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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

459 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/07(月) 23:32:27
ハルナンは丁寧に条件を整えていた。
自分とフクの計2回も鉄扉に衝突するよう仕組んだのも、
大袈裟なほどに大きな声で周囲に苦しみを訴えたのも、
全てはあの人に知らせるため。
そして、SOSのメッセージは今まさに到達する。

「ハルナン!!!そこにいるの!!!」

扉の向こうから急に声が聞こえてきたのでフクは驚いてしまう。
そして同時に嫌な予感を感じていた。
その声の主が何やら凶悪な存在に思えてならなかったのだ。

「ハルナン!今行くからね!すぐ!すぐにこの扉をブチ破ってやるからね!!!」

興奮したような声が鳴り止むよりも早く、
ガン!ガン!ガン!と言った3つの音とともに扉の一部が盛り上がっていく。
フクには分かる。この硬い扉は素手で殴って凹むようには出来ていない。
このように形状を変化させるには鉄の塊をぶつける他に手段は無いだろう。
そう、まさにタケが武器とする鉄球のようなものが必要不可欠なのだ。

(じゃあ扉を壊そうとしているのはタケちゃん!?
 いや、タケちゃんはあんな声じゃ無い。
 なんだっけ、この声、どこかで聞いたことあるような……)

フクが考えるスピードよりも、扉がぶっ壊れるスピードの方が早かった。
鉄製の頑丈な扉ではあるが、考えてみればこうなるのも当然だ。
これまでマイミの怪力で捻じ曲げられたり、
フクダッシュで吹き飛ばされたハルナンがぶつかったり、
それより体重の重いフクが衝突してたりしていたのだ。
そこに何発も鉄球をぶつけられたら、流石に破損するに決まっている。
しかも球を投げた張本人は、食卓の騎士に最も近い存在と言われる怪物。
感情が爆発した時の投球は、タケ・ガキダナーの豪速球をも凌ぐと言われている。

「ハルナン!!怪我してるの!?誰にやられたの!!……こいつがやったの?」

その怪物に睨まれたフクの全身は凍りついてしまった。
ここで彼女は直感した。
今回の戦いでの最大の強敵はハルナンなどではなく
今しがた目の前に現れたこの相手だということを、理解する。

「あなたは……アヤチョ・スティーヌ・シューティンカラー……
 アンジュ王国のアヤチョ王……」
「あなたは……だれ?ハルナンを虐める子は死刑だよ。」


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