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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

802 ◆V9ncA8v9YI:2017/10/02(月) 13:06:42

●場面3 : 武道館南口 「チーム下克上 vs クマイチャン」

リカコが斬られそうになる絶体絶命の状況下で、摩訶不思議な出来事が起こった。
あろうことかクマイチャンの刀が空中で静止したのだ。
これはクマイチャンの意思で止められたものでは無い。当人だって非常に不思議そうな顔をしている。

「???……なんだ?……見えない壁があるぞ?……」

"見えない壁"、その単語を聞いたリカコは雷にでも打たれたような顔をしてすぐに横を振り向いた。
色黒で露出の高い服を着た派手目女子が近くに寄り添っていたことに、どうして気づかなかったのだろうか。

「なんで?!な、な、な、なんで!!?……ム、ム……」

リカコがその名を呼ぶよりも早く、後方から破裂音が鳴り響いた。その音は間違いなく銃声。
目にも止まらぬ速さで射出された銃弾はクマイチャンの肩に撃ち込まれ、血液を流させる。

「痛っっっっっ!!……なんなんだ!?新手なの!?」
「……ごち。」

番長もクマイチャンも状況を掴めていない中で、息もつかせぬ間に更なる何者かが跳び上がってきた。
それは球体。 カナナンもリナプーもメイも丸いものがやってきたことを認識する。
いやいや違う。よく見たらそれはただの丸いものじゃない。
何よりも頼れる同士がやってきたのだ。

「うおりゃああああ!!渾身のストレートを喰らえっ!!」

丸くて頼れる同士がブン投げた鉄球の時速は160km。
しかもそれが高速スピンでクマイチャンの肩に衝突したものだから、傷口をガリガリとエグっていく。
これが痛くないわけがない。

「あ゛あ゛あああああああああ!!!」
「よっしゃ番長のみんな!まだまだどんどん畳み込むぞ!!」


●場面2 : 武道館西口 「チーム河童 vs カントリーガールズ」

「動物を操ってるのはそこのリサ・ロードリソースとマナカ・ビッグハッピーよ!やっちゃいなさい!!」

突然高い声が聞こえてきたと思えば、その指示に沿うように二人の戦士が飛び出してきた。
その二人のスピードはなかなかのものであり、
片方は両足に装着したローラースケートで、もう片方は高速アクロバットの繰り返しで速さを実現しているようだ。
一人はリサの腹をスケート靴に取り付けられたブレードで切りつけて、一人は紐付きの刀をマナカにブン投げている。
攻撃を受けたリサとマナカは痛みのあまりカエル・カラスへの攻撃指示を中断してしまい、
群れに襲われていたエリポン、マーチャン、アーリーは無事解放されることになった。
つまりはアイリが「殺気を放つ」というカードを切らずとも、3人が助かる運びとなったのである。
リサとマナカのフォローに入ろうとマイが動こうとするも、すぐに新手の二人に阻まれる。
この手はずの良さにはモモコも舌を巻く。

「へぇ〜、いいタイミングで入ってきたじゃないの。いつから見張ってたんだか。怖い怖い。」

モモコのイヤミもどこ吹く風で新規参入組のリーダー、いや、"剣士団長"がアイリのもとに歩いてきた。
そしてあろうことかアイリのアゴをクイッと持ち上げてはこう言い放ったのだ。

「アイリ様、私に使われてみませんか?必ずや勝利に導いてあげますよ。」


●場面1 : 武道館東口 「チームダンス部 vs 扉」

「ここは私に任せて。」

その声が聞こえた瞬間、石壁の破壊作業に取り掛かろうとしていたサヤシとサユキはゾクッとした。
まるで巨大な瞳にギロリと睨まれたような感覚を覚えたのだ。
慌てて後ろを振り向くが、そこには怪物などいやしない。
居たのは一人の女性だ。背はそこそこ高めだが、せいぜい160cmより少し上程度。化け物とは言い難い。
一点だけ普通ではないところをあげるとするならば、顔のほとんどを覆う程の大きいサングラスを装着していることくらいだろうか。
その人を見たナカサキはちょっぴり驚いた顔をするが、すぐにクスッと笑って話しかける。

「来たんだね。 じゃあさっさとやっちゃってよ。」

サヤシ、アユミン、サユキ、カリンの4名はその女性が何者なのかは知らなかった。 が、見当はつく。
怪物と間違うような殺気、大きなサングラス、そしてナカサキと同格であるという事実。
一同は確信した。この人がこれから繰り出す必殺技ならば石壁も容易く壊せることを。

「DEATH刻印、"派生・JAUP"!!!」

彼女が行なった行為は、高く跳び上がった後に石壁めがけて巨大な斧を振り下ろしただけだった。
たったそれだけ。それだけだというのに頑丈な壁はあっという間に崩壊する。
キュート戦士団No.2のパワーを誇る彼女にとって、この程度は朝飯前ということなのだろう。


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