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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

87 ◆V9ncA8v9YI:2015/05/14(木) 08:29:32
番長とKASTらが会議室を出るとの同じタイミングで、サユ王らも覗き部屋から退出する。
そしてサユは、クールトーンを試すようにこんなことを質問する。

「これでハルナンの考えは大体分かったわね、ところでクールトーンちゃん。
 Q期を生かすためには誰をマークすれば良いと思った?」

ハルナンはQ期を殺さないと宣言したが、番長やKASTがそれを100%守るとは限らない。
血気盛んなトモや、力強いタケと応戦することで命を失うことも無くは無いのだ。
今後どのようなケースがありえるのか、サユ王は研修生の視点からの答えを知りたかったのだが……

「えっと、ごめんなさい分かりません。」

クールトーンの返答が期待ハズレだったのでサユはたいへんガッカリした。
これまで色んな出来事を目にしてきたので、正解でなくてもクールトーンなりの考えがあると思ったのだが、
萎縮しているのか、それとも頭が追いついていないのか……
ところが、次に続く言葉でサユは彼女を見直すことになる。

「今回のハルナンさんの作戦だとやっぱり誰も死なないような気がします。
 だってQ期さんはそんなに弱くないと思うんです。
 でも、あのマロって人はなんだか怖い感じがしました……
 なんか、Q期さんだけじゃなくてもっと大勢の人を危険な目にあわせるような……」

トモやタケじゃなくマロを評価したクールトーンに、サユは驚いた。
マロ自身は特に何もしていなかったが、その場にいる者全員を制圧したり、
他にも自国のアヤチョ王をぞんざいに扱う様を見てそう感じたのだろうか。

「うん、思った通り。クールトーンちゃんには見る目がある。」
「ええ!?」
「自慢じゃないけど、私はあの場にいる誰よりも強いわ、アユミンやタケ、トモよりもずっとね。
 だからもし仮に謀反を起こされたとしてもすぐに制圧しておしまい。
 でもね、マロ・テスクは戦争を起こす方法を知っている……彼女を倒して一件落着とはいかないの。
 正直言って、王として最も敵に回したくない人物ね。」

マロ・テスクは過去に何度も大きな争いを引き起こしたことがあった。
当時は天使のように純粋だった彼女の本意ではないとは言え、多くの人が血を流したのは事実だ。
果てには強大で恐ろしい存在を蘇らせるきっかけを作り、国どころか世界の危機をもたらした。

「でも安心して、今の彼女が戦争を起こす恐れははほとんど無いわ。
 かつて、とある食卓の騎士が己の剣で世界を救ったことがあったの。
 それからその騎士はマロのヒーローよ。詳しい説明は省くけど、最も救われたのはマロ自身だからね。
 そのヒーローがいる限りは、マロは裏切らない。」


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