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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」
55
:
◆V9ncA8v9YI
:2015/05/08(金) 12:53:42
「ちょっとマロさん!はやくタケちゃんを止めたってくださいよ!」
この修羅場に、アンジュ王国の「勉強番長」カナナン・サイタチープは冷や汗を流す。
モーニング城内で問題を起こせば帝国との同盟関係破棄もありえると考えたのだ。
しかしカナナンが急かしてもマロは一向に動こうとしない。
「いくら私でもタケちゃんを止められやしないよ。」
「そんなぁ、マロさんは私たちの裏番長じゃないですか!」
「私、ペンより重いものもったことないくらい非力だし〜」
マロの言葉は、決して怠け心から来たものではなかった。
いくらマロが強いとは言っても純粋な身体能力は「運動番長」であるタケの方が上。
半端に何かしようものなら焼け石に水だと考えたのだ。
だがカナナンは諦めきれず、「文化番長」のメイ・オールウェイズ・コーダーに制止を依頼する。
「メイメイ!あなたならタケちゃんを止められるでしょう!?」
必死に頼み込むカナナンだったが、当のメイは上の空だ。
さっきから床に倒れこんでいるハル・チェ・ドゥーを品定めするのに必死になっている。
「あの人なかなかカッコいいわね…うん、合格だわ」
「メイメイ?…」
これまで男っ気の無かったメイが帝国のイケメン剣士を評価するので、カナナンはおかしく思う。
とうとう恋に恋するお年頃になったのかと思ったが、実際はそうではなかった。
「ねぇカナナン、王とあの人をお見合いさせましょ」
「はぁ!?」
「顔良いし、すきっと背が高いし、タケちゃんに飛び込む勇気も有る……王の夫として相応しいと思わない?」
「あのねメイメイ、今はそんなことをしてる場合じゃ…」
周りが見えていないメイに呆れた態度を取るカナナンだったが、それがメイの逆鱗に触れてしまう。
「そんなことってどういうこと!王が結婚出来なくてもいいの!!」
「えっ 、えっ、」
「いつも1人で仏像や絵画ばっかり見てる王に出会いがあると思う?無いでしょ!」
「そ、そやな」
「だからこそ私たち番長がきっかけを作ってあげなきゃならないの、わかる?」
「うん…」
「そうしないと、王は、婚期を?」
「……逃すなぁ」
「結婚が決まったら二人が主役の舞台を書くのー、リリウムなんてタイトルが素敵ね。」
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