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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」
43
:
◆V9ncA8v9YI
:2015/05/06(水) 23:16:29
「どうかしたの?フクちゃん」
「いや、なんでもない・・・と思う。」
アザだらけの少女が旧友に似ていると感じたフクだったが、
うつむいていたので顔はよく見えなかったし、すぐに通り過ぎてしまったため断定は出来なかった。
アザ少女を含めた黒衣装4人組についてQ期はよく知らなかったが
あまりにも堂々と歩いてきたので、ついつい城の中へと通してしまった。
(その後に門番に対してちゃんと手形を示していたので、正式な客人なのだろう。)
「変な感じの人たち。いったい何だったんやろ。」
「ちょっとまってエリちゃん、また来たよ!」
黒衣装を見送ると同じタイミングで、今度は白衣装の集団が現れてきた。
こちらも同様に若い少女の集まりであり、やはり只者ではないオーラが漂っている。
この白集団に関する情報もエリポン、サヤシ、カノンは持ち合わせていなかったが、
唯一、フク・アパトゥーマだけはその存在を知っていた。
「タケちゃん!!・・・・・・ってことは、アンジュ王国!?」
急に大声を出したので、白衣装の集団は何事かと思ってフクの方を見るが
すぐに視線を戻してまっすぐ門をくぐっていってしまった。
そう、"タケちゃん"と呼ばれた少年・・・少女?・・・少女以外は。
「お、フクちゃんじゃん、久しぶり。」
「やっぱりタケちゃん・・・・・・じゃあさっきの人たちは番長ってこと?いったい何しに来たの!?」
フクは目の前の相手が旧友であるタケ・ガキダナーであることを確信した。
しかしアンジュ王国の重鎮であるタケがわざわざ帝国まで出向く意味が分からない。
他のメンバーが問題なく城内に入っているということは通行手形を発行してもらっているということなのだが、
帝国剣士団長であるフクの耳にいれずに発行するには、サユ王かもう一人の団長であるハルナンの許可が必要なはず。
とにもかくにも分からないことだらけなのでフクはタケに対して質問をしまくるが、
当のタケの返事はそっけないものだった。
「悪いね、何も言えないや。」
そう言い残して他のメンバーに合流するタケを見て、フクはなんとも言えない不安に駆られてしまう。
「訓練場に顔を出さない天気組団とオダ・プロジドリ」「通行手形を持つ黒衣装集団とアンジュ王国の番長たち」
これらの違和感が入り混じることで、フクは考えられうる最悪の事態をイメージしてしまったのである。
「エリポン!サヤシちゃん!カノンちゃん!・・・・・・私たち、大変なことに巻き込まれているのかもしれない・・・・・・!」
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