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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

596 ◆V9ncA8v9YI:2015/10/14(水) 18:54:43
「それじゃ、私たちはもう帰るから」

長髪の首元を掴むと、桃子はそのままズルズルと引っ張って行ってしまった。
昨日の怪我も癒えていないのに……といった心配は不要だろう。
歴戦の戦士なだけあって、体力も回復力も若手とは段違いなのだ。

「モモコ様……行っちゃった……」

先ほどのモモコの発言が効いたのか、フクは俯きながらプルプルと震えている。
それを見たエリポンらQ期の面々は、お互いに顔を見合わせた。
彼女らは知っていたのだ。
この震えが馬鹿にされたことに対するショックによるものでは無く、
憧れの存在にアドバイスを貰えたことの喜びに起因していることを。

「フクちゃん、やることが決まったんだね。」
「うん、私たち、必殺技を覚えなきゃ!」

必殺技。かつての大戦や大事件に居合わせた戦士は誰もがそれを扱えていた。
クマイチャンのロングライトニングポール、モモコのツグナガ拳法、マロの爆弾ツブログなどがそれに該当する。
(アヤチョの聖戦歌劇など、当時の戦いを経験しなくても習得可能なケースも無くはない。)
必殺技は文字通り、相手を必ず殺すくらいに強大な技。
己の特色を最大限に生かした者のみが放つことのできる奥義なのだ。

「ハルナン達に対抗するには、エリたち全員が必殺技を使えるようにならなきゃ……ってこと?」
「理想は全員だけど、誰か一人でも使えたら大きなアドバンテージになると思う。」
「でも、そんな大技をどうやって覚えりゃええんじゃ?」

サヤシの質問はもっともだった。
自分たちはこれまで何回も訓練してきたが、必殺技を覚える兆しさえも掴んできていない。
となればよりハードな訓練が必要になってくるのだろうが
そんな体力も時間も彼女らには残されていなかった。
だが、フクは激しい訓練は不要だと説く。

「大事なのはどういう技なのかイメージすることだよ。」
「「「イメージ?」」」
「昔、食卓の騎士様たちのインタビュー記事を読んだことがあるんだけど、
 必殺技は日頃の訓練や実践の延長戦上にあるものらしいんだよ。
 己の実力が極まった時、且つ、必殺技が本当に必要になった時に使えるようになるんだって。
 だから私たちは考え続けなけりゃならない。
 どういう時に必殺技が必要になるのか。具体的に、ハッキリと!」

イメージをすることが大事。そう考えると気が楽になってくる。
これから数日はベッドの上で過ごすのだろうが
想像だけなら身体を動かさ無くても十分に可能だ。

「まずは怪我を癒しながらイメージすることだけに専念しよう。
 そして、決戦の日が近くなったら、そのイメージを身体を使って形にしてみようか!」


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