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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

642 ◆V9ncA8v9YI:2017/02/08(水) 12:28:59
トモがまたも弓を構えたので、ミヤビはそれを受け止めるための体勢をとった。
さっきから幾度も繰り返している防御法によって、
矢による攻撃は無駄だと言うことを知らしめようとしたのだ。
これによってミヤビの肉体は守られる。
そのはずだった。

ドスッ

どこからか鈍い音が聞こえてきる。
その音の出所が自身の体内ということに気づくまで、そう時間はかからなかった。
そう、トモによって放たれた矢がミヤビの胸に突き刺さったのである。
胸に埋められた鉄板を突き破って、だ。

(何故……矢の威力が……急に強く?……
 いや違う……矢が強くなったんじゃない。)

勉強が苦手なミヤビではあるが、頭の回転は速い。
これまでのアイリとトモの行動から、今回のような結末を迎えた原因を導き出した。

「胸の鉄板……ここが私の弱点だったというワケか……」

顎の刃が脇差と比べてメンテが出来ていないのは前に述べた通りだ。
簡単に取り外せないため、チナミも高い頻度で整備することが出来ないのである。
そしてそれは胸の鉄板も同じ。
しかもミヤビは昨日のゲートブリッジの戦いでもトモの矢を胸で受けている。
その時に生じた僅かなヒズミが、小さな小さな弱点として今日この場まで残ってしまったのである。

(思えばアイリの攻撃も、トモの攻撃も私の胸にばかり当たっていた。
 私が胸で受け止めるしかないように攻撃してきたのか……)

本来なら戦闘に影響の無いような傷でも、ここまで徹底的に痛めつけられたら拡がりもする。
強固であることが自慢の鉄板を少しずつ壊していくことで
矢による射撃が通用する程の耐久力にまで落としてみせたのだ。
そうなったことは持ち主のミヤビにも気づくことが出来ない。
理解できたのは、「眼」を持つアイリとトモだけ。

「認めるよ。確かに若手は足手まといではなかった……脅威に立ち向かうためには必要……だ……」

ミヤビも底力を発揮すれば、ここからの逆転劇を見せれたかもしれない。
でも、それは今の本意では無い。
安心したような顔をしながら地に落ちていった。


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