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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

759 ◆V9ncA8v9YI:2015/12/14(月) 12:59:48
またか、とサヤシは思った。
格下扱いしていた相手に出し抜かれるという構図は、
一ヶ月前にハル・チェ・ドゥーにやられたのと全く同じ。
自分があまりにも成長していないため、落ち込みかけてしまう。

(いや、今は落ち込んでる場合じゃない!)

サヤシが思う通り、ここで落胆しても何も始まらなかった。
もしも諦めればハルナンはフクのところに行くだろう。
このハルナン圧倒的有利の環境で一対一の状況を作るのはまずい。
悔しいが、そうなればフクは長くは持たないだろう。
だからサヤシはここでハルナンを止めるしかないのだ。

(仕留める……までは出来んじゃろな。
 ハルナンは強い。ウチはまだ未熟……ちゃんと認めよう。
 じゃけど、削ることなら出来るはず!!)

サヤシは己の額を自ら地面に叩きつけ、
破片だらけの床であることもお構いなしにグリグリと擦り付けていく。
出血する傷口を更に痛めつけるのには理由があった。

「ウチの十八番は居合いだけじゃない!ダンスもじゃ!!」

サヤシは接地したおでこを起点にして、逆立ちするように両脚を上げていった。
これはヘッドスピンと言われるダンスの技。
本来は平らな床の上で行われるものではあるが、頭部を軸にして高速の回転力を発生させることが出来るのだ。
サヤシは自らが負傷するほどのリスクを負う代わりに、ハルナンに蹴りをぶつけようとしたのである。
ハルナンもサヤシが何かするとは思っていたが、それがダンスの技とまでは想像していなかったので
至近距離でサヤシの回転を受けてしまう。

「ああっ!!」

人間一人分が勢い付けてぶつかってきたので、ハルナンは耐えきれず転倒してしまう。
いくらハルナンが豪雨の中でも転倒しないバランス感覚を身につけたとは言え、
蹴りを受けても転ばない訓練をしてきた訳ではないので、当然の結果とも言える。


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