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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

89 ◆V9ncA8v9YI:2015/05/14(木) 20:17:19
客人らが全員出て行ったのを確認して、ハルナンは扉をバタンと閉める。
そして天気組団に向かってこう言ったのだ。

「さて、『司令』『連絡』『現場』に次ぐ最後の役割について話そうか。」

アユミンはコクリと頷くと、何も無いところに目を向けて怒鳴りつける。

「オダァ!いつまで隠れてるんだよ!!」

怒声を浴びるなり、スゥッと姿を現したのは帝国剣士の新人オダ・プロジドリだ。
実は彼女のは新人ながらにして「5人目の天気組団」だったのだ。
この事はサユ王でさえも知らない。5人だけの秘密なのである。

「私の役割……たしか『処刑』でしたね。」
「ええ、我々の中から出た裏切り者を容赦なく斬り捨てるのがオダちゃんの役割よ。
 この役割はポーカーフェースのオダちゃんにしか出来ないの。」
「アユミンさん達はすぐ顔に出ますしね。」
「おいオダ!馬鹿にしてるのか!」

普段は温厚なアユミンも何故かオダにだけは声を荒げてしまう。
とは言っても本気で怒っているわけではない。
仲の良さが普通な彼女たちなりのコミュニケーションなのだろう。
そんなアユミンとは違って比較的冷静なハルが質問を投げかける。

「でもさ、番長もKASTも想像以上に強そうだったじゃん。もしもあの中の誰かが裏切ったとして、オダちゃんにやれるの?」
「はい、ご褒美のためなら手足を失ってでも処刑しますよ。」
「手足って……怖いこと言うなぁ、ところでご褒美ってなんなの?」
「それはですね、ハルナンさんが約束してくれたんですよ。」
「なんて?」
「ハルナンさんが選挙に勝った暁には、すぐにでも帝王を斬らせてくれる……って言ってくれたんです。
 私より弱い人がこの国の王だなんて我慢なりませんからね。」

その冷たい声に、アユミンとハルは絶句した。
そんな事を考えるオダがまず怖いし、それを了承したハルナンも異端すぎる。
いくらオダを仲間に引き入れるためとはいえ、そんな約束をするなんてどうかしている。
ハルナンが顔色ひとつ変えないところを見るに、何か策でもあるのだろうか……

「ダメーーーーーー!いくらオダちゃんでもそれは許さないんだから!」

ここで大きな声を出したのはマーチャンだ。
普段はオダと仲良しだが、大切な仲間が危険に晒されるのは容赦できないのだろう。

「困りましたね、じゃあマーチャンさんが先に私とやります?」
「え、オダちゃんとマーが?」
「はい、マーチャンさんともいつか本気でやりあってみたかったんですよ。」
「うんいいよ!でもきっとマーが勝つよ。」
「ふふふ、楽しみが増えましたね。」


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