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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

605 ◆V9ncA8v9YI:2015/10/20(火) 21:21:41
各々が自分に合った鍛錬法を見つけた日から数えて、ちょうど一ヶ月。
モーニング帝国城には3名の客人が招き入れられていた。
いや、客人と言うよりは来賓と呼ぶのがより適切かもしれない。
何しろ彼女らが廊下を歩くだけで、みなが勧んでこうべを垂れるのだから。

「マノエリナ、今日も付き合わせてしまって申し訳ないとゆいたい。
 私が外出する時はいつもいつも迷惑をかける。」
「別に。予定も何もない干物女なんで気にしないでくださーい。
 それにマーサー王、もしも何か有った時に止めるのが私の役目なんですからね。」
「あはははは。あの事件以降、何か有ったことなんて無かったじゃないか。」
「油断大敵って言うじゃないですか!マイミさんはまったく……」

その3人はマーサー王国の重鎮も重鎮。
食卓の騎士に2名存在する戦士団長の一人であるマイミ。
国王直属の親衛隊長であるマノエリナ。
そしてマーサー王国を束ねる若き女王、マーサー王その人であった。
彼女らがモーニング帝国まで訪ねてきた理由は、わざわざ説明するまでもないだろう。

「王、ここが決闘の場ですよ!」

マイミが訓練場の扉をバン!と開けると、
そこには辺り一面ガレキだらけの光景が広がっていた。

「ははは……ここがクマイチャンが暴れたという訓練場か……これはひどい。」
「弁償しなきゃですね。クマイチャンさんのお給料から出しておきましょう。」

マーサー王の言葉は誇張などではなく、訓練場は本当にひどい有様だった。
床はガタガタになっていて、腰の位置まで突き出る木材も珍しくはないし
本来は屋根があるはずの天井を見上げれば、お天道様が顔を出している。
要するに、この施設は訓練場としての体をなしていないし
ましてや決闘なんて出来るような場所には到底見えないのだ。

「そこをあえて決着の場に選んだということは……彼女らの覚悟、並ではないのだな。」

マーサー王は視線を前へと移した。
そこには深く頭を下げる9名の剣士と、
おじぎ15度くらいしか頭を下げていない美女が待ち構えている。

「マーサー王、ご機嫌麗しゅう〜」
「サユ王!こうして出会えたのは久しぶりだなとゆいたい。」


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