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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

594 ◆V9ncA8v9YI:2015/10/13(火) 08:40:17
フクらQ期団は途中で捕まえた案内人を頼りに、とある部屋まで辿り着いた。
目当ての主は確かにその中にいる。それが扉越しでも感じ取ることが出来る。

「凄く寒い……血が凍っちゃいそう。」
「確かに以前サヤシが言ってた通り。この冷気は凄いっちゃね。」

部屋の中から発せられる冷たいプレッシャーにも負けず、フクはドアを開いた。
そこはベッドも何もないただの空き部屋。
通常と異なる点は、食卓の騎士が中にいることのみ。

「あら、貴方は昨日の……」

突然の来客に応えたのは食卓の騎士のモモコだった。
側には土下座のポーズのまま額を床につけている長髪の女性がいる。
彼女はおそらくは食卓の騎士であり、キュート戦士団長であるマイミなのだろうが
なんだか触れてはいけない気がして、Q期団は黙っていた。
それよりもフクは用事を済ませることを優先する。

「あのっ、モモコ様、この度は本当に有難う御座いました!」

フクの目的はモモコに対してお礼の言葉を伝えることだった。
モモコが助けに来てくれなければクマイチャンの脅威から逃れることは出来なかったので
命の恩人とも言える存在と思っているのである。
しかし、当のモモコの反応は冷たかった。

「感謝されるような覚えはないよ。私はこの馬鹿とあの馬鹿を止めにきただけだし。」

この馬鹿とはマイミ、あの馬鹿はクマイチャンのことだろう。
クマイチャンはどういうことかこの場で折檻を受けてはいないようだが……

「いえ、感謝します。おかげで今の私がありますし、帝王になる道も途切れませんでした!」
「ふぅん……貴方、帝王になるの。」
「はい!まだ候補ですが……」
「全然足りてないね、サユと比べると一目瞭然。」
「!」

モモコの口から放たれる冷たい言葉に、フクは身を裂かれる思いをした。
サユとの差について自覚してはいたが、憧れの存在に言われるとなるとショックも倍増だ。
そんなことを言うモモコにエリポンらは憤ったが
不甲斐ないことに、脚が凍りついたかのように一歩も動くことが出来なかった。

「王ってさ、椅子に座って踏ん反りかえるだけじゃダメなの。
 時には自ら敵陣に乗り込んで、辛さに堪え忍ぶくらいの気概が欲しいわね。
 例えばサユなら自分の必殺技を使ってクマイチャンの脚を止めてたと思うよ。
 貴方にはある?必殺技。」


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