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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

817 ◆V9ncA8v9YI:2017/10/06(金) 13:11:52
チサキの体質は少し特殊だった。
常人と比較して異常なほどに血液の巡りが良く、ちょっとしたことですぐに真っ赤になってしまうのである。
驚くべきはその時にチサキが発する熱量だ。
場合によっては体温がお湯よりも高くなり、その熱を周囲に伝導させることも可能となっている。
今もこうして、チサキの足下の氷がジワジワと溶けていっている。

「あーもう!!穴があったら入りたいよーーー!!」

チサキは自身の身体で最も熱くなっている頭部を思いっきり氷にぶつけだした。
ただでさえ溶けかけているところに高熱の物体が勢いよく衝突してきたのだから、
水場に張っていた氷はあっという間に砕け散ってしまう。
そこを起点として周囲に次々とビビが入っていき、ハーチンの足場もろとも崩壊させていく。

「はっ?……」

あまりの衝撃映像を前にして、ハーチンはうまく事態を把握することが出来なかった。
砕け散るスケートリンクの上で滑った経験の無いハーチンは、為すすべもなく水中に落ちてしまう。

(冷っ!!なんやこれ!心臓が止まりそうや!……いや、それよりヤバイのは……)

ハーチンが水中で目にした光景、それは先ほどのカエルやカラスに負けず劣らずの数だけ存在する魚群だ。
この魚の種別名はワカサギ。
本来はこんなお堀に生息する魚では無いのだが、おおかたどこかのプレイングマネージャーが前日までに仕込んでくれたのだろう。
そう、水中ならば無敵になれる可愛い後輩のために一肌脱いだのだ。

(お魚さんたちお願い、あの人を倒して……そして、出来ればさっきまでの記憶を全部消しちゃって!!)



アカネチンは空から降り注ぐ磁石から逃げ回っていた。
とは言えアカネチンの眼を持ってしても磁石の引き寄せ合う力を全て見抜くことは困難であり、
既に10発ほどはぶつけられている。
人体急所に当てられていないのが不幸中の幸ではあるが、もしも頭に当たったら一発でアウトだろう。

(このまま逃げてちゃラチがあかない……私からも攻撃しなきゃ!!)

向こうが上から下に仕掛けてくるなら、こちらは下から上に攻撃すれば良い。
いつも愛用する印刀では上空まで届かないので、アカネチンは地面に転がる磁石を一つ手にした。
これを思いっきり投げて、的当てのように空飛ぶマナカにぶつけてやろうと思ったのである。

「えいっ!」

遠距離の敵を相手するなら自分も遠距離攻撃……という発想は良かったかもしれない。
だが、普段あまり物を投げないアカネチンの肩はさほど強くなかったので、
投げられた磁石の勢いはすぐに弱まり、むしろ地上にちらばる磁石の方に引き寄せられてしまう。
つまり、アカネチンにはどうやってもマナカを撃ち落とす事など出来ないのである。

「そんな……あぁ、もしもマリアちゃんがいれば当てられるかもしれないのに……」

アカネチンは無意識のうちに同期のマリアに頼っていた。
確かに彼女の強肩なら磁力の強さを上回るパワーで投球できるかもしれない。

「マリア?……あぁ、あっちでマイちゃんに半殺しにされている子のことね。」
「えっ?……」
「マイちゃん強いからなぁ、マリアって子はもう助からないかもね。命も危ういかも?
 あ!それじゃあ私のことマリアと呼んでいいわ今日から。
 ドゥー様との結婚を祝福してくれたらね〜。」
「そんな……マリアちゃんが……」


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