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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

52 ◆V9ncA8v9YI:2015/05/07(木) 23:48:19
「それでは皆さん改めまして、本日はお集まりいただき本当に、本っっ当っっに有難う御座いました!」

ハルナンは遠路はるばるやってきたアンジュ王国と果実の国の面々に向けて、深々とお辞儀する。
自身の夢を叶えるために、これだけの大物たちが集まってきてくれたことが本当に嬉しいのだ。
いくら両国の王に日頃から相応の恩を売ってきたとは言っても、喜ばしいことには変わりない。
ところがそんな中、ある人物がハルナンの悦びを遮っていく。

「感謝とかいいから早く作戦を教えてくれない?こっちはもう戦いたくてウズウズしてるんだけど!
 わー!!なんかムカついてきたーー!!」

その言葉の主はKASTのT担当、トモ・フェアリークォーツだった。
戦闘狂の彼女は周囲に帝国剣士や番長たちが居るせいか、滾る闘争心を抑えきれなくなってしまっている。
目がリンゴのように真っ赤に充血していることからも、その興奮度がうかがえるだろう。
そして気の短いトモは、近くのモノに当たることでフラストレーションを発散するのを常としていた。
そう、「アザだらけの少女」というモノに殴りかかったのだ。

「オラァッッッ!!」

スピードもパワーも迫力も100%なストレートパンチが放たれるのを見て、その場のほとんどが目を覆った。
アザ少女のようなか弱い子が何故この場にいるのかは分からないが、
そんな子が痛い目に合うのを見ていられなかったのだ。
だが、心の底から「見ていられない」と感じた人物は決して目をつぶることはしなかった。
タケ・ガキダナーはパンチの前に立ちはだかり、腹で受け止めたのだ。

「おい、イジメなんてつまらない真似してんじゃねぇよ。」
「あぁ?なに邪魔してくれちゃってるの?」

ストレス解消を妨害されたトモのイライラは最高潮だ。
もはやアザ少女など眼中にはなく、怒りの矛先は目の前のタケに集中している。
タケもタケとて、握った拳を引っ込めることなど出来やしない。
トモが来るならば全力で迎え撃つ覚悟でここに立っているのである。
一触即発な雰囲気をヤバいと感じたダーイシとハルは、喧嘩だけはさせまいと間に入っていったが、
生憎なことにタケもトモも、お互いに属する組織の中では(最強ではないとは言え)トップクラスの実力者だ。
とてもじゃないが、ダーイシとハルに止められる相手ではなかった。
二人は簡単に払い飛ばされ、地面に倒れ込んでしまう。

「痛い!」
「うわっ、なんてパワーなの……」


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