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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

673 ◆V9ncA8v9YI:2015/11/07(土) 08:36:16
カノンとサヤシの感じる違和感を、エリポンも同様に感じていた。
天気組の中では比較的正統派なアユミンの攻撃をいなすために
数多のスポーツから使えそうな技術……もとい魔法を使おうとしたのだが、
足場の悪さゆえに上手く動けないことも多々あった。
その時のエリポンは当然隙だらけなので、アユミンとしても攻めの好機なはずなのだが、
敵はあえて攻めの手を緩め、エリポンが体勢を整える時間を与えたのだ。
はじめはエリポンを舐めきっているのかもと思ったが、
それ以外の剣のキレや立ち回りは全力に見えるため、本気であることは間違いないらしい。

(なんなん?……気味が悪い)

ギリギリのところで生かされているような感覚。
それは決して心地の良いものではなかった。
アユミンが何を考えているのかは分からないが、
エリポンはフクを守るために全力で己の身体能力と魔法を活かす以外に道はない。
なのでチャンスさえあればすかさず胸、腹、肩へと模擬刀をぶつけていく。

(此の期に及んでその表情……ほんっとイラつく。
 ひょっとしてイラつかせるのが狙い?)

クリーンヒットを貰ったとしても、アユミンは冷静さを欠かなかった。
普段はオーバーリアクションなアユミンだからこそ
絶対何か策を隠していることが逆にバレバレになっている。
肝心な策の内容までは分からないが。


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