したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

661 ◆V9ncA8v9YI:2015/11/03(火) 23:29:56
エリポンはその場で垂直に飛び上がった。
ただの一跳びでアユミンのヤグラ込みの高度にまで到達し、模擬刀を思いっきり叩きつける。

「近道はさせんよ!」
「ぎゃあ!」

下方向への力を加えられたアユミンはいとも簡単に床へと落とされてしまう。
自軍の将に危害を与えんとする敵は決して容赦しないというエリポンの覚悟がうかがえる。
今回このようにして飛翔と攻撃と同時に行ったのは、バレーボールをモチーフにしたエリポンの魔法によるもの。
彼女の強靭な脚力と背筋力が助走なしのジャンピングスマッシュを可能にしたのだ。
これには大物であるサユ王やマーサー王ですら舌を巻く。

「あら、エリポンったらあんなことも出来たのね。」
「あの跳躍力ならば我らがクマイチャンにもダメージを与えられるだろうか?……いや、まだ全然低いか。」

派手な特攻に対する派手な迎撃。否が応にも注目は空中での攻防に集まっていた。
傑物揃いの立ち合い人たちだってその範疇からは外れていない。
人間の目はどうしても目立ったイベントに行きがちなのだ。
それを理解しているハルナンは、今回のヤグラ特攻を二段構えの策としていた。

(ハル!鍵は貴方なのよ!)

誰もが空中での出来事に視線を移している隙に、ハル・チェ・ドゥーはエリポンの跳ぶ下をくぐっていた。
実はアユミンは完全なるオトリ。打ち上げロケットのように見せかけて、切り離し燃料タンク程度の役割しか担っていない。
真の特攻は目立たぬ場所を走り抜けるハルによるものだったのだ。

(エリポンさん側の守りはガラ空きだぜ!そこからフクさんを直接叩いてやる!!
 もう非力な剣士なんて言わせない……ハルには必殺技があるんだ!!)

従来のハルならば、例えフクと対峙したとしても決定打を与えることは出来なかっただろう。
フクとアヤチョの戦いに乱入した際に、簡単にあしらわれてしまったことからもそれが分かる。
だが今のハルには、そのアヤチョから伝授した必殺技が備わっていた。
一度殺して死ななければ二度殺す。
死にもの狂いの特訓で習得した技が決まれば相手がフク・アパトゥーマだろうと撃破可能だ。

「近道はさせんってエリポンが言うとるじゃろが」
「!?」

跳ぶエリポンの側を通ればそこにはフクしかいないはずだった。
ところが、ハルの目の前にはサヤシ・カレサスが立ちはだかっている。
空中戦でアユミンと叩き落したエリポンと同じように、
地上ではハルをぶちのめそうと待ち構えていたのだ。

「なんでだ……なんでハルの動きに気づけたんだ……」
「カノンちゃんの防衛策が優れてるからに決まっちょる。ハルナンの奇策よりもな!」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板