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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

879 ◆V9ncA8v9YI:2018/03/13(火) 13:08:55
佇まいや所作を見ればアヤチョ王そのものなのだが、その実は当人ではない。
これは演技。
そして、本物以上に本物に見せてしまう演技力を備える人物なんて、彼女以外には存在しないだろう。

「アヤ知ってるよ。 勝つのはね、番長なんだよ。」

メイ・オールウェイズ・コーダー。
女優となった彼女の発した声は、味方であるはずの番長たちにも錯覚を起こすほどだった。
あんなに強い王がここまで来てくれたという心強さは一同のテンションをより一層高めてくれる。
そして、メイはそれだけで終演しようなどとは思っていなかった。
精神を滝行で鍛えるという面でメイとアヤチョは大きくシンクロしている。
こうして同調することで生じた強い心を持って、メイは更にキャストを増やし始めた。

「"1秒演技"……アヤはね、巨人にもなれるんだよ。」

その瞬間、クマイチャンは自身の身体がズッシリと重くなるのを感じた。
巨大な手で上から押さえつけられるような感覚。
これはまさにクマイチャンが得意とする"重力"のオーラのそれだった。
メイは1秒という短い間だけなら食卓の騎士だって演技することができる。
そしてそこに元から行なっていたアヤチョの圧もプラスされるものだから、
クマイチャンには山のように大きいアヤチョ王に押しつぶされそうになるビジョンが見えていた。

「ぐっ……」

しかしそこはやはり本家食卓の騎士。
オーラでペチャンコに潰される前に意識を強く持って、持ちこたえることが出来た。
だが、1秒のこととは言え今の攻防は相当堪えたようで、
知らず知らずのうちに肩で息をしてしまっていた。
相手の司令塔カナナンに向けられる声からも、相当の疲労が感じられる。

「ゼェ……ゼェ……確かに、君たちは強いね……
 でも、風林火山ってやつももう終わりでしょ?」
「どうしてそう思います?」
「え?だって、風に林に火に山に……全部見せてもらったし」

クマイチャンの言うことはもっともだ。
風のタケ・ガキダナー
林のリカコ・シッツレイ
火のムロタン・クロコ・コロコ
山のメイ・オールウェイズ・コーダー(アヤチョ・スティーヌ・シューティンカラー)
それぞれの担当分が既に終わっているのである。
それを理由に僅かばかり油断しているクマイチャンを見て、カナナンはほくそ笑む。

「そうですか、そうですか、やっぱり知らなかったんですね。」
「え?」
「"風林火山"には続きがあるんです。 ほんまは、"風林火山陰雷"って言うんですよ。」
「え?」

"知りがたきこと陰のごとく"

全く知覚のできない正体不明の牙が、クマイチャンの横っ腹に深く刺さっていく。


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