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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

25 ◆V9ncA8v9YI:2016/01/14(木) 09:10:38
一人一人が大物の風格を見せるベリーズ戦士団の中で、唯一シミハムだけは小動物のような見た目をしていた。
身長がかなり低いというのもあるが、それ以前に威圧感のようなものが殆ど感じられないのだ。
ゆえに、ベリーズのことをよく知らない外敵は戦力を見誤る。
小柄なシミハムなら倒せると誤解して返り討ちに遭うことなんてしょっちゅうだ。
となれば、シミハムの実力を十二分に認めているマイミならば脅威を肌で感じ取っても良いものだとと考えるが、
それでもマイミは背後にいるシミハムの気配すら認識できなかった。
足音を、鼓動を、気配を、その全てをかき消してしまう程の圧倒的な無。
それがシミハムの特性なのである。
この状況ならばシミハムは背後からの不意打ちを100%確実に決めることが出来る。
しかもシミハムの獲物は、全長にして自身の身長の倍もある三節棍だ。
ただでさえ重量のあるこの武器を勢いよく振り回すのだから、
衝突時の威力は遠心力も相まって相当なものになる。
先ほど鋼鉄の義足を破壊したのと同等のパワーで、棍はマイミの背中へとぶつかっていく。

「ああ゛っ!!」

この時、シミハムは確かな手応えを感じていた。
相手の背骨を砕く感覚が三節棍を通して伝わってきたのだ。
マイミは食卓の騎士の中で最も高い生命力を誇るため、こうでもしないと動きを止めることは出来ない。
それをなんとかスムーズに実行することが出来たので、シミハムはほっと胸を撫で下ろした。
だが、ここで異変が起きる。
三節棍を引き寄せようとしても、まるで何者かに阻害されているかのように戻ってこないのだ。
何者か、という問いに対して説明は不要だろう。
答えはマイミに決まっているからだ。

「そんな攻撃で私を倒したつもりか?シミハム!」
「!!」

なんとマイミはヒットした瞬間に背中に力を入れることで、肩甲骨で棍を挟み込んでしまったのだ。
シミハムの存在を知覚できないのであれば、攻撃を受けると同時に対応すれば良いと考えた結果である。
人並みを大きく外れた反射神経と度胸がなせる技だろう。

「それではお返しだっ!」

マイミは伸びきった三節棍を掴み取り、逆に自身の方へと引き寄せた。
義足を一本失い、そのうえ確かに背骨は折れているというのに
マイミはしっかりとした重心で片足立ちをしている。
その異常なまでの「生きるという力」はシミハムの想定を何段階も上回っていたのである。


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