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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

37 ◆V9ncA8v9YI:2016/01/27(水) 02:15:07
気づけばマイミはミヤビにばかり集中をしていた。
ついさっきまで戦っていた相手のことも、自ら破壊した棍のことも忘れていたのだ。
だがその忘却も長くは続かない。
後頭部に強烈な打撃をぶつけられることで、マイミはシミハムを思い出す。

「!!」

薄れていく意識の中、マイミはすべてを理解した。
凶器の如きオーラを持つミヤビを知覚出来なかったのはシミハムに集中しすぎていたからであり、
そのシミハムを今の今まで見失っていたのは、ミヤビに少しでも関心を向けてしまったからなのだ。
単純なタイマン勝負ならばマイミはシミハムに勝利していたのかもしれないが、
存在感を自在に希薄化できるシミハムは、個性が極めて強いベリーズのメンバーがそばにいることで
完全なる無となることが出来る。
そのせいでマイミは本来ならば喰らわないような不意打ちを何度も受けたのである。
骨が折れ、義足も壊され、その上さらに手痛い打撃を脳天にもらったため、
さすがのマイミも立ち上がれないほどに弱ってしまう。

「シミハム団長。マイミの奴はもう動けません。そろそろ行きましょう。」

地に這いつくばるマイミを見て、ミヤビは逃走の提案を持ち出した。
これが真剣勝負であれば、まだ戦う意思のある相手に背を向けるなんて許されないことだが
シミハムとミヤビの目的はそのようなものではなかった。
マイミをここで動けない程度に痛めつけることが出来れば、それで十分だったのだ。
シミハムはコクリと頷くと、外へと走っていく。

「ま、待て!私はまだやれる……!」
「マイミ。私たちはお前に構ってやるほど暇じゃないんだ。なんせ王を待たせているんだからな。」
「王だと?……王に何をするつもりだ!!」
「これからベリーズ全員でマーサー王を攫う形になる。
 長期の不在になるだろうね。国民が混乱しないように上手くやるんだぞ。マイミ、オカール。」

そう言い残してミヤビはシミハムの後を追っていく。
その間マイミは悲痛な叫びを何度もあげ続けたが、当然なんにもならなかった。
この日、ベリーズらの手によってマーサー王国から王が消えることとなる。


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