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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

608 ◆V9ncA8v9YI:2015/10/21(水) 08:38:22
マーサー王を前にした帝国剣士達は、全身が痺れるような思いだった。
その理由は王が煌びやかな装飾を身につけてるからでも、立派なマントをまとってるからでもない。
その存在感の大きさに押し潰されそうになっているのだ。
食卓の騎士であるマイミの台風のような圧も相当だが、
マーサー王は人当たりの良さそうな外見の内に、とんでもない化け物を仕舞い込んでいそうな迫力があるため
帝国剣士らは恐ろしく感じていたのである。
そんなマーサー王やマイミと共に現れたマノエリナなる人物も油断ならない。
放つプレッシャーが具現化して他者に襲い掛かる……と言ったレベルまでは達していないが
アヤチョやマロと対峙した時と同じくらいの緊張感は常に感じさせていた。
そんな傑物3名が、これからの戦いを見届けるために所定の位置についていく。

「ところでマイミ、マノエリナ」
「「はい!」」
「帝国剣士たちは我々を前に萎縮しているようだが、それでも二本の足でしっかり立っている。
 まだサユが現役だった頃の彼女らと比べると、かなり成長したように見えるとゆいたい。
 成る程たしかにサユを継いで帝王の座を勝ち取ってもおかしくない人物ばかりだ。
 そこでだ、二人は勝負の行き先をどのように見る?」

マーサー王には先祖の血が流れているせいか、少しばかり好戦的な性格をしていた。
とは言え戦争をするつもりは一切ない。ちょっとしたゲームを好む程度の"好戦的"だ。
そんな王の興味に、マノエリナはちょっとだけ付き合うことにした。

「下馬評通りならフク・アパトゥーマ率いるQ期団が勝利するでしょうね。
 個々の戦闘能力が高いし、それにフクはあのアヤチョ王も打ち破ったとか……
 今回の相手にアヤチョ王以上の実力者はいなさそうですし、確定と言ってもいいと思いますよ。」

マノエリナの予想を聞いたマーサー王は、そうかそうかと頷く。
確かに順当にいけばその通りになるだろう。
ところが、マイミはそうは思っていないようだった。

「マノちゃん、お前はハルナンを知らないな。」
「ハルナン?あぁ、最近マイミさんの周りにいたあの子ですか。
 いかにも貧弱そうだなぁと思いましたが、それが何か?」
「確かに身体は貧相だ。だがその小さな胸の奥に宿る執念は並ではないぞ。
 なんせこの一ヶ月間、私のトレーニングや防衛任務にすべて付いてきたのだからな。」
「「!?」」
「この勝負、どうなるのか全く先が読めないぞ。
 下馬評を覆すことだって十分にありえる!」


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