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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

854 ◆V9ncA8v9YI:2017/11/07(火) 13:11:37
カリンの奇行にリシャコは戸惑った。
自分の胸を滅多刺しにするという行為は、リシャコの攻撃を意識してのことなのは明らかなのだが、
その意図が読めない。何を考えているのかさっぱり分からない。
何を血迷ったらこんな自傷をする考えに至るのだろうか?

(傷でグチャグチャになった胸なら心臓を突き刺さないとでも思った?
 残念だけど、君を溺れさせる一点は今も私の眼に見えているよ。)

自分の技量を、そして自慢の眼を甘く見られたと考えたリシャコは不機嫌になり、眉間にシワを寄せた。
そしてカリンに苦しみの一撃を与えるために三叉槍を構えだした。
だが、ここでリシャコの頭に一つの懸念がよぎる。
カリンはリシャコの攻撃を誘導するためにわざと挑発的な行為をしたのではないかと思ったのだ。

(このまま君を溺れさせるのは簡単だよ……でも、今の君は目立ちすぎている。
 きっと、突き刺した瞬間、消えてた私の存在はみんなに気づかれちゃうんだろうね。
 動けないナカサキはともかくマイマイはほとんど無傷……自分を犠牲にしてマイマイにカウンターを入れてもらうのが狙いか。
 だったらカリンちゃん。君を攻撃しなければ良いよね。)

リシャコは文字通り矛先を変えた。 新たな攻撃対象はマイマイだ。
無のオーラのおかげで絶対に認識されない一撃を、マイマイの胸に突き刺そうとする。
……のだが、その刃は心臓までは到達しなかった。

「そこだ!!!」
「!!?」

マイマイは巨大な斧を振り回し、リシャコのお腹に刃を入れた。
槍と斧のリーチ差や、リシャコの腹の脂肪が常人よりちょっぴり厚めだったこともあって致命傷には至らなかったが、
それでも血液はドクドクと止まらずに流れている。

「どうして?……どうして、私がいることが分かったの?……」

リシャコにはマイマイに反撃を受けた理由が理解できなかった。
シミハムの力が弱まって存在を消せきれなかったのかとも思ったが、そんな事はない。
現にマイマイは槍が胸に突き刺さるその瞬間までリシャコの姿が見えていなかった。
ただ、リシャコの取るであろう戦法だけは頭から消えていなかったのだ。

「凄いねカリンちゃん。おかげでリシャコに一発当てられたよ。」
「お役に立てて……光栄です……」

カリンが残した強烈なサイン。それには「胸を痛めつける敵がこの場に存在する」というメッセージが込められていた。
シミハムを認識しているのだから、正体までは分からなくても「姿を消されている誰か」がいるかもしれないことは皆が念頭においている。
そんな中で胸にちょっとでも痛みを感じれば、誰もが目の前の敵に対して必死で抵抗することだろう。
その結果としてマイマイはリシャコを斬ることが出来たという訳だ。
この流れはベリーズの中でも頭の悪い4人に含まれるリシャコには理解しにくかったようだ。

(どうして!?……どうしてなの?、全然分からない。
 いや、でも大丈夫。 今は私が目立ってるからみんなシミハムに注目していないはず。
 あとはシミハムがなんとかしてくれる!!)

確かにリシャコの思う通り、ナカサキとマイマイ、サヤシにカリンはリシャコの方を向いている。
ところが、ただ1人だけシミハムから目をはなさない者がいた。
それはKASTの1人、サユキ・サルベだ。
カリンのことだからあの奇行には意味があると確信したサユキは、何が起きようともシミハムを凝視し続けていたのだ。
それどころか、これ以上好き勝手に消えたりさせないためにヌンチャクを三節棍にぐるりと巻きつけている。

「……!!」
「へへ……もう逃がさないよ。私はアンタを忘れない。」


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