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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

737 ◆V9ncA8v9YI:2015/12/07(月) 13:00:25
ポツリ、またポツリと水滴が落ちてくる。
それが雨粒だと気づくのには時間は要らなかった。
何故ならば、天候は10秒も経たぬうちに集中豪雨へと変わっていったのだから。

「な、なんなんだこの雨はっ!」

雨どころか強風も伴う暴風雨に打たれたことにサヤシは驚きを隠せなかった。
この訓練場の天井は以前クマイチャンがぶっ壊したために、雨風を防ぐ機能が失われていたことは知っていたが
こうも急に天気が変わるなんて異常にも程がある。
よりによって大事な決闘の時にこんな悪天候に見舞われるなんてとんだ災難だとも思ったが、
Q期の将、フク・アパトゥーマはこれが必然であったことに気付き始めていた。

「……そうか!なんで今まで忘れていたんだろう。」
「フクちゃん!?」
「サヤシ気をつけて!この雨は仕組まれている!!」

フクが叫ぶ位置から少し離れたところ、
見届け人の席ではマイミとマノエリナがバツの悪そうな顔をしながら俯いていた。
サユは自身の上着を動けぬオダに被せると、2人に対してチクリと言い放つ。

「この雨、あなた達のせいでしょ。」
「あぁ……」「おそらくそうかと……」

サヤシは知らなかったようだが、マーサー王国のマイミとマノエリナと言えば超のつくほどの雨女として有名だった。
それは迷信や噂話といったレベルを遥かに超えており、
催し物を延期させたり、移動の足を止めたりすることはしょっちゅうだ。
そんな雨女の2人が見届け人としてやってきたのだから、本日の天気が豪雨になることは決定付けられていたのである。

「そして、あなた達ふたりを見届け人にするよう扇動したのは……」

そう、こうなるように仕向けたのは他でもないハルナンだったのだ。
敵に対して有利に振る舞うには「地の利」を生かすことが鉄則ではあるが
決闘場が誰もが知る訓練場であるためにそれを有効活用することは難しい。
ゆえにハルナンは「地の利」ではなく「天の利」を生かすことを考えたのである。
今こうして雨が降ることはハルナンのみが知っていた。
これからハルナンは誰よりも有利に立ち振る舞えるのだ。

「でもっ!この雨の中じゃあハルナンだって上手く戦えんじゃろっ!」

息も出来ないほどの豪雨。しかも足場も悪いので少し歩くだけでも転倒しかねない。
普通の戦士であれば剣を振るうことすら困難なはずだ。
しかし、ハルナンには自分だけがただ一人動くことの出来る確固たる自信が備わっていた。

「私を誰だと思ってるんですかね……天気組の『雨の剣士』ですよ?」


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