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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部
583
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/10/19(水) 12:52:40
メイとカナナンの鉄球を受け止めたチナミの両手は、現在どちらも塞がっている。
そしてボールを放す間も無く、両足までも封じられることとなる。
今まさに、透明な二頭の獣に足首を噛まれてしまったのだ。
「あ!!……」
何故か忘却していたもう1人の番長の存在を思い出すよりも速く、
背後から刃物のように鋭い殺気が発せられるのをチナミは感じた。
今すぐこの場から去らないとソイツの鋭利な牙に噛まれてしまうと、本能が警告しているのがよく伝わってくる。
だが既に退路は断たれていた。
両手も両足も自由に動かせないために
いくら頭に警戒アラームが鳴り響こうとも、
いくら長年の勘が警鐘を鳴らし続けようとも、
相手の必殺技を甘んじて受け止めることしか出来なかったのだ。
「"Back Warner(後ろの警告者)"」
誰にも聞こえないような小さい声でリナプー・コワオールドは技名を呟いた。
そしてその後は間髪入れずに、チナミの背中を容赦なく喰いちぎるのであった。
いくらリナプーが存在を希薄に出来るとは言え、熟練の戦士相手に背後をとることは難しい。
それを可能にさせてくれたのが、味方の存在だ。
カナナンが、メイが、そしてリカコが目一杯目立ってくれたからこそ、
リナプーは相対的に影を薄くすることが出来たのである。
もちろん優れたその実力は埋まることなく、だ。
「やったなリナプー!!」
見事に決めてくれたリナプーを見て、他の番長らは歓喜した。
大技は確実にヒットしている。そして、背を千切られたチナミの出血量は尋常ではない。
ここまで来れば勝利は目前だ。
よほどの大番狂わせが無い限りは勝てるだろうとカナナン達は信じていた。
せっかくだからここで断言してしまおう。この戦いに番狂わせは存在しない!
壮大などんでん返しも、
圧巻のどんでん返しも、
運命の大逆転劇も、ここからは何もかも発生しないのだ!
全ては最初の筋書き通り。
「あ〜〜、やっぱりミーティングで聞いた通りだ。」
スッと姿勢を伸ばし、平気な顔をするチナミを見た番長一同は固まってしまった。
確かにリナプーの必殺技は決まったはず。
ならば何故にチナミはまだ立っていられるのか?
「"帝国剣士、番長、KASTは思ったよりも強い。"……うんうんそうだよね。身をもって感じたよ。」
言葉を続けながら、チナミはリナプーの頭を鷲掴みにした。
今のリナプーには返り血がベットリついているため容易に視認可能になっているのだが、
そんなことよりもリナプーが恐怖で少しも動けていないことの方が深刻だ。
「"思ったよりも強い。でも、想像を超えるほどじゃあ無い。"……全くその通りだ。」
チナミは力を下方向に入れて、リナプーを地面に一気に叩きつけた。
地面のコンディションが著しく滑りやすくなっているため、リナプーは少しも踏ん張ることが出来ず、
無抵抗で頭から落ちてしまう。
「よしっ! 一転び目!!」
他の番長らの声量はすっかり失われていた。
さっきまで優勢だったと言うのに、急に逆転されてしまったのだから無理もないだろう。
いや、厳密に言えばこれは逆転などではない。
そもそも番長らが優勢になったタイミングなど、一度も存在していないのだから。
「よーし、あと三転びいくよー!」
もう一度宣言しよう。
この戦いに番狂わせは存在しない。
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