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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

437 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/01(火) 02:55:08
サヤシを撃破して上り調子なハルだったが、
満身創痍ながらも不穏な空気を漂わすエリポンに完全に気圧されていた。

(全身血だらけだってのになんてオーラだよ、ジッチャン達だって怖がってるじゃん
 またサヤシさんを倒した時と同じやり方でいくか?……いや、ダメだろうな。
 エリポンさん、きっと何をされても止まらないはず……)

身体に触れていいという理由で男性兵たちをけしかける作戦は通用しないと、ハルは気づいていた。
そもそもサヤシとでは性格が違いすぎるという理由もあるが、
今の鬼気迫ったエリポンならば多少触られたところでまったく動じないと考えたのだ。
第一、当の老兵たちがエリポンに近寄るのを恐れている。
斬り捨てられたアーリーのようにはなりたくないと誰もが思っているのだろう。

(どうすればいい!?ハルが直接ガチンコで相手するのが正解なのか?
 ジッチャン達抜きで……勝てるか?
 やばい、分からない、今のエリポンさんはまったく分からない!怖い!
 どうしよう、近づいてきてる、早く決めないと!ハルはどうすればいい!?
 助けて!助けてよ、アーリーちゃん!)

極限まで追い詰められたハルは、あろうことか倒れているアーリーにすがってしまっていた。
ゾンビのように詰め寄ってくるエリポンのことがそれだけ恐ろしかったのだ。
本来であれば戦士としてとても情けないことであるのだが
結果的に、それが正解であることにすぐに気づかされることとなる。

「戦闘中に余所見はいけませんよ!」

その声が聞こえた途端、ゴッという鈍い音が聞こえてくる。
音の発生源はエリポンの右足のすね辺り。凶器はトンファーだ。
被害者エリポンは何が起きたか分からないような表情をしながら、その場に倒れこむ。

「!?」

エリポンも、ハルも、ジッチャン達も驚愕してはいるが、何も驚くことはない。
この場にトンファーを武器として扱う人物はただ一人しかいないのだから。

「アーリーちゃん!生きてたんだ!」
「ギリギリですけどね……もう、ダメかもです……」

エリポンの足を破壊したのは、地べたに這いつくばっているアーリー・ザマシランだった。
胸を斬られて気を失っていたように見えたが、最後の力を振り絞って打撃を繰り出したのだ。
この不意打ちが卑怯だと呼べないことはエリポンが最も痛感している。
何故ならそれはさっき己がやった行為とそっくり同じだからだ。だからこそ悔しい。叫びたくもなる。

「あああああああああああああ!!!!!」

いくら力んでも、いくら凄みを効かしても、壊れた足は動かない。
エリポン・ノーリーダーははフクを守る刀としての役目を果たせぬまま、心半ばに力尽きてしまう。


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