も任務の詳細は知らなかった。密偵として潜入するのだと真莉愛は言っていた。
内部情報は仲間にも明かせないと。
なぜ、そんなやばい役を買って出たのか春水には分からなかった。
しかし、身が危うくなれば真莉愛なら抜かりなく姿を消せるだろう。
「必ず戻ってくる…よね?」朱音の声がか細く震えて聞こえた。
真莉愛ほどの戦果を誇れる者は数少ない。
それは分かっているが、春水は不安で頭皮がちりちりしてくるのを感じた。
内心を打ち消すように春水は眉をぐいと上げ、また下げる。
「じきに会える、きっとな」
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