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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

744 ◆V9ncA8v9YI:2017/08/13(日) 22:48:30
マーチャンが覚えたのはマイミの蹴りだけじゃない。
彼女はチナミと若手戦士らの戦いをずっとずっと見続けてきた。
あの時チナミが見せつけたのは武器を修理する技術のみではなく
己のキャパシティ限界を超える技術も示していたのだ。
マーチャンがそれをやってのけることを、同期のハルは予感していた。

「マーチャンやるのか……"断身刀剣"を……!!」

まだマーチャンの木刀は敵の脚に届いていないというのに
マイミの瞳には、金属で出来た義足が強く凹まされて、赤く熱を持つイメージが映っていた。
これはマーチャンが自身の殺気を木刀に乗せて、マイミへと一早く届けたということ。
伝説の戦士に対抗しうる術である断身刀剣を、
モーニング帝国剣士はオダ・プロジドリだけでなく、マーチャンも習得していたのだ。
しかし、現段階の彼女らのそれはまだ未熟であるのも事実。
殺気を飛ばして相手の脳に直接伝えるということまでは出来ているが、
伝搬できているのはあくまでイメージのみ。痛くも痒くもない。
ゆえに次の行動を事前告知してやっているのに過ぎないのである。
だが、その後に来る必殺技を絶対に回避できないのであれば話は変わってくる。
マイミの右腕はアーリーに掴まれているし、右足は蹴りを空振ったばかりで自由が利かない。
自身が苦しむことが確定している必殺技「蹂躙(じゅうりん)」を待つのは恐怖でしかなかった。

「うおりゃああああああああああああああ!!」

マーチャンの蹂躙(じゅうりん)は何も特殊なことをするわけではない。
攻撃したい箇所に向かって燃える木刀を叩きつける。それを二刀流でひたすら繰り返す、それだけの技である。
ただ、その間は何があっても非情に徹すること……それだけがポイントだ。

「きぃえええええええええええええ!!!!」
「ぐっ……」

木刀の持つ高熱はマイミの金属製の義足へと伝わっていく。
痛みに強い伝説の戦士も耐えうる熱には限界があるのか、マイミは苦悶の表情を浮かべていた。
だが、マーチャンはそれでも攻めの手を止めたりしない。
愛する後輩マーチャンの背中に強烈な火傷を負わせたレイニャがやったのと同じように、
相手が倒れるまでは、木刀の乱打を決して中断するつもりは無いのである。


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