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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

107 ◆V9ncA8v9YI:2016/02/29(月) 02:04:14
昼の休憩を少し挟んで、ムロタンの指定した時刻がやってきた。
それほど時間が有ったという訳では無いのに、広場には2000を越える数の兵士達が集まっている。
番長同士の戦いという好カードを誰もが見たがっているのだろう。

「どうですか?観客の数としては申し分無いですよね。」
「……ところでさ。」
「タケさん、どうかしました?」
「ムロタンの同期には声をかけなかったの?応援に来てないようだけど。」

新人番長が姿を見せていないことにタケは違和感を覚えていた。
ムロタンが一世一代の大勝負をするというのに見に来ない程の薄情者では無いはずだからだ。

「あー、それがですね。リカコは仕事が忙しくて来れないみたいなんですよ。」
「例のモデルのやつ?」
「はい。色んなところから引っ張りダコらしくて呼べませんでした!
 本当はリカコにも見てもらいたかったんですけどね。」
「そっか」
「はい!」
「……で?」
「ん?なんですか?」
「え、いや。なんでもない。」

タケは物言いたげな顔をしていたが、言葉にするのを取りやめた。
観客が待ちくたびれているのを感じ取ったため、早々に決闘の準備を進めねばと思ったのだ。

「それにしてもタケちゃん。」
「どした?メイ。」
「改めて思うけどムロタンって度胸あるよね。この大人数の前でも全然緊張してない。」
「"ロックスター"だからね。慣れっこなんでしょ。でもそれを言うなら私たちだって。」
「"プロスポーツ選手"と"舞台女優"か。確かに慣れてるや。
 緊張して本領発揮できなかった、なんて言い訳出来ないね。」
「そもそも言い訳する気ないけど。勝つし。」
「あはは、そりゃそうだ。」
「……ところで、メイ。」
「?」

タケが神妙な面持ちになったのでメイは不思議に思った。
だが次の言葉でメイは困惑することとなる。

「やっぱりメイは下がっててよ。ムロタンの相手は私1人でやる。」
「は!?」

もう少しで開戦だというのに、突然1人で戦うとか言い出したので
メイは何が何だか分からなくなってしまった。

「ちょっと今更なに言ってるの!?」
「ムロタン相手に2人がかりは違うなって思って……」
「卑怯だとか言いたいの?ムロタンが後輩だから大人気ないって?
 それは違うよ!これはそういうルールなんだよ!?
 分かってるの?タケちゃん。これは遊びじゃないんだよ!」

メイが激しく興奮しながら怒鳴るので、その声はムロタンだけでなく観客にも届いてしまった。
兵士達には、タケとメイが仲間割れするというみっともない姿が見えているのだろう。

「いいから退けっての。ムロタンの相手は1人で務まるから。」
「分かった!!もう分かった!!タケちゃんがそう言うならメイはもうムロタンとは戦わない!!」
「あぁ、その辺で応援してろよ。」
「応援なんてするわけ無いでしょ!ここに居るだけで嫌な気分になってくるの!
 あー気持ち悪い!さようなら!!!せいぜい
頑張ってね!!」
「……チッ」

顔を真っ赤にしたメイが本当にどこかに行ってしまったので、ギャラリーはひどくどよめいている。
そして、タケやメイの同期であるカナナンも不安に思っていた。

「あぁ〜なんてことを……このままじゃ負けてしまう……」

最悪の展開が近づいていることにカナナンは絶望しかけていた。
後輩に勝つにはタケとメイの協力が必要不可欠だと分析していたのに、
それがもう叶わなくなってしまったのでガックシきているのだ。
そんなカナナンの肩をポンポンと叩きながら、もう1人の同期であるリナプーが声をかける。

「カナナンって頭いいけどたまに馬鹿だよね。」
「えぇ!?ひどい!」
「だってさ、私たちの同期が負けるわけないじゃん。」
「だったらええけど……根拠ないやろ」
「大丈夫だよ。あの子はやる時にはやる子だから。」


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