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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

119 ◆V9ncA8v9YI:2016/03/04(金) 02:15:39
ムロタンの「見えない壁」の正体は、アクリルと呼ばれる最新の素材で出来た透明色の盾だ。
ただでさえ耐久力の優れた素材だというのに
それを10cmという普通の盾でも考えられないような厚さで作り上げているのだから、硬くないはずがなかった。
もちろんその分だけ重量が増して使いにくくなる訳だが
番長になるため頑張り続けたムロタンからしてみれば、この程度は軽いものだった。
ムロタンは未だ打ち破られたことのないこの透明盾、その名も「クリアファイル」に絶大な信頼を置いている。
そして、そのことは他の番長たちも重々承知していた。

「私の鉄球とムロタンの盾、どっちが強いか勝負だ!」
「望むところです!!」

ここまで来れば策も何もない。力と力のぶつかり合いだ。
タケは本気で投げるし、ムロタンはそれを全力で受け止める。
そんなやり取りが2、3分ほど繰り返された。
時たまタケが変化球を投げて打点をズラそうともするが、それさえも全て防がれてしまった。
盾が透明ということは、相手の攻撃が当たる寸前まで軌道を確認できるということ。
その特性から、ムロタンは不意打ちさえも確実にガードすることが出来るのだ。

「ハァ……ハァ……本当に硬いな」

一見して2人の勝負は拮抗しているように見えるが、実はタケの方がいくらか不利だった。
先ほどマホに撃たれた傷から出血し続けているため、もう長くはないのである。

「タケさん!そろそろキツいんじゃないですか?」
「……かもね、もう諦めようかな。」
「え!?本当ですか?」
「勘違いするなよムロタン。諦めるってのは勝負のことじゃないよ。
 9回ウラ満塁になったとしても勝利だけは信じてやるんだ。」
「じゃあなんだって言うんですか?盾を壊さないと私は倒せませんよ?」
「どうかな、まぁその目でしっかりと見てなよ。」


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