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もしも加賀楓と横山玲奈がふたり旅をしたらありがちなこと

43名無し募集中。。。:2017/09/24(日) 15:30:39
真莉愛も楓も戦争孤児だった。
秘密警察の人材発掘チームは役に立ちそうな子どもを見初め、低いところに実をつけた果物をもぐようにスカウトする。

幼い頃から慎重に自衛の垣根を張り巡らしてきた楓にとって、天性の仕事だった。
つても後ろ楯もなく、喧嘩っぷりだけは磨かれている。
ある種の“職業訓練”を経て、楓は機知と膂力を身につけていった。

真莉愛と出会ったのは、そんな苛烈な実地試験を繰り返していたときのこと。

楓は何人ものスパーリング・パートナーをノックアウトして練習相手がいなくなってしまっていた。
誰かリングに上がって相手をしてくれという目で見回す。
訓練生の多くが、自分の靴の爪先にとても興味深いものを発見したみたいに視線を下げた。

痩せぎすの少女と目が合った。
華奢な身体だがなよやかというよりは鋭利な容貌をしている。
楓と同じように、その目は補食獣の光をたたえていた。

「おまえ、ちょうどいい。手合わせしないか?」楓が話しかける。
「いいけど」真莉愛は笑った。

両手にテープを巻き、あまり痛めつけるな、と楓は自分の胸に言い聞かせた。
打ち負かしてはいけない。これは練習だ。誰も相手にしてくれないんでは練習にならない。

10秒後、楓は自分の思い上がりを笑ってしまった。
いや、実際は攻撃を受けるのに忙しくてそんな余裕はない。
勝つ心配をしていたのはどこのどいつだ?

真莉愛のスピードは凄まじかった。
パンチが見えないのだから、止めるのは困難で、反撃するのはもっと困難だ。
困難でもやるしかない。相手に対する敬意の問題だ。

ジャブに続いてストレートを出すが、お返しにコンビネーションのパンチとキックを浴びる。
楓はたまらず後ずさった。
真莉愛が詰め寄ってきて電光石火のフックを放つ。
鼻骨が曲がったような気がしたが、楓は鼻血を拭ってガードを上げた。
すると真莉愛は戦法を変え、楓の肋骨を左右から打ちまくる。

1時間も経ったかと思える3分だった。
ゴングが鳴り楓はコーナーに戻る。
「降参してもいいよ」真莉愛が声をかけた。
楓は無理やり笑って気さくに答えを返した。「やっと身体がほぐれてきたところだよ」

ほぐれた身体がまともに動いたのは5秒ほどだった。
血と汗が鼻からしたたり落ちる。
それでも楓は前方に進み出た。返礼を浴びながら、それでも突き進む。

ただ叩きのめされるだけではいけない。勝負の形くらいは作らないと…。
楓のワンツーがどうにか真莉愛の側頭部に叩きこまれる。
真莉愛が後退する。虚を突かれたような顔をしたので、楓は同じ攻撃を繰り返した。


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