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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

636 ◆V9ncA8v9YI:2017/02/01(水) 12:32:09
アイリに首筋を触られたその瞬間、トモの全身に電流が走った。
とは言っても高圧電流のような強力なものではない。
微弱ではあるが、ピリッとしたSHOCK!を与えてくれる。
そう。例えるならば、それは「まるで静電気」。
瞬く間に惹かれ合い、気持ちが+(プラス)へなだれていく。

(え!?ええ!?こ、これは!!)

トモの目の前には、
いや、トモの「眼」の前には信じられない光景が広がっていた。
自身の手に持つ弓の傷んでいる箇所や、
(先ほどのクマイチャンの技の影響で)地面が脆くなっている部分、
そして目の前にいるミヤビの『弱点』等々が手に取るようにわかるのだ。
この摩訶不思議なビジョンに、トモは覚えがあった。
知識として知っていたのだ。

「これが……アイリ様がいつも見ている光景……」
「ふふふ、そう。 驚かせちゃってごめんなさいね。」

対象の弱点を見抜くアイリの眼。
アイリの身体に触れている間だけ、その能力がトモにも宿ったのである。
一流のキャディーは芝のコンディションや風の状態に気を配り、
プレイヤーに対して有益な情報を提供すると言うが、
敵の弱点を見抜く眼をそっくりそのまま譲るなんて世界中のどこのキャディーがマネ出来ると言うのだろうか。

「凄い……凄すぎます……アイリ様は他人に対して眼を与えることまで出来るのですね……」
「誰にでも、ってわけじゃないのよ。」
「え?」
「よっぽどフィーリングが合わないと無理。
 どこにもいないのよ、ただただ、あなただけ。」

トモは何年も前からアイリを自身のヒーローとして慕ってきていた。
だからこそアイリの経歴や戦い方をよく理解している。
そして先日初めて出会ってから以降は、一緒にお茶するなどして親密度も上げていた。
そこまでしたからこそ、トモはアイリと通じる資格を得ることが出来たのである。
感激のあまり涙を流しそうになったトモだったが、そこはグッと堪えた。
涙なんかで視界を遮るワケにはいかないのだ。
ミヤビの弱点を、しっかりと観察しなくてはならない。

(それにしても弱点って……本当にそこなの? 信じられない……どういうこと?
 いや、理由なんてどうでもいい。
 そこに対して矢をぶち当てる事だけを考えなきゃ!!)

弱点に攻撃を当てるまでのプロセスについて、
アイリはゴルフをプレイする時の打数に例えている。
先の4打で相手のガードをこじ開けて、5打目でトドメを指す……といった具合だ。
それに対してトモは「将棋」をイメージしていた。
この将棋とは果実の国で大流行しているボードゲームであり、
複雑なCHOICEとCHANCEを迫られるため、戦略的な思考を養えるとして、戦士も嗜むことが推奨されていた。
アーリー・ザマシランは苦手にしていたようだが、トモはユカニャ王にこそ及ばないもののかなりの実力を誇っている。

(見えた……この方法なら"詰み"に持っていける。)


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