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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

83 ◆V9ncA8v9YI:2015/05/12(火) 22:07:36
それから残りの役割が決まるのは早かった。
司令であるハルナン、マロ、連絡役であるサユキ以外は全員が現場担当だ。
当日誰が誰と戦うべきか決める必要も有るには有るが、
司令がこの2人なので天気組団と番長たちから反対意見が出ることはほとんど無かった。
結局、KAST(というかトモ)の要望を聞く程度で全て決まってしまったのだ。
全員が己の役割を把握したのを確認して、ハルナンが閉会を宣言する。

「これで終わりにしましょう。皆さん当日はよろしくお願いしますね。
 ところでアンジュ王国と果実の国の方々はこの2週間、どうなさるおつもりですか?
 モーニング帝国に滞在されるなら立派なお部屋とお食事を、
 お帰りになるのでしたら国一番の駿馬を用意しますが・・・・・・」
「私たちKASTは帰るよ、ユカニャ王を残すのは心配だからね。」
「じゃあ番長はお言葉に甘えてゆっくりしてようかな。
 アンジュ王国はあの3人が護ってるから大丈夫でしょう、ね?カナナン」
「はいマロさん、国防に関しては問題ないと思いますよ。
 でも、ウチら番長抜きでアヤチョ王がちゃんとお仕事できるかどうか・・・・・・」
「たまには馬車馬のように働かせとけばいいの。いつも遊んでる報いってやつよ。」
「ははは、そうですね。」

一仕事終えて作戦室から出る番長とKASTらの表情はにこやかだった。
ところがただ一人、タケ・ガキダナーだけは怖い顔をしていた。
アザ少女、カリンがいつものように仲間の数歩後を歩いているのを見つけては、
その細腕をおもむろに掴みだす。

「きゃっ!・・・・・・タケちゃん?」
「カリン!お前、苦しくないのか?」

急に呼び止められたので混乱するカリンだったが、
相手がタケだと気づくなり、すぐに可愛らしい笑顔を浮かべていく。

「苦しくなんかないよ、私、今がとても楽しいんだ。」
「楽しいってお前、さっき殴られそうになったじゃないか・・・・・・」
「あ、さっきはかばってくれて有難う、でもね、私は別に殴られてもよかったんだよ。」
「は?」
「皆に期待されるのがとても嬉しいの。だから何が起きても平気。痛いのも我慢できる。
 あ、そろそろ皆のところに行くね。じゃあねタケちゃん!」
「お、おい!」

傷つくことをなんとも思わない旧友を見て、タケはなんとも言えない気持ちになる。
アザだらけになりながらも悦びを感じる今のカリンに、どんな声をかければ良いのか分からなくなってしまう。


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