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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

694 ◆V9ncA8v9YI:2017/06/15(木) 13:03:29
刀を折ったということは、即ち、握るべき武器が無くなったということ。
これまでマイミは刃を伝う殺気を頼りにクマイチャンの存在を捉えてきたので、
結果的に自ら道しるべを手放す形となってしまった。
このまま敵の存在を見失い、ジリ貧になるかと思われたが……

「クマイチャンの殺気がこもってるのは、なにも刀だけじゃないだろう?」
「へ?」

敵の掌が自身の顔から離れるよりも速く、
マイミはクマイチャンの腕に対して右手と左手の計10本の指を突き刺していった。
どの指も5cmは肉に食い込んでおり、クマイチャンが絶句するには十分なほどの激痛を与えていた。

「〜〜〜っ!!!」
「思った通りだ。 刀を握るよりも、クマイチャンの肉体に触れる方が強い殺気を感じられる。」

マイミの狙いは殺気そのものの発信源であるクマイチャン自身に触れ続けることにあった。
この要領で攻撃していけば近いうちに勝利することが出来るだろう。
しかし、それをクマイチャンが黙って見ているはずもなかった。

「だったら!そう来るんだったら!こうしてやる!!!」

クマイチャンは大きく立ち上がり、マイミの指が食い込んだ腕を天高くへと上げていった。
腕の深くまで入っているため指は簡単には抜けず、マイミの身体ごと天に持ち上げられてしまう。
この次にクマイチャンがとる行動は想像に難くないだろう。

「まさか……この高さから私を地面に叩きつけるつもりか!?」
「そうだよ!それが嫌なら指を抜けばいいんだ!」
「絶対に抜くものか……ここで抜けるはずがない。」
「じゃあ落としてやるっ!!今すぐにだっ!!」

天高いところにあった腕が、一気に地面へと振り降ろされた。
自称176cmの落下距離は数字以上に大きく感じられ、
マイミが地面にぶつかる衝撃も、それに比例して、十分に大きかった。

「ぐあぁっ!!」
「まだ放さないか…じゃあもう一発!!」

クマイチャンは先ほどの再現をするために、また腕を高い上げていく。
この地獄のフリーフォールはマイミとクマイチャンのどちらかが音をあげるまで続くのだろう。
マイミは、そう思っていた。
だが、クマイチャンはそう思っていない。

(シミハム!!もうそろそろ良いんじゃない!?)

クマイチャンは、そう離れていない位置に立つシミハムにアイコンタクトを送った。
連続フリーフォールでは異常な生命力のマイミを倒しきれないと思っていたので
ベリーズ戦士団の団長であるシミハムに協力を仰いだと言うわけだ。

シミハムはマイミとクマイチャンの戦いから少しばかり離れていたが
それは決してさぼり等ではない。
ただひたすらに力を蓄えていたのだ。
あのマイミでも、ひとたび喰らえば立てなくなるほどの強烈な攻撃を実行するために、
時間をかけて準備していたのである。


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