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もしも加賀楓と横山玲奈がふたり旅をしたらありがちなこと
5
:
名無し募集中。。。
:2017/08/20(日) 13:18:22
古い道路には、バイクのエンジン音の他には何の音もしなかった。
爆撃を受けて崩れた建物と、錆びついた車の残骸の上に伸びる並木。
道路脇にまっすぐ並んで伸びる幹のシルエットが空にくっきり浮かんでいる。
楓はいったんスピードをゆるめてから、後ろの玲奈をびびらせて起こすためだけに急にスピードを上げた。
「ななな!!」玲奈の悲鳴はぶるぶると振動した。
ガソリンスタンドが視界に入ってきた。
あれが蜃気楼だとしたら、ずいぶん頑丈な蜃気楼だ。
かなりの荒廃ぶりはまるで竜巻にやられたようだった。
速度を落としてガソリンスタンドへと入る道に近づきながら、楓は玲奈を振り向いた。
「誰もいないみたいだけど、どう思う?」
目を細めて建物を見ていた玲奈が言った。
「うん。誰もいないみたい。あそこに残っている物を回収するぐらいの“時間の余裕”はあるよ」
狭苦しい壁のくぼみには尿と腐ったレモンのような臭いが漂っている。
オレンジよりも小さいネズミが暗がりをちょろちょろと横切った。
楓は馴染みのある感覚――暴力が目前に迫っているぞくぞくする感覚――にうなじを刺激された。
自分はこれを楽しみ過ぎているのだろうかと考えた。
世界にいきなり平和が出現したらどうすればいいのか、楓にはまったく分からない。
どのみち、そんなことは起こりそうにもないのだが。
予想は裏切られた。ひとりの男が拳銃を手にして立っていた。
額には玉の汗が浮かんでいる。「動くな。武器を捨てて出ていけ」
反射的に楓も玲奈も拳銃を抜いて構えた。
「あんたが捨てなさい。2対1。勝ち目はない」楓が落ち着いた声で告げた。
その年配の男は、銃口を向けながら拳銃を握り直した。
掌の汗をジーンズで拭う。やがて諦めたように拳銃を手放した。
「“強盗”じゃないの。ガソリンがあればもらいたい。食糧と交換でいいわ」玲奈が言った。
年配の男は目を丸くした。
「…分別を働かせる若者を見るのは久しぶりのことだ」
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