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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

83 ◆V9ncA8v9YI:2016/02/22(月) 08:48:32
帝国剣士には今回の件を王に報告する義務があった。
足取りはとても重いが、サユが連れ去られた事実を伝えない訳にもいかない。
重体のマイミを医療室へと連れていくハーチンとノナカ以外は、王の間へと足を踏み入れる。

「……そう、そんなことがあったの。」

エリポンとハルナンから事の顛末を聞いたフク・アパトゥーマ王は静かにそう答えた。
さすが王の風格とでも言うべきか、少しも狼狽える素振りを見せてはいない。
そして誰を責めるでもなく、次のように言葉を続けていく。

「それで、次はどうすれば良いと思う?」

フクはこの国のリーダーではあるが、アレをしれコレをしろと命令をするようなタイプではない。
教えを請われた時はそれに答えるが、基本的には相手に委ねる方針を採っているのだ。
Q期、天気組の責任者であるエリポンとハルナンがそれぞれ自身の考えを述べていく。

「エリたちは不甲斐ない結果を出した以上、もっと強くなる必要があると思う。
 日の訓練量を倍にしつつ、且つ防衛も疎かにせんためには……
 遊ぶ時間、そして寝る時間を大幅に削るしかないけんね。」
「私はサユ様が攫われた事実、そして帝国剣士が敗北した事実は隠すべきだと思います。
 国民に不安を与えないためにも、一部の者だけ知るのが良いかと……
 聞けばマーサー王国もベリーズの件は隠すようですし、それに倣いましょう。」

エリポンとハルナンの発言は納得できるものだったので、Q期や天気組らは何も言わなかった。
そもそも、対リサ・ロードリソース戦で何も出来なかった自分達には発言する資格はないと考えていたのだ。
ところがそうは思っていない人物が一人だけ存在していた。
新メンバーであるマリアが空気も読まずに大声をあげていく。

「違います!私たちが次にするのはそんなことじゃありません!」

帝国剣士団長の意思を新人が「そんなこと」と切り捨てるのは前代未聞だが、
その言葉には確かなパワーが有るとフク、エリポン、ハルナンは感じていた。

「マリア、じゃあ何をすれば良いと思うの?」
「今すぐサユ様を助けに行くんです!」
「モモコ様……いや、モモ、コはどこに居るのか知ってるの?」
「知りません!でも探すんです!」
「さっきハルナンが言ったように今回の件は大勢に伝えることが出来ないの。
 少ない人数でどうやって探すというの?」
「マリアがやります!マリアが世界中を歩き回って探します!」
「モモコ様、じゃなくて、モ、モ…コをマリアが倒せるとでも……」
「倒します!!この命に代えてでも、倒すんです!」

マリアの言うことには説得力が無かった。
だが、サユを救いたいという思いは本物だ。
いつしか周りの帝国剣士らもそれに同調していく。

「私も探します!」「私も!」「私だって!」

ここでフク王はやっと微笑んだ。
帝国剣士が有るべき姿へと近づいたことを喜んでいるのだ。

「分かった。みんなに任せるよ……サユ様を絶対に助け出してね。」


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