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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

57 ◆V9ncA8v9YI:2016/02/09(火) 03:12:26
「きゃ!」「痛〜い!」「うわ〜最悪!」
「ちょっとちょっと!何なのこれ!めちゃくちゃ地面滑りやすくなってるじゃない!」
「あの〜モモち先輩。」
「なに!?リサちゃん。」
「これきっとあのアユミンって人のせいですよ。さっきからずっとスライディングして地均ししてましたし。」
「そういうのは早く言ってよ!」
「だってその程度でこんなに地面がツルツルになるなんて思わないじゃないですか!」

敵が困惑しているのを見て、アユミンはにっこり笑顔で微笑んだ。
確かに帝国剣士側には馬は無いが、スベリの帝王であるアユミンの前では機動力など無意味なのだ。
依然状況が悪いことに変わりはないが、戦わずして逃げられることは防ぐことが出来た。

「も〜!責任とってリサちゃんがなんとか食い止なさい。私たちは速度を落として逃げるから。」
「えっ?私一人でやるんですか?」
「そう。これはPM命令。」
「モモち先輩が一人でやる方が早くないですか?」
「それはそうだけど、じゃあサユは誰が運ぶっていうの?」
「はいはい!私が運びますよ!モモち先輩よりずっと丁重に扱いますって。」
「リサちゃんはなんかダメ。さっさと帝国剣士の子たちと戦いなさい。」
「本気ですか〜?……」
「リサちゃん。これはムチャブリなんかじゃないの。 あなたの戦法ならそれが出来るから言ってるの。」
「分かりましたよ。じゃあ帝国剣士全員倒したらサユ様を運ばせてくださいね。」
「出来高次第かな。」

リサと呼ばれた栗毛の少女だけで対抗できるかのような口ぶりだったので、帝国剣士からしてみたら全く面白くなかった。
中でもサヤシ、カノン、ハルの3名が特にカチンときたようだ。

「本気で言うちょるんか? リサって子は食卓の騎士の脅威には程遠いようじゃけぇのぉ……」
「私たちは国を代表する帝国剣士だよ。 サユ様に限らず帝国に仇なす者は無事には返さないから。」
「だいたいこっちは9人もいるんだぞ! 1人で何が出来るっていうんだ!!」

リサは、ハルの喋りを聞いてクスッと吹き出してしまった。
相手が自分のことを何も分かっていないことが面白かったのだ。
もう!あなたってなんにもわかってない!ってやつだ。

「ふふっ……9人ですよね。そんなの見れば分かりますよ。」
「なんだよ!なにがおかしいんだよ!」
「ごめんなさい、こっちの戦力は"1万"なんです。」
「えっ?……」

1万といった突拍子も無い数を聞いてキョトンとしている帝国剣士を横目に、リサは指で作った笛を吹き始めた。
リサは形としての武器なんてものは身に着けていない。
あるのは武器と言っても差し支えのないほどの強力な「味方たち」だけ。
その「味方たち」はいつでも、どんなところでも近くに潜んでいる。
リサの呼びかけさえあればすぐにでも駆けつけてくれる。

「ね、ねぇサヤシ……あっちから来てるのってもしかして……」
「嘘じゃろ……こんな戦い方をされたら……」

"勝てない"、ほとんどの帝国剣士はそう思ってしまった。


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