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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

847 ◆V9ncA8v9YI:2017/11/02(木) 13:10:27
「くっ……ぐぐぐぐ……」

ナカサキは確変の応用で体内の器官を無理矢理にでも動かしていった。
肺と気管をポンプのように圧縮させて微量の血液を喉へと送り込む。これでひとまず溺死は免れた。

「そんな事も出来るんだね。人間じゃないみたい。」
(リシャコ……私から見たらあなたの方がよっぽど怪物なんだけど!)

しかし安心したのも束の間。 すぐにまた大きな音が鳴ったのでナカサキはついそちらを見てしまう。
そこではリシャコと入れ替わるように存在感を消していたシミハムが、マイマイの腹に打撃を食らわしていた。
さっき自身を無で包んでからそれほど時間が経っていないため三節棍に力を込められておらず、
マイマイが負うダメージもそれほどではないのだが、
シミハムの攻撃の目的はどちらかと言えば視線を自分に向けることにあった。
ナカサキもそれに気づくがもう遅い。

(しまった!!このままだとまた忘れてしまう……忘れちゃう…………何を、忘れるんだっけ?)

もうチームダンス部の頭の中にリシャコは存在しない。その情報は完全に欠落している。
彼女らには強敵シミハムが前に立ちはだかっているようにしか思えていなかった。
その強敵を打倒するために、サユキが声を上げる。

「さっきみたいに圧倒的な運動量で制圧しましょう!シミハムが消える隙を与えないために!」

サヤシ、アユミン、サユキ、カリンは急いでシミハムに立ち向かおうとした。
しかし、身体が満足に動かない。 非常に息苦しくて脚が重いのだ。
なぜ自分たちはこのような状況にあるのか?
そのことを、たった今現れたリシャコがアユミンの胸を一突きしたことで理解する。

「リシャコ!!」
「そうか……私たちが動けないのって……」

満足に動けない理由、それはリシャコに溺れされかけたからに他ならない。
よく考えてみてほしい。海水浴で溺れかけた後に全力疾走できる人がいるだろうか?いないだろう。
サヤシも、アユミンも、サユキも、カリンも一度リシャコに胸を刺されている。
血液を排出できたから問題が無いと思ったら大間違い。 生還したとしてもまともに動けなくなってしまうのだ。
普通は救助された後は数分間は安静にしないといけないはず。
では、短期間に二回も溺れさせられたアユミンはどうなるのだろうか?

「ーーーッッッ!? ーーーーーーーッッッッ!!!!」

アユミンは地面にうずくまり、先ほど以上に苦しみもがいていた。
地獄の苦しみであることはもはや説明するまでも無いだろう。 リシャコの繊細な一撃は人をこうも苦しめるのである。

「可哀想……このままだと本当に溺れ死んじゃうよ。
 でもね、私は女の子が苦しむ姿を見たいわけじゃないんだ。
 もう安心していいよ。 ウチの団長がお腹を叩いて血を吐き出させてくれるみたい。」

リシャコがそう言うと同時に、"無"から三節棍が高速で飛び出してくる。
直線的に放たれたそれはアユミンの胴体を強く押し出し、遥か後方まで吹き飛ばす。

「アユミン!!!」

サヤシが叫んだ時にはもう遅かった。
飛ばされたアユミンは今いる二階から地面へと突き落とされてしまう。


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