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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

77 ◆V9ncA8v9YI:2016/02/17(水) 00:07:58
「ねぇ、マーチャンが全部燃やしちゃっていい?」

突然の声にリサはビクリとした。
カエル平気組に属するマーチャン・エコーチームの言葉が、リサにはひどく恐ろしいものに思えたのだ。
真っ赤な炎の灯った木刀を両手に握っていることからも、その本気度が伺える。

「マーチャンならね、触らなくても焼けるんだよ……」

小悪魔のような顔をしながら、マーチャンは木刀をブンと振り回す。
そうすることによって木刀を焼いていた火の粉が飛び散り、
遠距離にいるカエルを容赦なく燃やしに行く。
すんでのところでリサが退避命令を出したために焼きガエルと化すのは免れたが、
その代償としてカエルの存在しない地帯を作り上げることとなってしまった。

「やったー!こうすればミチョシゲさんのところまで歩けるよ!」
「うぅ……」

ついさっきまで二択を迫る側だったリサ・ロードリソースは、
一転して二択を迫られる側に追いやられてしまった。
炎を避けなければカエルは焼かれてしまう。
炎を避ければ敵に道を与えてしまう。
リサにとってはどちらも等しく苦しい選択肢だったのだ。
ところが、苦渋を舐めたような顔をしているリサに対して
ここにきて朗報が舞い降りてくる。

「リサちゃーん!もう足止めなんかしなくていいよー!」

その大声はリサらのPM(プレイングマネージャー)・モモコによるものだった。
モモコ一派らはアユミンの均したツルツル地面を丁度越えたところだったのである。
それを見たリサの表情はみるみるうちに明るくなり、
この状況を打破するための指示をカエル達に出していく。

「みんな、逃げるよ!」

指令とともにほとんどのカエルが方々へ散っていったが、数十匹だけはそうしなかった。
逃げた警戒色カエルと入れ替わりに、大型のカエルがリサの脚部に纏わり付いたのである。

「これが私の跳躍形態。帝国剣士の皆さん、それではばいちゅん!」

リサの合図とともに、脚部のカエルらは主人であるリサごと大ジャンプする。
その訓練された跳躍力は並のカエルの水準を遥かに超えており、
ひとっとびでツルツル地面の先まで到達してしまった。
これでモモコ一派らは全員が滑りやすい難所を乗り越えたことになる。

「そんな……」

嘘みたいな結末に帝国剣士は呆気にとられることしか出来なかった。
そう、彼女らは負けたのだ。
サユを奪われることが敗北でなければ、何が敗北だと言えるのだろうか。


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