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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

173 ◆V9ncA8v9YI:2016/03/25(金) 08:53:19
気づけばカナナンの周りには無数の白いハトが集まっていた。
それら1羽1羽がクチバシで服を掴み、天高くへと連れて行ったのである。
鳥の力は人間とは比べてとても微弱であるが、このハト達は戦闘用に訓練されている。
それらが100羽も200羽も集まれば痩せ型の女性を10メートル程度持ち上げることくらいは容易い。
合計1000羽の鳥類、総称して「PEACEFUL」を自在に操るのがマナカ・ビッグハッピーの能力なのだ。

「カナナンを放せ!」

鳥の操り手がマナカだと判断したメイは、カナナンに危害が及ぶ前にカタをつけるべく飛びかかった。
食卓の騎士の1秒演技をして白ハトに直接ダメージを与えるという線も無くはなかったが、
それが影響してカナナンを地に落とされてはたまったものではない。
だから飼い主兼調教師のマナカにねらいを定めたのだ。
ところが、マナカにはあらゆる直接攻撃が届かなかった。

「ごめんなさいね。」
「!」

天使の羽根を大きく羽ばたかせながらマナカは天まで登る。
よくよく見てみれば白い翼は天使の羽根などではない。
白いハトが何匹も集まって、そのように見えていただけのことだ。
だがそんな単純なトリックでも効果は十分。
攻撃の届かぬ位置まで上がったマナカに弱点は無いのだ。

「カナナンさん、天使になった気分はいかがですか?」
「最悪や!今すぐ放せ!!」
「え〜?残念だけどしょうがないですね。
 ハトさん達〜カナナンさんのお望み通り、今すぐ放してあげて〜」
「え?ちょっ、おい!」

地上10メートルという高さで、鳥たちはカナナンを掴むのを止めてしまった。
つまり、無慈悲にも突き落とされる形になったのだ。
打ち所さえ悪くなければ死ぬことのない高さだが、激痛で悶え苦しむのは避けられない。
番長の司令塔の役割を担うカナナンをここで戦線離脱させる効果は大きいだろう。
ところが、アンジュの番長たちだって黙って見ているはずがなかった。
特に新人番長は、カナナンがいつ落ちてきても良いように準備していたのだ。

「え!?あれは……シャボン玉……?」

カナナンが落ちる様を見るべくマナカが下を見下ろせば、そこには人間よりも大きなシャボン玉が膨れ上がっていた。
しかもそのシャボンは特別製。
理科番長リカコの研究の末、簡単に割れないように粘着性を大幅に強化したものなのである。
それがクッションとなり、カナナンはほとんど無傷で着地することに成功する。

「カナナンさんんんんんんんん。」
「ナイスやでリカコ。ちょっと液がベタベタしすぎるのが玉に瑕やけどな。」

自分の思惑通りにコトが進まなかったので、空にいるマナカはチッと舌打ちをした。
そして、計画のズレを修正するための計算を開始する。
マナカは人を持ち上げるのも得意だが、計算も大得意なのだ。

「あんな子、データに無かったけどなぁ……
 まぁいい。私とマイちゃんの力を合わせれば絶対に勝てるはず。」


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