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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」
891
:
名無し募集中。。。
:2016/06/06(月) 06:14:10
だがこれは簡単なことだった。
九印の柄には伸縮自在のスイッチが付いているのだ。
モエミーはこれで近接戦闘の際には柄を短くして手槍として使い、対応するのである。
「チッ、小賢しい真似をしやがって!」
再びリーチを取ったモエミーはさらにアイナを攻め立てる。
攻勢のモエミーにアイナは少しずつ圧され、生傷が増え始めていた。
アサヒの介抱は衛生兵に任せ、戦況を固唾を呑んで見守るユカニャ王。
ここまではモエミーがリードしている。
まだ安心はできないが少しずつまた勝ちの目が出てきた、そう感じ始めていた矢先。
ユカニャ王の視界の端を何者かが横切る。
「…え!? モエミー、危ない!!」
だがその声は遅かった。
モエミーの九印がアイナのガードを弾き、ついにその胸に刺さろうかというその瞬間。
ひとりの人物が間に飛んで入った。
九印はその人物に突き刺さり、動きが止まる。
「!!?? なんで・・・はッ!!??」
それはもう動けないはずのカ・カだった。
カ・カが最後の力を振り絞り、身を挺してアイナを守ったのだ。
だがこのカ・カの働きは単にアイナへの直撃を防いだだけではなかった。
これが今回のカ・カ最大のファインプレー。
「ありがとうよ、カ・カ…おかげでちゃんと『飲めた』ぜ」
カ・カの身体がずるりと崩れ落ちる。
モエミーの顔が凍りつく。
そこには空になったオレンジのアンプルを持ったアイナがいた。
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