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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

385 ◆V9ncA8v9YI:2015/08/10(月) 15:27:05
柱の陰に隠れていたアーリーは、ハルの言葉に驚いていた。
確かに自分の力なら敵を拘束することが可能だが、
その相手がフクほどの達人であれば上手くいく保証が全くないのだ。
そんな不安そうなアーリーに対して、ハルが目配せをする。

(アーリーちゃん、やるしかないんだ。ハルが手本を見せてやるから見てな!!)

ハルは「タケゴロシ」と名付けられた竹刀を取り出しては、素早い速度でサヤシに斬りかかる。
天気組でハルナンが「雨の剣士」、アユミンが「雪の剣士」、マーチャンが「曇りの剣士」と呼ばれているのに対して、
このハル・チェ・ドゥーは「雷の剣士」と賞されている。
その強さの秘密は圧倒的なまでの「手の速さ」だ。
他の剣士らが扱う金属製の剣と比べると、ハルの竹刀は非常に軽い。
ゆえに振りのスピードは目視が困難なまでに速くなっている。
一撃一撃の威力はもちろん弱いのだが、その代わりハルは雷撃のような連打を実現しているのだ。
ピシャリピシャリといった破裂音もカミナリを彷彿とさせる。

「どうだサヤシさん!ハルの本気を受けきれるか!!」
「チッ、相変わらずうっとおしいのぉ……」

正直言ってこの攻撃でサヤシが簡単に負けることはありえないが、
さっさと片付けてハルナンを追うために、フクも助太刀することを決める。

「待っててサヤシ!今助けるね!」

ハルの背中はガラ空きなので、そこに装飾剣「サイリウム」で切りつければ対処は完了だ。
フクとハルの実力差を考えればそれは容易に終わるはずであった。
しかし、ハルの勇敢さに感銘を受けたアーリーが突進してきたからこそ、上手くはいかなくなる。

「か、覚悟〜〜〜!!」
「!?」

アーリーはフクに攻撃を仕掛けるでもなく、ただ抱きつきにやってきていた。
戦場でいきなりハグされたので、フクは正常な判断が出来ず、それを受け入れてしまう。
普段であればこんな美少女に抱きつかれるのはフクにとって喜ばしいことなのであるが、
アーリーのそれはそんなに良いものではなかった。

「ハルさん!私がフクさんを止めます!!」

そう言うとアーリーは全身全霊の力を込めてフクの骨を折りにかかった。
まるで万力のような圧迫感に、フクは激痛を感じてしまう。

「うぁっ……こ、この力は……」

アーリーは戦闘能力で言えばトモ、サユキ、カリンには遠く及ばない。
しかし、その怪力さに限って言えば誰もが認めるNo. 1だった。
一度ハグさえ成功すれば、食卓の騎士クラスの相手だろうとグルングルンに回してみせるだろう。


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