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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

749 ◆V9ncA8v9YI:2017/08/19(土) 05:33:44

もはやカリンには打つ手はない。誰の目にもそのように見えた。
だが若手軍にはこれまで何度も煮え湯を飲まされてきたので、マイミはこの局面で油断することはしなかった。
目にも見えないほどの拳速でカリン、そしてマーチャンの鳩尾を強打したのだ。
いくらカリンが超スピードで動けたとしても至近距離からの速攻は避けられないし、
攻撃自体が見えなければマーチャンも対応することが出来ない。
結果的にカリンとマーチャンは簡単に気を失い、倒れてしまった。

「残るは今度こそあと一人……トモを倒せばすべてお終いだな……」

マイミは遠くで弓を構えるトモの方を向き、フラつきながらもそちらへと歩いていった。
来させまいとトモも矢を二、三発放ったが全て右腕で跳ねのけられてしまう。
予測不能な攻撃には不覚をとることも多かったマイミだが、来ると分かっている攻撃は怖くない。
このまま全弾防ぎきってトモの元へと到達するつもりなのだ。
トモも矢を打ちながら「この攻撃は無駄なんじゃないか?」と思うこともあったが、決して攻撃を止めたりはしなかった。
ここで諦めたらNEXTに繋がらないことをよく分かっているのである。
そんなトモの心拍数がひどく上がっていることに対して、アイリが心配していた。

(とても辛そう……そうだよね、本当は逃げ出したいくらい怖いんだよね。
 だってウチのマイミは化け物にも程が有るんだもん。我が団長ながら本当に呆れるよ。)

アイリも若い頃に強大すぎる存在を相手にしたことがあるので、トモが恐怖する気持ちは十分わかっていた。
そして同時にここで退いては何にもならなくなると強く感じていることも、読み取っていた。
立場上、手助けをしてやれないことに多少歯がゆく感じながらも、
トモが諦めずに矢を放ち続ける限りは大丈夫だと確信している。

(きっと気づいているよね? ウチの団長は数を数えられていないってことに。
 マイミはあと一人、トモだけ倒せば良いって思っている……そんなはずがないのにね。)

マイミは既にトモの襟首を掴んでいた。
嘘みたいな話だが、本当に矢を全部弾いてここまで来てしまったのだ。
そしてカリンやマーチャンにしてみせたように、トモの腹に強烈なパンチをお見舞いする。
ここまでノーダメージでやり過ごしてきたが、マイミの一撃はそんな事もお構いなしにトモの意識を断っていく。
地面にドサッと倒れたことから全てが終わったとマイミは考えていた。
しかし、そうはいかなかった。
アイリの予測通り、そしてトモやカリンら勇気ある戦士達が期待していた通りに、
悔しさをパワーにした者が新たに立ち上がったのだ。

「ハル!!いくよ!!!」
「おう!サユキ!!」

その戦士の名はサユキ・サルベとハル・チェ・ドゥー。
2人ともさっきまで恐怖に押し潰されそうになっていたし、現に涙で顔がグチャグチャになっているのだが、
いつも側で戦ってきた同志たちの勇敢な姿を見て、心を強く揺さぶられて、立ち上がることを決めたのだ。
そして不思議なことに、
チナミ戦で破壊されたはずの武器が、サユキとハルの手には綺麗な状態になって握られていた。


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